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呪いの魔女と希望の聖者  作者: オータムン
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チーム戦でも戦える!

聖者になるための訓練をおこなうホープ達。

今回はチーム戦で相手の守る玉を壊すのが目的である。

一方相手側は防御特化の魔法使い達が集まる。

はたしてホープのチームは玉を破壊できるのか?

セーブタウンで聖者が誕生することが各地に知られた後、ホープ達はさらなる訓練を行っていた。


モック「【煙魔法・雲蜘蛛】!いけ!蜘蛛たち!」


煙で作り出した蜘蛛がホープに襲いかかる。


ホープ「モックさんよ!今回は団体戦だぜ!?俺1人だと思ってると痛い目にあうぞ!」


ホープの声と同時に後ろに控えていた訓練生の風魔法が蜘蛛を吹き飛ばす。

その風にホープが乗り、敵陣に強行する。


シャイネ「速攻連携は見事ですがお兄様。そのスピードで突っ込むと全身複雑骨折しますわよ?【結晶魔法・結晶城壁】」


ホープ「いやそれは、、、まじでやばい。うん。やばいねこれ。……あぁぁぁぁぁ!!!」


ホープは激突寸前で後ろに引っ張られたことにより骨折は回避した。


ネムヒル「全く…向こうには魔力操作抜群のシャイネがいるんです。速攻もいいですが陽動も必要ですよ。」


ネムヒルは魔力に属性を乗せるのが苦手な代わりにシャイネと同等の魔力操作の才能を持ち合わせている。

その才能で魔力を糸状にしてホープを捕まえ、後ろにひいたのだ。


ホープ「すまない。でもどうするよ。こっちは攻撃タイプの魔法使いと格闘家たちだけだぜ?攻められたら俺がこの玉担いで走り回らねえとダメじゃねぇか笑」


このチーム戦は相手の陣地にある玉を壊すか自陣に持ち帰ると勝利である。

ホープのチームには攻撃特化。

シャイネのチームには防御特化の人員が集められている。


ネムヒル「ホープ。その案、あながち悪くはないぞ。それを採用してみないか?」


ホープ「おいおい正気か?そしたら俺が袋叩きにされてしまいじゃないか。」


ネムヒル「それだよホープ。」


ネムヒルはニヤリと笑いホープに言う。


ネムヒル「お前が玉を持っていれば敵チームはお前を狙うはずだ。そしてお前は超速度で動けるから余程のことがない限り当たらないだろ。そしたら俺たちはどうなると思う?」


ホープ「?」


訓練生が気づいてホープに言う。


訓練生「つまりですよホープさん。貴方に敵が気を取られている間にこちらで攻めようという作戦です。そうですよね?ネムヒルさん」


ネムヒルはうなずき、みんなに指示を出した。

対する敵陣、シャイネたちも作戦を練っていた。


モック「おーし!行くぞお前ら!防御特化型だって攻撃できることぐらい見せてやるぜ!まずはこいつだ!【煙魔法・忍隠れの煙幕】」


黒い煙が防御特化チームの周りを覆う。

相手の姿を視認することができないぐらい。

ホープたちが身構えていると突然地震が発生し、大きな音が響く。


ドドドドドドドド。


煙幕とは別の煙が周囲を覆うと黒い影が見えた。


訓練生「【風魔法・突風】……な、なんだあれは!?」


風によって煙が飛ばされ、影の正体が露わになる。

その姿はまるで巨人の如し、結晶でできたゴーレムだった。


シャイネ「はぁ…はぁ…全く短時間でこれを作れなんて無茶言いますわねクレバさん。でもなんとか間に合いましたわ。」


クレバ「ありがとうございます。それではみなさん魔力を各部位に流してください。……準備はいいですか?ジンタン君!」


ジンタン「ははは!ちょっと緊張してるけど大丈夫!派手に暴れてやりますよ!」


ジンタンは生まれつき魔力に適性が無い。

しかし気剣流と呼ばれる剣術をわずか数週間でものにしたいわゆる剣の天才である。

そしてゴーレムの中心にきたジンタンは結晶でできた操縦席にある穴に手足を通す。

すると魔力が流れてゴーレムが動き出した。


ホープ「はは。まじかよ。作るだけならまだしも操縦可能とか笑えるぜ。それにあのシャイネがほぼ全魔力使って作ったんだ。分厚さも相当ありやがる。」


ネムヒル「ふっ。降参するか?ホープ」


ホープ「はぁ?んなわけねぇだろ。こちとら攻撃特化だ。目にもの見せてやるぜ!」


勢いよく飛び込もうとしたホープは立ち止まる。


ホープ「流石にこれで突っ込んだら潰されて終わりだよな。どうしようかね。みんな。」


ネムヒル「とりあえずさっきの作戦はあまり意味がなさそうだ。あの巨体の腕を僕の魔力糸で抑えることも難しいだろうしね。」


するとホープたちの上に影が現れる。


ホープ「おいおいこりゃ俺たちを殺す気だぜ。みんな!避けろ!」


ドゴォーーーン!!


結晶の拳が振り下ろされる。

あまりの威力に戦意を失った訓練生たちはリタイアしていく。


ホープ「あいつらまじかよ。まぁ少数精鋭の方が動きやすいのは間違いないけどよ。」


残ったのはホープ、ネムヒル、他2人だった。


ネムヒル「君は確か火の魔法使っていたね。それと君はなんだったかな。」


モルエ「自分はモルエっていいます。火の第2魔法まで使えます。」


シュル「私はシュルっていいます!まだ適正属性が見つかっていないので第1魔法をそれぞれ少しと足の速さを活かした迅闘術しゅんとうじゅつを使います!」


ホープはどうしようか悩んでいるがネムヒルはすぐに発案をする。


ネムヒル「ならばゴーレム内部に潜入し、内側から叩こう。第1と第2の火魔法を合体させて結晶を溶かす。そこにホープが潜入し一気に内部を崩壊させる。」


ホープ「そんなにうまく行くか?第3の火力ならまだしも1と2ではそうそう穴なんて開かないぜ?」


ネムヒルは少し笑うと俺に任せろと言い作戦を開始した。


モック「作戦会議は終わったか?ペシャンコに潰してやれジンタン!」


ゴーレムが再び拳を打ち付ける。

衝撃がすごく、立っているのもやっとのぐらいだ。


ホープ「ふぅ。なかなかの動きをするが目でも全然追えるぜ。んじゃ俺は玉持って動き回るかな!【光魔法・光纏い《脚》】」


モルエ「シュルさん!僕達はゴーレムの上から火の玉を落としましょう!頭部は見たところ敵陣が集まっているので穴を開ければすぐに潜入し攻撃できます。」


シュルがわかったと言おうとした時、ネムヒルが会話を遮る。


ネムヒル「いえ。頭部はおそらく自身たちを守るために強化しているでしょう。私は穴を開けると言いましたがあくまでそれは潜入手段です。まずは敵の攻撃を無力化します。」


ネムヒルがそう言うと目の前に魔力の輪っかを作り出す。


ネムヒル「この輪っかに火の魔力を注いでください。」


そういうと2人は魔法を使って輪っかを燃やす。

ホープがしばらく巨人を引きつけている間にネムヒル達は準備ができた。


ネムヒル「ホープ!!離れてくれ!いくぞ!」


ホープ「やっとかよ!そろそろ魔力も厳しくなる頃だったからな。危なかったぜ!」


モック「おいおいなんだあれは!?ライオンがサーカスで潜る火の輪っかじゃないか。」


クレバ「輪っか、、火、、いやまさか。」


ネムヒル「みんなご苦労!ここからは結晶巨人の解体ショーだ!!存分に楽しんでくれたまえ!!」


ネムヒルが輪っかを超高速で回転させ巨人に向けて投げる。

すると、、、


クレバ「まずい!ジンタンさん!あの火の輪っかに当たってはいけません!!」


ジンタン「いやそんなこと急に言われても!かなりの速度でなげやがったぞ!」


巨人の腕に当たるやいなや、まるで熱々のナイフでチーズを切ったかのようにちぎれ落ちた。


ネムヒル「なぜ輪っかにしたかわかるか!?一回で終わると思うなよ!?あははは!!!」


ホープ「あいつ本当に聖者訓練生なのか?まるで魔女と変わんねぇぞ(汗)」


みるみるうちに巨人の四肢が切断され統率不可能になった巨人は地面に倒れた。

そして、、、


ネムヒル「ホープ!突っ込め!シュルは魔力切れだ!道は作ってやる!」


輪っかが消えそうになっていたが頭部を最後に切り裂く。


ホープ「【光魔法・光纏い《四肢》】!はぁぁぁぁ!!!どうりゃぁ!!!」


一直線に叩き込んだホープの一撃は見事防御特化チームの玉を破壊した。

勝者は攻撃特化チームとなった。


ホープ「ふぅ。3人ともお疲れ!」


ハイタッチをした後、教官が全員集めて反省会を行った。

もちろん決定打は火の輪っかである。


こうして実践を多めに日々訓練を行っていった聖者候補となる訓練生。


全てが順調に見えていた。しかしそう簡単にはいかなかった。


〜ライテン家・リビングルーム〜


ホープ「シャイネ、何を見てるんだ?」


シャイネは窓の外を見て不安そうな顔をする。


シャイネ「最近とても風が強いと思いませんか?お兄様。」


シャイネのいう通りここ数週間は窓がカタカタと揺れるほどの風がちょこちょこ吹いている。


ホープ「そうだな。この前も買い出しに出かけていたら、どこから飛んできたのかわからないこれぐらいの大きい木が倒れていたんだよ。」


ホープは両手を使って丸を描く。

その大きさは直径80センチほどだった。


シャイネ「近くに生えてるような場所はなかったのです?」


ホープ「見渡したんだが住宅街だから生えててもせいぜいこのくらい(直径20センチ程)だな。まったくどうなってんだかね。」


暴風吹き荒れるセーブタウンに不穏な影が近づいていたのだった。


#4 end

見事チーム戦を制したホープだったが

その日以降日に日に風が強くなっていく。

瓦礫は宙に舞い、鍵は倒れる始末。

はたしてこの風はいったいどこからきているのか?

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