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幽霊彼女  作者: ふじやまと
2/2

ワタシタチ憑キ合ッテマス後編

女性に導かれるまま、明人は歩いていく。

そしてたどり着く………彼女の家に。


女性

「ここ………」


明人

「ここか………」

「しかし………どうやってこの家に入ろう」

「見ず知らずの人間がいきなりここに訪ねるのも変だ」


女性

「私の友達ってことで行こう」


明人

「………なるほどな」


明人は家の玄関に立ち、インターフォンを鳴らす。


ピンポーン………


「はい………」


玄関前のインターフォンから声が聞こえてきた。


明人

「あ………あの………ここの家ってマキさんの家でしょうか?」


「そうですけど………?」


明人

「あの………僕はマキさんの友達で………その………彼女から全く連絡が無くて………それで心配になってきたんです!」


「………」


明人

「………」


「ちょっと待ってて」


明人

「あ………はい」


少しすると、ドアが開かれ、中から女性が出てきた。


マキ

「お母さん………」


明人

(マキのお母さん)


マキ母

「どうぞ中へ」


明人

「お………お邪魔します」


明人は家の中へ入っていく。

マキのお母さんに家の中を案内される。

案内された先は仏壇であった。


マキのお母さん

「………マキはこないだの地震で亡くなったの」


明人

「………」


仏壇には生前のマキの笑顔の写真が飾られていた。



明人

「………そう………だったんですか」


マキのお母さん

「心配かけてごめんなさいね」


明人

「い………いえ」


マキは自分の仏壇を見て、自分が死んでいることを再認識した………。

そして彼女は母親が無事であることに安堵したのだ。


マキ

「お父さんは………無事だったのかな?」


明人

「あの………」


マキのお母さん

「はい?」


明人

「マキさんの………ご家族は皆無事だったんですか?」


マキのお母さん

「そうね………特に大事にも至らず」


明人

「そ………そうですか」


マキ

「良かった………」


明人

(他に聞きたいことある?)


明人はぼそぼそとマキに話しかける。


マキ

「私が助けた子が無事か知りたい………」


明人

「………えっと………あの」


マキのお母さん

「はい」


明人

「大変………心苦しいのですが………」

「マキは………何で死んでしまったのかなって」


マキのお母さん

「………え?」


明人はいきなりマキの母親にマキが助けた子供が無事だったのか聞こうとしたが、突然そんなことを話しかけても、なぜマキが子供を助けようとしたことを知っているのか説明ができないため、あえてマキの死因から話を伺うことにしていた。


マキのお母さん

「………マキはね………子供を助けようとして死んだの」


明人

「助けようとして?」


マキのお母さん

「そう………マキが助けたお子さんの話を聞けくとね………」


マキの母親はマキが死んだ経緯を話してくれた。


地震があったあの日、マキは商店街にいた。

そして地震が起こった。

地震が止み、その時のマキは何とか無事だった。

しかし、目の前に子供が歩いているところに店の看板が落ちてきた。

子供を助けようとマキは走り、飛び込んでは子供を押し出した。押し出された子供は倒れ、そして振り替えると、すでにマキが看板に押し潰されていたそうだ。


明人

「………」

「子供をかばっただなんて………マキらしい」


マキのお母さん

「ええ………あの子は………立派だったわ」


マキの母親の目に涙が溜まり、鼻をすする。

明人もその様子を見て泣きそうになる。


マキのお母さん

「ごめんなさいね………思い出したら涙が………」


明人

「いえ………話してくれて………ありがとうございました」


明人は最後に仏壇の前に立ち、線香をあげる。

隣にいたマキはただただ泣いていた。


マキのお母さん

「わざわざ来てくれてありがとう」


明人

「こちらこそありがとうございました」


明人はマキの家を出る。

マキはずっと下を向いていた。

幽体であるマキと手を繋ぐことはできないが、

明人はマキの手を重ねた。


マキ

「………ありがとう明人」


明人

「いや………俺は何もしてないよ」

「むしろ………いろいろ家事やってくれたしそのお礼さ」


マキ

「私ね………お陰様で成仏できそう」


マキの足が粒子となって消え始める。


明人

「!」


マキ

「ありがとう………さよなら」


明人

「ま………」


マキ

「………ま?」


明人

「待ってくれ!!」


明人は天に上ろうとするマキを捕まえる!

実体が無いはずなのに、彼はマキの手を取ることができた………。


マキ

「え!?」


明人

「まだ成仏するな!」


マキ

「!?」


明人

「マキの作る料理は旨いし………家事も助かるし………それに………えっと………」


「マキとの生活が楽しかったんだ!!」


マキ

「………ありがとう………でも」


明人

「まだ一緒にマキといたいんだ!!」


マキ

「………!?」


明人はマキを自分の元へ引っ張る!


明人

「成仏しないで俺と付き合ってくれ!!」


マキ

「!!」


マキはフッと笑みを浮かべる。


マキ

「クスクス………」


明人

「………」


マキ

「わかった」


マキと明人は抱き締めあう。

彼らは憑き合うことになったのだ。


それから数日後………。

明人の母親は明人の一人暮らしの様子を見るために明人のマンションに出向いていた。


明人の母親

(ちゅんと暮らせてるのかしら)


明人の母親は明人のいる302号室のインターフォンを鳴らした。


明人

「はい」


明人の声がインターフォンから聞こえてきた。


明人の母親

「私よ」


明人

「あーハイハイ」


明人はドアを開ける。


ガチャン………


明人の母親

(全く全然連絡よこさないんだから………)

「って………」


明人

「ようこそ………ん?どうした?」


明人の母親

「う………うわあああああああ!?」


明人の母親はその場で尻餅をつく!


明人

「?」


明人の母親

「ぎゃああああああああ!!」


明人の母親の目には痩せ細った明人と、その背後に頭から血を流した女性が立っていた………。


明人

「どうした?」


明人の母親

「ど………どうしたって………あんた………」


明人

「ああ………もしかしてマキが見えるの?」


マキ

「はじめましてお母さん」

「明人の恋人の………マキです」


「よろしくお願いします!」


マキの恐ろしい顔を見て、明人の母親はその場で気絶した。

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