表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽園の魔女  作者: 金星
3.知恵の実
40/77

(40) 知恵の実-17

"祝宴の大広場"、その豪華な装飾が施された舞台で、魔女は満足げな笑みを浮かべている。並べられた調剤品を眺めながら、納得の結果にカイルベッタ ウインターフロストは、


「どれも扱いが丁寧で、安心する仕上がりですね。────私達の幸運は、貴女が"学園"に来てくれた事なのでしょう」


透明感のある澄んだ声が、広場の中を響いてゆく。


カイルベッタ ウインターフロストとシュリードゥワリカの2人の魔女に向かい合いながら、引き受けた依頼品を無事納める。遅延することも無く、見込んだ通りの日数で無事に納品できた事に、私は安堵の胸を撫でおろす。



「身に余るお言葉を頂き、感謝します。また何かございましたら、ご遠慮なくお申し付けください」



私は気がかりなことが取り除かれて、安心した表情で返答する。



「ささやかですが、気持ちばかりの品をお贈りしましょう。気に入って頂けたら幸いです」



カイルベッタ ウインターフロストはそう言いながら目配せすると、シュリードゥワリカは美しい宝飾が施された、鞘付きの短剣を取り出してこちらへ向ける。それは四大元素における"風"の象徴とされ、魔術の儀式にも用いられる、アサメイと呼ばれる小さな短剣だった。


シュリードゥワリカは小さな白い柄を持ち、短剣を私に向けて差し出しながら、


「剣の象徴である知性は使う者の心次第で、白にも黒にも成り得ます。どうか、全ては笑顔へ通じる道を突き進んでゆけるよう願っています」


静かな微笑を含んだ声で語り掛ける。そして、シュリードゥワリカは、


「淀んだ水は腐敗しますが、流れる水は清らかなままでしょう。今を精一杯生きる、それが貴女の力となる筈です」


選別の言葉を添えながら、丁寧に一礼した。


続いてカイルベッタ ウインターフロストは、私を優しい眼差しでじっと見つめながら、


「私達の物語の中には、喜び、驚き、悲しみ、別れ、そして出会いが詰まっています。世界には貴女のまだ知らない仲間や居場所が待っている、そしてそれは、全てが驚きと幸せに満ち溢れている事でしょう。────今も未来も、世界は広く狭いですが、どうか貴女にとって良き思い出が出来る様に願っていますよ」



踏み出そうとしている私を、魔女達はそっと優しく背中を押す。


他者との繋がりを脈付けていく中で、私の手元に集まってきた思い達は、心を温かい気持ちにさせてくれる。



私は感謝の言葉と共に、深々と頭を下げて、丁寧に、丁寧に、一礼して2人の魔女に敬意を示したのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ