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楽園の魔女  作者: 金星
7.月と塔
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(76) 月と塔-4

居館居間の端、柱で仕切られた"白鳥の間"で小柄な魔女は、孤独な時間を過ごしていた。魔女、ハツコイは何気無く目に映った両手を眺めながら、交錯する気持ちはつい熱く、そして何処か冷たくなっている。



「幾度もの争いが繰り返されて、やがて最後の戦いに疲れ果てる時が来る。原初の魔女達が紡ぐ、終わりの続きにあるものとは、"楽園"とは一体何なのかしらね」



魔女達は何処かで、何かを無くしながら生きている。それは必然的なものであるが、けれどきっと、失ったものではない。愉悦と惰性の狭間の中で、無くしてしまった何かこそが、今一番欲しているものなのかも知れない。


魔女、ハツコイは机に置かれた水晶球に映る未来を見定めつつ、


「過去も未来も無い、────今ここを生きる事こそが、私の求めている"楽園"よ」


溜息混じりに言葉を漏らした。




"白鳥の間"を抜けて、柱で仕切られた応接間にはもう一人の魔女が居る。


魔女、ナツコイは机の上の肘に頬を押し付けて、見詰める先で、彼女は微かな寝息を立てている。ぐっすり眠っているらしく、目覚めそうな気配はない。



不思議とそれが嬉しくて、


余りにも愛おしくて、


そして、────小柄な魔女は彼女の傍へゆっくりと歩み寄ってゆく。



ごめんなさい、と言うのは傲慢が過ぎるし、けれど、さよなら、と言うのも好きではない。



魔女、ハツコイは薄い唇に微笑を湛えて頷くと、


「だから────、ありがとう」


彼女の白く小枝のような手を握り締めながら、愛を込めて見守ろうと思った。




*



意志を満たす喜びを見出した原初の魔女達は、新たな舞台へと誘い、変容の旅を導いてくれている。



預言者に勧められる様にして、客席から世界を覗いた魔女が居た。

その時彼女は初めて世界の扉を開き、その後は知を超えて、やがて物語を創造するようになる。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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