母として、いえ鍵が大事?
理衣亜ってやっぱり普通に可愛いよな。反則だろ何で笑顔を向けられるんだよ。俺が悪いんだから、一緒に登下校や2人で出掛ける約束をしただけで、嬉しそうに笑顔になるのはダメだろ。
ダメだぞ俺、しっかりしろ俺、か、勘違いはもうしないって決めたんだ、俺と出掛けるのがとか、俺と一緒に登下校が出来る事がとか考えたらダメだ、自意識過剰だぞ俺。
そ、そうきっとあれだ、仲直りが出来るのが嬉しくて笑顔になったんだよな。
中学生の頃もたまに一緒に登校することもあったし、悠里と3人で出掛ける事もあったんだ。
うん、勘違いはしない、絶対にしない。
あのドキッとしたのもあれだな、気の所為だったかな。そ、そうだよな理衣亜の顔今までも見てきたわけだし、ドキッとする訳がなかったよな。
うん、きっとそうだそうに違いない。
昨日の事を思い出していた俺は、そこで首を横に振り、理衣亜を迎えに行かないといけないことを思い出す。
約束は今日から1週間、家から駅まで何故か手を繋いで登下校と、休みの日に2人で手を繋いでお出かけで話がついた。
本当に何で、手を繋いでなのかがわからない。
こんな事をするから、本当に勘違いしそうになるんだ。ち、違う、だ、ダメだ勘違いはしないんだ。
「はあ……馬鹿なことを考えてないで、そろそろ理衣亜の家に行くか……久しぶりだな理衣亜を迎えに行くの」
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母さんに「今日は随分と遅いわね、どうしたの」と散々、本当に散々色々と他にも言われたが、気にせず家を出て、理衣亜の家の前までやって来た。
時間的には大丈夫だと思うが……久しぶりすぎてドキドキがやばいな。ピンポンダッシュをする人の気持ちがわかったような気もするな。また別か……だけどこれは本当に逃げたくなるな。
「もう呼ばずにここで、そのまま待っとくのが正解な気もするな……はぁ」
と、そんな事を呟きながら悩んでいると、ドアが開き理衣亜の父親と母親が出てきた。
一瞬頭がフリーズしたのは、言うまでもない。
「あら健人君おはよう、久しぶりね、理衣亜を迎えに来たの?」
「おはよう健人君、久しぶり」
「あ、えっと、お、おおはようございますお久しぶりです、そ、その理衣亜の迎えに来ました」
理衣亜の両親に声をかけられ、吃りつつも何とか返事を返すことが出来た。
俺が返事を返すと、理衣亜の父親が「じゃあ俺は仕事にいってくるよ、健人君も理衣亜と気を付けて」と言ってから仕事へと向かった。
理衣亜の両親の邪魔をしたんじゃないかと思いつつも「はい」とだけ俺は返事をして、理衣亜の父親を見送った。
「健人君、ごめんなさい、あの子まだ寝てるのか用意してるのか、部屋からまだ出てこないの」
「そ、そうですか、じゃ、じゃあここでしばらく待っときます」
理衣亜の父親を見送っていると、理衣亜の母親が教えてくれた。俺はこのままここで待っとく事にしてるから、そのまま理衣亜の母親に言った。
理衣亜もこんな時に、遅れないで欲しい。
「このままここで待たすのは悪いから、家に上がって」
「い、いえ本当に大丈夫です」
「遠慮なんて今更しなくても大丈夫、いいから上がって」
「い、いや、でも」
「はいはい、いいから」
遠慮とかじゃないんだけどな、本当にここで待っていたいとは、ここまで言われたら流石に言えない。
久しぶりに俺は理衣亜の家に上がる事にした。
「はい、どうぞスリッパ」
「あ、ありがとうございます」
「健人君どこに行くの?」
スリッパを渡され、スリッパを履き靴を整えてリビングに行こうするが、違っていたみたいで呼び止められた。
凄く嫌な予感がするのは気のせいだと思いたい、思いたいけど理衣亜の母親はたまに突拍子もない事をするから嫌な予感が当たる気がする。
「え? どこってどこにいけばいいですか?」
「上よ上、理衣亜の部屋に決まってるでしょ?」
その言葉を聞いて言葉がなかなかでてこなくなった。
理衣亜の母親は大丈夫なんだろうかと、色々な意味で心配になる。仮にも娘の部屋に……何を考えているのか何がしたいのかわからない。
「流石にそれは……」
「いいのいいの、起きてこない理衣亜が悪いし今更でしょ? 一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、寝てるんだし」
遠慮の言葉を出そうとした所で、言葉を遮られ言われた言葉に、また言葉を失いそうになる。
いつの話をしてるんだよ、歳を考えて欲しい。流石にそんな事をしたら理衣亜が可哀想だろ。
「ほら健人君行くよ、モタモタしないで」
「え、いや、本当に大丈夫です」
「はいはい、行きますよー、寝てたら起こさないと行けないし」
俺は理衣亜の母親に背中を押され、そのまま階段を……いや、待って本当に行くのか!? おばさんの力が意外と強すぎるだろ。ちょ、本当に待って欲しい。
そんな事を考えていると、あっという間に理衣亜の部屋の前まで来た。
「じゃあ健人君、準備はいい? 開けるよ?」
「ここから呼べばいいじゃないですか」
「健人君はわかってないなー」
何の準備だよと言いたくなった。
俺の提案はあっという間に無視をされた形になり、理衣亜の母親が、わかってないと言いながら部屋の扉を開いた。
理衣亜の部屋の中が見え……俺は固まった。
「お、おおおおお母さん!? け、けけ健人も……い、いや、きゃあああああああっ! 閉めて、早く閉めてよ! 健人も見ないでよ! は、ははは早く!」
「理衣亜が遅いから呼びにきたの、今着替えてるの? ほら健人君もこうやって待ってるんだから」
「お、おおおお母さん!? わ、わかったわかったから早く閉めてよ!」
「何を恥ずかしがってるのよ今更、今まで散々見せてきたでしょ? 真っ裸を」
「いつの話してるの! 早く! 健人もいつまでこっちみてるの!?」
理衣亜の部屋を開けると目に映ったのは、理衣亜が下着姿1枚でブラジャーをつけている所だった。
理衣亜の悲鳴が耳に入るも、訳が分からず動けないままの俺を放置して、理衣亜の母親と理衣亜の会話を黙って見ながら動くことが出来なかった。
み、水色か……じゃなくて、肌も綺麗……でもなくて……え、えっと……スタイルも……じゃなくて……寝る時はつけて……でもなくて……寝起きの理衣亜も……違う、だ、まめだ頭が回らない。
「じゃあ理衣亜、早くしなさいよ、いつまでも健人君を待たせてないで」
「わかってる、わかってるから早く出ていってよ! 健人も早く後ろ向いてよ!」
「……えっ、あ、ごごごご、ごめん!本当にごめん」
理衣亜の言葉が耳にやっと入って、理解出来た俺は、咄嗟に必死に謝り後ろを向く。
俺が後ろを向いてから、理衣亜の母親が扉を閉めた。
「健人君どうだった? 成長してるでしょ理衣亜」
「……え、いや……」
「照れちゃって、いいのいいの、部屋の鍵をしていない理衣亜が悪いし、気にしなくていいの、それで本当にどうだった?」
母親がこれでいいのかと考えなくもないが……朝から眼福でしたとも思っている俺がいる。
俺達2人は理衣亜が降りて来るまでそのままリビングで待つことになった。
理衣亜が降りて来るのが遅すぎたのは言うまでもなく、俺は学校に行く途中、理衣亜に散々言われ謝り倒し、理衣亜のお願いをまた1つ聞かないといけなくなった。
理衣亜のお願いを3つに増えたのか……




