原因?
お、おかしい、おかしすぎるぞ、何でこうなったんだ。
後藤さんに、パンを貰ってから席に戻り、カバンの中に入れて、理衣亜の所に向かった。
理衣亜の所に行ってから、訳が分からない。
明らかに避けられだした。声をかける前に理衣亜が俺に気付き、そのままどこかに行ったり。
声を掛けても「ごめんね」と言ってどこかに行ったり。何でこうなったんだ。
4限までの授業も恙無く終わり、今は、山崎と黒木と一緒に、昼食を食べている。
山崎と黒木にも、勿論土曜日の事は、朝に人気のない所に行き謝っている。2人は、快く許してくれた。
クラスの人達がいる所で謝るのが、別に恥ずかしいとかそう言う訳では無い。
2人が周りの視線を気にしての事だ、俺が気にしてた訳じゃ断じてない。
朝にちゃんと2人には謝れたが、問題は理衣亜だ。
何で急に、あんなあからさまに、避けられるのかが分からない。
俺が何か朝にあれからなんかしたのか……特にした記憶は無いが、どうして避けられるんだ。
昼食を食べながら俺は、色々と周りの声も入らないぐらい考えている。目の前では、黒木と山崎が小声で、何やら喋っていた。
最初は、何を話しているのか気になったが、今は気にならないぐらいに、考え事に集中していた。
(ね、ねぇ黒木君、ま、増田くん大丈夫かな?)
(だ、大丈夫では無いと、言わせてもらいますぞ)
(そうだよね、ど、どうしたんだろうね)
本当に何を、理衣亜にしたんだ? 何で避けられるのか本当に分からない、朝も確かに口を聞いてくれないこともあったけど、最終的には、喋ってくれていたわけだし。帰りに寄り道の件も聞きたいのに、本当に何で避けるんだよ。
(理由は93個程、ありますぞ)
(ど、どんな理由があるの? ぼ、僕は考えても早川さんに避けられてるかな、って事しか考えつかなかったけど)
(あ、え、えぇっと、そ、それが原因ですぞ、増田殿が休み時間の度に話しかけるも、早川殿が増田殿を、避けてるように見えましたぞ)
(や、やっぱり黒木君もそう見えた? な、何で急に避けたんだろうね? 土曜日は一緒に遊んでたのに)
(そ、それですぞ、たたた多分これは、私達が原因ですぞ)
(そ、そそそそうなの!?)
後藤さんに、何か変な事でも、理衣亜は言われたのか? それは無いか、後藤さんは、もう1人の友達と話しているのを見たし、理衣亜は席に座っていたから話しては無いはずだよな。
ま、まさか2人はテレパシーが使えて、それで話してたとか……馬鹿な考えはやめるか。本当になんなんだよ。
(よく考えて見るですぞ、土曜日に増田殿は私達に気を使い、私達と遊ぶっと言ってましたぞ? しかしそこに、お揃いのジャージを着た早川殿も現れ、4人で遊ぼうと増田殿はしましたぞ? つ、つつつまりですぞ? 増田殿は早川殿とデート予定だったですぞ? し、しかしデデデデートを邪魔された早川殿はですぞ?)
(ぼぼぼ、ぼ僕達と、でで、でででデートより、一緒に、遊ぼうとした増田君がま、まままま、まままだ許せなくて避けてるってこと!? ま、まま待って黒木君、ぼぼぼ、僕達も、物凄く悪いことをしたんじゃ……?)
(物凄く所ではないですぞ!? お揃いを着るほどの、ななななな仲良しだったんですぞ、そ、それの邪魔をした私達は犯罪者並ですぞ、いくら責められても、なな、何も言えないぐらいですぞ! そ、それを責めてこない、ま、増田殿にたいして、ざ、罪悪感が大変なことになってますぞ……)
(た、たたた、大変だよ!? ま、増田君は、そ、そんな僕達を責めないなんて、や、優しすぎるよ! ぼ、ぼぼ僕達が何とかしなきゃ)
(そ、そうですぞ! は、早川殿に、い、いい一刻も早く謝らなければですぞ! わ、私達の、せ、責任、に、ににに逃げられませんぞ?)
理衣亜の家の前で、帰りを待つか……軽くストーカーみたいだな……ストーカーか……
て、手紙でここに来てくださいって書くか……俺の名前を書いたら、来てくれなさそうな気がしてならない。読まずに捨てられるか……つ、辛すぎるだろ。
読まずにメールを、削除した俺が、言えることじゃないが、や、やったらダメな事だったな……
(で、でででは、い、行きますぞ! ぜ、ぜぜ絶対に逃げたらダメですぞ!?)
(だ、だだだ大丈夫だよ! くく、くくく黒木君もだからね!?)
(わ、わわわ私だって、だだだだだ大丈夫ですぞ! だ、大丈夫なのですが、こ、ここ、こここは、お、お互いが、に、逃げないように、て、ててて手を繋ぐのはどうですぞ!?)
(そ、そうだね、は、ははは、恥ずかしいけど、ぼ、僕達のせいだから、し、しょうがないよね、ま、ままま、また虐められるね)
(そ、それは、し、仕方ないですぞ! あ、甘んじて受けますぞ!)
(そ、そうだね! じ、じゃあ、い、いいいい行こう!)
後藤さんに、理衣亜を呼び出して貰うか……? ご、後藤さんに、クラスの人がチラホラならまだしも、ここまでいると言いづらいな……後藤さんにメール……は無しだな……俺の所まで来て、色々と聞かれるのも困る……か、考えが纏まらない。
色々と考えては自分でダメ出しをし、中々いい案が思い浮かばないままでいると、黒木と山崎が勢いよく立ちだすのが目に映った。2人の方を見ると、何故か手を繋いでいるが……え、なんなのこの2人。本当に仲が良すぎじゃないか?
「ま、増田殿、ほ、本当にすみませんぞ、わ、私達が何とかしますぞ」
「増田君、本当に、ご、ごめんね、だ、大丈夫だから」
「へ?」
2人の言葉の意味が分からず、思わずと変な声が出た。
2人は俺にそれだけ言うと「では、い、行きますぞ山崎殿」「う、うん、早く行こう」と言い残して、席から離れた。




