14ーー4年生(6月)
8ーー4年生(5月)で投稿するべき話を飛ばしていました。
今朝投稿した8は本来9でした。
訂正したので良かったらニュー8を読んでくださいませー。
何卒ー何卒ー!
「高瀬、昨日送ってくれたヤツ、どれも良かったと思うけど自分ではこれを使いたいとかある?」
今日も今日とて楽しい班活動の時間だ。
「うーん、私的にアリな物しか送ってないから皆んなが載せてもイイと思った物があったら使ってもらいたいんだけど」
昨日、半日かけて書いたたくさんの作品の中から、塔子が自分で納得いった物だけをグループトークに送ってみた。それを見ながら森田が皆んなの意見を聞いている。
「この『剣道』って表紙の予定で書いたの?」
「うん、一応剣道の力強さを表現してみたつもり。それともう一枚、下に『KENDO』って入れたのも書いてみた……んだけど……うーん、ホント難しかった。一応色々と書いてはみたけど、使わないって決断もアリだと思ってるー」
「カッコいいと思うけど〜?」
「えーありがとう、橘。でもレイアウトをどうするのか、私にはまだ見えてないんだけど、表紙はまだしも各見出しはなー……浮きそう。剣道であって書道ではないんだし」
いつになく真面目顔の塔子に「そんな顔も出来るんだね〜」とエリがからかう。
「じゃーとりあえず保留にしといてもいい?個人の部分が出来て全体が見えてきたらまた考えるって事で」
「うん、そうしよー」
森田の決定に塔子は頷いた。
「それにしてもさ〜」
それぞれが翻訳作業に入ろうとしたところで、スマホを見ていた橘が声を上げる。
「この三枚目の写真の奥に見えるヤツさ〜、何〜?」
橘が指差した先を皆んなで覗き込む。
『剣道の歴史』と書いてある紙を写した奥を拡大してみると『猪……』と書いてありそうな紙が見える。
「あぁ、それね。昨日私がこの部屋に篭って書いてたらさー。真ん中の姉が入ってきて『猪突猛進』って書いてーって言うから書いたのよ」
「やっぱり猪だったんだ。お姉さん何でまたそんな事を書いて欲しかったんだろうね〜?」
それを聞いた塔子が少し憮然とした顔になったのを見て、メグが俄然興味を持つ。
「えー塔子、何なの?教えてよ!」
エリもニコニコ続きを待っている。
「……別に大したことじゃないんだけどさー。『それ書いたらちょっと塔子持って立って!』って言われて」
「「うんうん!」」
「それを持った私を写真に撮って、爆笑しながら出て行った。マジたったそれだけの為に書かされたわ……腹立つ」
「「「「……ぶはははっっ!!!」」」」
四人の大爆笑がクラスに響く。
「うははは!ねーウケんだけど!お姉さんナイス!」
「ぶっ、高瀬、家族からもそんな扱いなんだ?」
「塔子ちゃん、面白すぎ〜」
「あは、あははは〜!!」
「ねーもう笑い過ぎだから!
……ちょっと阿久津まで下向いて震えないで!」
「……っく……くくっ」
「皆んな私に対して失礼なんよ……」
「塔子のお姉さんめちゃくちゃ面白いんだけど!ねーお姉さんいくつ?」
「んー私の八つ上だから二十三かな?」
「えー真ん中のお姉さんってことはもっと大きいお姉さん居るってこと?」
「うん、さらに二つ上にねー」
「結構離れてるんだね〜」
「なんか高瀬の姉さんだったら超美人そうだな」
「そんなことないよ。あ、でも真ん中、超ハイスペックな彼氏居るわ」
「え、どんな?」
「何かね、王子様みたいにキラキラした見た目に五ヶ国語話せてかなりの高給取り。条件だけあげると冗談みたいなんだけどホントなんだよ」
「何それ、そんな人間居るの?!塔子会ったことある?」
「あるよー。ご飯食べに連れて行ってもらったことあるし。なんか星背負ってるよ、キラキラしてる。金髪だからそう見えるのかなー」
「金髪って日本人じゃないの?」
「うん、フランス出身だってさ」
「うわー、なんかすごそう!そんなの塔子惚れちゃったりしないのー?」
「ないよ。だってお姉ちゃんの彼氏だよ?」
「誰の彼氏でも好きになっちゃったらしょうがないじゃん!」
「いやいや、ダメでしょ。それに無いでしょ」
「え〜、人の物だと安心しない?」
「……うん?ゴメン、分かんなかった。エリもう一回言って?」
塔子は首を傾げる。
「だから、誰かの彼氏だと好きになってイイんだ〜って安心しない?」
「………………ん?」
塔子は首を傾げ過ぎて顔が真横になる。もうすぐ倒れそうだ。
「え、待って待って分かんない。どういうこと?」
「だ〜か〜ら〜、付き合ってる人が居るってことは、少なくともその人からは好かれている人ってことだよね?」
「…………彼女はきっとその人のことが好きだよね、ってことだよね?」
「そうそう、だからその人は誰かに好かれている実績があるってことでしょ?」
「……そういうことになるね?」
「だからその人は好きなっても大丈夫ってことでしょ?」
「……ん?分かんなくなってきた。別に実績なくても好きになってイイよね?」
「え、怖くない?」
「何が?!」
「だってその人と付き合い始めたら誰かに『えー、アイツあんなヤツと付き合ってるの?ウケる』とか言われちゃうかもしれないじゃん!そんなの嫌じゃん」
「誰も言わないよ!そんなこと!」
「いや、分かるよ、エリが言ってること」
塔子があまりに驚き過ぎて仰け反っていると、メグがうんうん頷きながら会話に入ってきた。
「だから人気者だと安心だよね。さらに自尊心も満たされるし」
メグがそう言うとエリは大きく頷く。
「そうなの!でも実際人の彼氏を奪うっていうのもなかなか……でしょ?だからアイドルだと安心だよね!あんな大人数に好かれてる人たちなんだもん、間違いないよね!」
「……でもそれはファンとして、なんだよね?アイドルは皆んなのものだから独り占めしちゃダメなんだって前にエリ言ってたよね?」
「でも実際目の前に現れて好きだって言われたら全ファンを敵に回しても付き合うでしょ。リアコの気持ちは分かるよ!」
「おぉぅ……複雑過ぎてよく分からないぃ……」
塔子は机に突っ伏して唸っていたが、突然ガバッと顔を上げてエリを見る。
「でもやっぱり私は人の彼を好きになることは無いだろうなぁ」
「どうして?あるかもしれないじゃん」
「うーん、分からないけど、その人は私以外に大切にする人が居るんだよね?もうその状況が嫌だし、同じくらい私のことも大切だよ、とか言われようものなら嫌いになるなー。そしてコロッと心変わりされても嫌。だから前提として誰かの彼を好きになるってことがあり得ると思えない。二股も嫌、心変わりも嫌、つまり未来がない。もしお姉ちゃんの彼を好きになったとして、私の想いに応えてくれた時点で終わる。好きになるとか想像するのも嫌だけど。そもそも私、人の物に興味がない!」
「やっぱり塔子ちゃんって欲張りだよー!」
「う……そうなのか。恋愛難しいな……」
塔子はもう一度机に突っ伏して唸っていたが、やはりガバッと顔を上げてエリを見る。
「でもやっぱりその考えは勿体無いよ!誰にも気付かれていないけど魅力的な人はいっぱいいる筈。エリが好きになったんならそれだけでもう実績だよ!」
「うーん……塔子ちゃんが誰も好きになったことが無いのと同じで、私も実績ゼロの人を好きになったことないもん」
「ぐっ……え、同じ?……同じなの?」
「同じだよ!」
「同じかな……?」
エリの驚きの恋愛観を聞いて、やっぱり恋愛って難易度高いな〜と感じた塔子だった。




