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恥ずかしい本って何?




「皆! ちょっと聞いて貰ってもいいかな? 今度の土曜日にクラスの親睦会を、カラオケか食べ放題のお店でする事になったんだ。それでお店の予約とかあるから、参加するかしないかを、クラスチャットに入ってる人はそこで返事をして欲しい。していない人は俺に言いに来てもいいし、クラスチャットに入れるように、誰かに招待して貰って、チャットで返事をして欲しい」



 その日の放課後HRが終わり、名前は分からないが、リア充グループの1人の男子が言いだした。

 それを聞きいつの間にそんなのが決まったんだとか、クラスチャットとかいつ出来たんだよと、少し本当に少し複雑に色々思いつつも、歓喜していた。



 俺はカラオケに行ったことがないし、ご飯を食べに行くのも、理衣亜か家族としか行ったことがない。

 喜ぶなというのが、無理な話しだ。決してクラスチャットを教えてもらえなくて、悲しい何て思っていない。



 誰にも教えてないし聞かれてもいないけど、これはしょうがない。決して除け者見たいにされてとか、考えて震えている訳じゃない。



 初めて理衣亜と家族以外で、何処かに行けるのが嬉しくて震えているだけなんだ。



 勿論聞いた瞬間に俺は、参加する事を決めたが、山崎と黒木は参加をするんだろうかと考える。



 俺的には他に話せそう人が、他に理衣亜以外には居ないし、理衣亜は理衣亜で友達とも喋るだろう、まあ参加するかは分からないけど。



 そんな中で2人が居なかったら、軽く浮く可能性もある。

 親睦会なのにそこで、ボッチになる自信すらあるから、是非とも参加をして欲しい。



 2人が参加するのか知りたいが、聞きに行っても、今日の昼休みの事もある。

 俺が話しかけに行って、理衣亜が来るかもと思われて、理衣亜達が来た時みたいに、俺も逃げられたらショックだ。



 山崎と黒木に聞こうと思いつつも、昼休みの時みたいな事を避けようと、理衣亜が居るのか確認してみると、まだ教室の中にいた。



 今日は聞けないな、明日何とか聞けないかなと、考えつつ俺は教室を後にする。

 教室を出てから思い出した。今日は新刊の、ボッチな俺が金髪尻軽ビッチにプロデュースされリア充になるの、発売日だという事を。俺は思い出したと同時に、足早に靴箱に向かう。



「待って! 健人待って! 一緒に帰ろ!」



 足早で靴箱に向かっていると、後ろから理衣亜が走りながら、慌てた様に声をかけて来た。

 俺はそこで振り向いて廊下は走るなと、言いたかったが、新刊が早く欲しかったから、手短に済ます事にする。



「今日は、と言うか今日もだけど、無理だし友達と帰ればいいだろ?」


「友達にはさっき、大事な用があるから先に帰るねって断ってきたから、だから一緒に帰ろ?」


「はい?」



 ついつい間抜けな返事をしてしまった。

 大事な用があるなら早く帰れよと、思うのは俺だけじゃないはず、誰だってこうなる。



「えっと、一緒に帰ろ?」



 いやいや、別に聞き返してるわけじゃないし、耳が悪いわけじゃないし、ちゃんと聞こえている。

 間抜けな返事をしてしまって、何を勘違いしたのか、理衣亜が同じことを言ってきた。



「用があるなら、早く帰った方がいいんじゃないか? それに俺も、今日は用があるし無理だ」


「え、そうなの!? 用って何!? だ、誰かと遊びに行くの!?」



 俺が用があるから無理だと言うと、理衣亜は驚いて、慌てた様に少し大きめの声で言ってきた。

 俺に用があるのがそんなにおかしいのか、友達が居ないからって、用があったらおかしいのか、俺だって用ぐらい、ある時はある。



「今日、発売される本を、買いに行くんだ、それより理衣亜も、用があるなら早く、帰った方がいいんじゃないか?」


「えっとね、わ、私も本を買いに行こうと思って! い、一緒に行かない!?」


「……いやいや、本なら友達と、買いに行けばいいんじゃないか、何でわざわざ俺と一緒に?」


「その、と、友達の前じゃ、は、恥ずかしくて買えないと言うか……だから、一緒に買いに行こ?」



 理衣亜はいったい何を買おうとしてるんだ……恥ずかしくて買えない本って何だ。

 何でそんな本を俺の前では買えるんだ。



 健人は友達じゃないし、ただの幼なじみだからってことなのか、振った追い打ちをここまで掛けてくるのか。



「流石に俺の前で、恥ずかしい本を買うのも、どうかと思うぞ? 何を買う気だよ」


「そ、それは、ボッチ……き、金髪……恥ずかしくてこんな所で言えるわけないでしょ! 聞かないでよ! それより早く行こ!」



 余程恥ずかしかったのか、理衣亜が顔を少し赤くしながら、慌てた様に言ってきた。

 り、理衣亜は本当に、何を買おうとしてるんだよ、ボッチと金髪は分かったけど、学校で言えない様な恥ずかしい本を買うって、本当に大丈夫なのか心配になる。



「はあ……分かった。ここで、こんなに話してて変な勘違いされても嫌だし早く行くか」


「うん」



 結局俺は、一緒に行くことを認めた。もう一緒に行く気があるみたいだし、何を言っても着いて来るのも目に見えている。



 俺が一緒に行くことを了承すると、理衣亜は少し赤くした顔のまま返事をした。

 何で勘違いを周りにされる様な事はしたくないのに了承したんだろとそんな事を考えつつ、2人で学校を後にした。



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