念願?
理衣亜と本を、買いに行った次の日の昼休み。俺は、山崎と黒木に親睦会に出るのかを、聞く事にしている。勿論、理衣亜が今日の昼休みに、来ない様にお願いを、したのは言うまでもない。
今週中にある程度は、仲良くなっておきたい。あわよくば昼休みに、放課後何処かに遊びに行かないかと、誘って遊びに行ったりして、仲良くなって親睦会を、一緒に出て楽しむ為でもある。
そのおかげで理衣亜のお願いを、俺の出来る範囲で、何でも聞かないといけなくなったが、まあそれだけで昼休みに、ご飯の誘いを来ないなら安い物だ。
4限の授業も終わり、俺は弁当を片手に持った。
黒木が山崎のいる、隅っこに移動したのを確認してから俺も、弁当も持って、2人がいる隅っこに、どうか俺まで避けられませんようにと、祈りつつ移動をする事にした。
「な、なあ山崎と黒木、今日は一緒にご飯を食べないか?」
「も、ももも勿論歓迎ですぞ! 食べますぞ!」
「う、うん! 一緒に食べよう」
「ほ、ほんとか!? いいのか!?」
山崎と黒木の所に着いて、声をかけてみたが、良かった……俺が来ただけで、理衣亜も来るんじゃないかって、逃げられる心配はいらなかったみたいだ。
逃げられずに済んで、安心したけど思わず本当に、いいのかと聞いてしまったのはしょうがない。逃げられたのは、昨日の事だし聞いてしまう。
「勿論ですぞ! いいのかと聞かれたら、昨日と同じことを言いますぞ!」
「うん、大丈夫だよ」
黒木の言葉を聞いた瞬間俺は、またお茶を長い事買いに、行くのかと思い出していたが、山崎の言葉で、もう一個の方かと安心した。ま、紛らわしいことを言わないでくれ。それから俺も席につき、弁当箱を開け一緒に弁当を食べ始める。
「黒木と山崎は……」
「増田殿に……」
「増田君……」
食べ始めの最初は無言だったが、親睦会の事を聞こうと喋ろうとしたら、声が重なってしまった。そして3人、気まずくなり少しの間沈黙になった。
「あ、と、何だ?」
「どうしたんですぞ?」
「どうしたの?」
少し沈黙した状態が気まずくて、気まずさを消すように俺は、どうしたのか聞こうとしたら、また声が重なる。
「……」
「……」
「……」
今度は3人で沈黙が長く続き、余計気まずくなった。
今まで友達が居ないし、こんな事を経験した事がないし、どうしろと言うんだ。
「増田殿からどうぞですぞ!」
「うん! 増田君、何かな?」
俺は、もうこの際、挙手でもした方がいいのか? 席を立って、喋り始めた方がいいのかと、色々考えていたら黒木から聞いてきて、山崎がそれに続いてきた。
成程、こう言う時は、無言が正解なんだな。変に喋ろうとするから、ああなるんだな。
俺は、それを覚えてから、聞きたかった親睦会の事を、聞いてみる事にする。
「その、ふ、2人は親睦会に出るのか気になって。で2人は親睦会どうするんだ? 出るのか?」
「私は出ませんぞ? 理由は93個程ですぞ」
「うん、僕はそこまで多く理由無いけど出ないよ?」
ちょっ、ちょっと待て、俺の聞き間違いなのか、なんだ93の理由って、多すぎるだろ。そ、それよりも2人は出ないのか!?
「そんなにあるのか!? どんな理由なんだ!?」
「私が説明しますぞ、山崎殿?」
「うん」
黒木が説明するって、どう言う事だ2人は、似たような理由で、来ないって事なのか?
俺は、その理由が気になり、無言で黒木の説明を待つことにした。
「増田殿、私達が出ないの理由は簡単ですぞ? 元々参加出来ないからですぞ?」
「へ?」
「私達は、グループチャットをしてませんぞ? なので元々出られないんですぞ? そして言いにいけば良いと、思われると思いますが、私と山崎殿が言いに行けると思いますぞ?」
元々参加出来ないと言われ、俺は思わず間抜けな、返事が出てしまった。その後、黒木が続けてくれたがそう言う事か、しかしこれは問題ない?理衣亜に聞けば教えてくれるだろうし問題無い。
問題無いと思っていたが、理衣亜の連絡先を知らねーじゃねーか! 大問題だ。
そうだよ、リア充グループに話しかけるなんて、俺にも出来るわけがない。
グループチャットも出来ないって、そうなると俺も結局、参加が出来ないってことか。
「……そ、そうなんだな、俺にも無理だ。俺も参加出来そうに無いな」
「うん、僕達の理由はそう言いう事なんだよ」
「まあ、仮に私と山崎殿が参加した所で、結局私達と話すような人はいませんぞ? なので行ってもしょうがないのでありますぞ?」
「俺もそ、そうかもしれないな……」
俺は、山崎と黒木の理由に納得した所で、黒木が追い討ちをかけるような事を言ってきて、俺もそうかもしれないと、思わず納得してしまった。
「う、うん。それでね僕達は親睦会に出ないし、土曜日に遊ぼうかって、話をしていたんだけど、増田君も親睦会に、参加出来そうに無いならどうかな?」
「そうですぞ! 是非一緒に遊びますぞ! 勿論無理にとは言いませんぞ! 親睦会に出られそうなら出るもよし、私達と遊ぶもよし、増田殿の都合次第でいいですぞ!」
残り90個ぐらいの、理由も続けて言ってくるかと思っていたが、山崎と黒木が親睦会に、参加出来そうに無いなら遊ぼうと言ってきた。
え、聞き間違いなのか、今俺誘われたのか?
「え、俺もいいのか!?」
「勿論だよ! それに良かったら、連絡先も交換しようよ」
「そうですぞ! いいのかと言われたら、またあれですぞ! 私とも連絡先交換して欲しいですぞ!」
俺は本当に誘われているみたいだ。誘われたのが本当に、嬉し過ぎて泣きそうだ。
親睦会に、参加出来ないと分かった時は絶望したが、今は遊ぼうと言われたり、連絡先交換しようと言われたり、嬉しさがうなぎ登りだ。
ドッキリじゃないよな、冗談でしたとか無いよな、そんな事を言われたら泣けてくる。
「も、勿論遊ぶし、連絡先も交換するに決まってるだろ」
俺はそう言いつつ、嬉しくてしょうがないが、それを何とか平静を装い、ポケットからスマホを取り出した。
「じゃあバーコー……ちょ、ちょっとごめんね増田君、ぼぼぼぼ僕とととトイレに行って、お茶を買ってくる!」
「わ、わわわわ私もお茶に行って、と、とととトイレ買って来ますぞ!」
急にどうしたんだ2人共!? え、余程トイレ我慢してたのか、俺が変な事をしたのか!?
ポケットからスマホを取り出して、連絡先を交換しようとしたら、2人が慌てた様に、それだけ言って教室を出ていくのを、俺は呆然と見ながら、そんな事を考えていた。
「け、けけ健人? 手にも、もも持ってるのは何かな?」
色々考えていた俺に、後ろから戸惑った様な声をかけられた。
見なくても分かったが、後ろを振り向くと目を泳がせながら、震えた指で俺のスマホを指しながら、立っている理衣亜がいた。