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楽園の魔女  作者: 金星
4.裂け目
60/77

(60) 裂け目-14

原初の魔女、ディクサム・ブロークンは華やかな狂気の中、事もなげ涼しい顔をしながら、絶望の淵で足を組む。そして彼女が撫でる様に手を払うと、押し広げられていた境界線は闇で隠されていき、再び覆い尽くされていった。


私は傍目にも分かる程に憔悴し、気味悪い程に青褪めた顔をしながら、


「……あ、れ…は、……たい、…な……ん、……です、か……」


世界の背後に存在する、垣間見た真実の一端について問いかける。


魔女、ディクサムブロークンは攻撃的に見える表現とは裏腹に、


「希望が覆い尽くされた中で、人が闇に見出すものは、何であると思う?────あれが魂を悪意に飲まれたもの達、────成れの果てというやつだよ」


何処か無垢な脆さを潜ませる。



「後戻り出来ない人の欲は膨れ上がり、絶え間の無い深みに嵌る。全てを棄て去ったとしても、何か残っているものがあるだろう。────その残ったものが、"深淵"というわけさ」



言葉は乱暴で情け容赦なく、それでいて表情に淡い翳りを感じさせながら、魔女は燻るように蠢く闇の底を横目で見やった。



「過ぎていった者達は、今も彷徨い続けている。────そして闇を彷徨い続ける者達の中には、強靭な精神力を持ち、稀に魂が安定した者達が存在する。希少種と呼ばれる彼等は神の遺物と多くの遺産を手にしながら、"裂け目"の中を欲しいままに振る舞い、のさばり蔓延り続けている」



そして深く蠢いて絡み合う異形が、闇の底に声をどよもして響かせる。



それは6頭の犬の半身と、12本の尾を半身に持つ、美しい女性の怪物だった。神話で描かれるその怪物はその頭でそれぞれ一人ずつ、計6人の者達を奪って餌食を求めていくといわれていた。



「────人の上に神など居ない、それなのに何故仰ぎ見る」



原初の魔女、ディクサム・ブロークンはその変わり果てた姿に憐れみとも愛ともつかない複雑な感情を向けながら、見分けもつかない程に、自身を黒く塗り潰していった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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