ぱーどん?
無事に写真を撮り終わり……無事にとは言い難いか、あれから何度恥ずかしい……違うか、照れくさい……これもなんか違う気がする。
取り敢えず写真を撮り終わり言える事は、絶対に魚を撮る気が無かったと断言出来る。
どうやったら何度も間違えて、スマホを縦で持って、写真を撮ろうと思うのか意味不明すぎる。
お魚さんがまた写らなかったよって写るわけがないだろ。
本当に何がしたいのか分からなかったな……写真が撮りたいっていうのは分かるけど。
あれから心変わりをして、俺の事を好きになったとかか……と何度も勘違いしそうになるのを否定するのに、必死になったことか分からない。
同じ所を戻り、また写真撮ってを繰り返し、その後に昼食を食べる時にも……。
次からお願いを聞くのも、考えないといけないな。
そんな事を考えつつ見ていたイルカショー。
正直に言って、イルカ達が何をしていたのか全く覚えていない。
しょうがないだろ、これはしょうがないんだ。理衣亜の行動が意味不明すぎるのだから。
そのイルカショーも無事に洋服が濡れるとか、そんなアクシデントとかも無く、今はお土産コーナーを見ている。
ぬいぐるみにぬいぐるみ、そしてまたぬいぐるみ。
キーホルダーとかも色々とあるが、何を買えばいいのか分からないな。
寧ろ欲しいのかと聞きたいまである。
お菓子? スーパーなりそこで買った方が安くないかと聞きたい。ぬいぐるみ? こんな調子で行く所行く所買っていたら置く場所無くなるだろ。
キーホルダーなんかどうするんだよ、買ってばっかりいたらカバンが大変なことになる。
ボールペン達も高すぎるだろ。
「健人は何を買うのか決まった?」
物を色々と見ながら考えていたら、両手にぬいぐるみを1個ずつ抱えている、理衣亜が話しかけてきた。
理衣亜の部屋に、ぬいぐるみが結構あるがまだ買うのか……俺もそれに協力していた1人だから何も言えないが。
「いや、俺は要らないから、理衣亜が決まったならもういいんじゃないか?」
「え、な、何も買わないの!? せっかく来たんだよ!?」
「そう言われても、欲しいものが何もないし要らないし、寧ろ邪魔になりそうだし」
「健人が要らなくても、悠里ちゃんに何か買っていこうよ」
悠里に何か買うのか……悠里にキーホルダーは、こんなの欲しがる歳じゃ無いんだけど、とか言われそうだな、お菓子も……ぬいぐるみもか……いや、ぬいぐるみは理衣亜も……買ってるのが理衣亜だから何とも言えないな。
お土産屋の存在する理由が分からなくなりそうだ。
そもそも地元だからか、旅行している訳でもないし、欲しいのがある方がおかしいのかどうなのか。
考え出したらきりがなさそうだ。
「そ、そうだな、なにを買っていいか分からないし理衣亜が選んでくれないか?」
結局俺は、もう何を買っていいか分からなくなり、理衣亜に丸投げをする事にした。
同じ女子目線なら、多分間違いは起こらないだろうと考えて。
何を言われたとしても、理衣亜が選んでくれたと言えるからな。
「え? 私が選ぶの? メールか電話で聞いたらいいんじゃないの?」
聞けるわけがないだろと、言いたいが言えるわけがない。
全くもってその通りだしな。
色々あって悩んで選べないんだ、と言ってもまた聞けばいいんじゃないと言われるのも分かりきっている。
だけどだ、悠里に聞いたら最後、お小遣いが凄い勢いで減ってしまうのは、分かりきっているから聞けるわけがない。寧ろ聞きたくないまである。
丸投げ作戦大失敗だ。
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丸投げ作戦は失敗に終わったが、理衣亜が選んだ中から俺が選ぶ作戦に変更し、なんとか無事に買えた。
お菓子と魚達の写真を……写真が高すぎるだろ。
高い高すぎる。魚達の写真であんなにするとか詐欺にしか思えなかった。
ネットで漁り欲しいの聞いて、プリンターから出せばとか、ここ水族館だよな、自分達で撮ったの現像すればいいんじゃと何度思った事か。
買った後でこんな事を考えた所で、何を今更な話し、というのはわかっている。
そんな事を考えつつの帰り道。
「ねぇ健人、今日楽しかった?」
「そうだな……楽しかったな、リュウグウノツカイだっけ? おやつを食べた後の理衣亜みたいにデローンとしてた所とか」
「わ、私、そんな事したりしないよ!? 健人だよね!?」
「俺だってしてないからな、あのイルカ達の様に毎日元気に飛び跳ねてるからな……きっと」
本当にイルカ達は凄かった。何がそんなに楽しいのかぴょんぴょんぴょんぴょんと良く跳ねていた。飛んでいた?
餌の魚を貰う為に必至になって、健気なイルカ達だったなとか考えたのは内緒だ。
そういう所も含めて水族館が嫌いで、楽しめたかどうかはよく分からないが、理衣亜が楽しかったならまあいいだろう。
「ね、ねぇ健人、お、お願いがあるんだけど……い、いいよね!?」
そんな水族館の事を、しばらく話しながら歩いていた所で、理衣亜が立ち止まりお願いがあると言ってきた。
理衣亜のお願いが、もう嫌な予感しかしない。
「い、いや今日さ、お願い2つも聞いたし今度でいいんじゃないか……? え、えっと嫌とかじゃなくてな、ほ、他に色々とお願いしたい時があるかもしれないだろ?」
「その色々が今なんだよ、今お願いを聞いて欲しいんだよ!」
「そ、そうか……わ、わかった。お願いを聞くよ、お願いってなんだ?」
お願いをなんとか、聞かなくてもいい方に持っていきたかったが、理衣亜の様子を見てもう無理だと分かり、お願いを聞くことにした。
もうすぐで家に着くって所なのに、本当にどんなお願いをする気なんだ。
今からどこかに買い物をしようとか嫌だからな、水族館に忘れ物をしたから取りに戻ろう、とか言われたら泣きたくなってくる。
せ、せめてジュースとかお菓子とかコンビニで済ませられるお願いがいい。
色々と考えながら祈るように、理衣亜がお願いを口にするのを待った。
「え、えっとね……お願いなんだけどね……」
「お願いってなんだ?」
「そ、そのね……えっと……お願いね」
理衣亜は恥ずかしそうに、モジモジと中々お願いを言おうとしない。
勿体ぶらずに早く言って欲しい。
なんだ、トイレか、トイレなのか? 間違ってもセクハラだから言わないけどもう家に着くだろ。
「お願いってなんなんだ?」
「ぜ!絶対に嫌とか言わないでよ……?」
嫌とか言わないでよってどんなお願いをする気なんだ。
一緒にトイレに入ってとか言う気なのか……? 絶対ないな。ほ、本当に忘れ物を水族館にしたとか言わないよな……。
「え、あ、まあ絶対に言わないから早く言ってくれ」
「う、うん……えっとね、今日撮った写メをね……一緒に待ち受けにして欲しいの……」
時が止まった、時が止まったって本当にこんな時に使うんだな。
じゃなくて……え、は? 理衣亜は、な、何を言い出してるんだよ。
本当に勘違いをまた、しそうになることを何でこんなに言ってくるんだ。
理衣亜が本当に何を考えているのかわからない!




