抉りすぎだろ?
「はあ!? おにい、またとぼけるの!? 反省してるって言ってたじゃん!? 嘘だったの!?」
「嘘も何も話が違うだろ!? そんな事をした覚えないからな!?」
「とぼけないで、誤魔化さないで! 私、聞いたよね、なんでしたのって!? おにいもそれを、流れに身を任せて、今後のことを考えて、幼女を誘拐したって、認めてたよね!? 認めてたよね!?」
悠里が勘違いをしたまま、さっきと同じように、怒った剣幕を、しながら言ってくる。
悪いのは確かに、認めるには認めたが、話が違いすぎる、あの話の流れなら、理衣亜を泣かせていたのを、見ていた話をしていると、思うのが普通だろう。
誰も、いきなり幼女誘拐の話を、していると思わない。
流れに身を任せて、今後の為にと、幼女を誘拐する人がいるのなら見てみたい、今後を考えてとか、どう考えてもヤバすぎる、犯罪者だ。
本当になんの話を、しているのかわからない。
俺が、それをすると、思われているのは心外だ。
「認めた部分の、話が違うから! 理衣亜を泣かせた事が、悪いって話を、していると思うだろ!? いきなり何で、話が変わってんだよ、本当に幼女誘拐って、なんの話なんだよ!」
「そのまんまの話じゃん! 私が悪いのに、さっきまでの話で、怒れるわけがないじゃん、考えて分からないの!? それにちゃんと、私は言ったよね、見たよって、この時点で本当にわかるでしょ!?」
「考えるまでもなく、幼女誘拐とか誰も思わないだろ!? 誰がそれだけで分かるんだよ!」
「他にも、リアねえの顔が見てられなかったって、リアねえの気持ちが分かってるかって、私は言ったよね、聞いたよね!? リアねえも見てるんだから、本当に誤魔化さないで!」
確かに、理衣亜の顔が見てられなかったとか、気持ちが分かってるいるのか聞かれたが、俺が幼女誘拐をした時の気持ちを、その時の理衣亜の顔を見ていられなかったって話をしているって、どう解釈をすれば分かるんだよ。
悠里の言い方がややこしすぎるし、ある意味、悪意すら感じる。誤魔化すも何もないし、本当にそんな事をしてすらいないのに、理衣亜も見ていたとか、意味がわからない。理衣亜と悠里は、2人揃って何を見たんだ。
「誤魔化して無いからな! 本当に意味が分からないんだよ! ……なあ悠里は、本当に俺がそんな事をすると思うのか? するわけないだろ?」
「おにい、すると思うのかって、するとは思いたくなかったけど見たからね? 犯行現場見ちゃったら、どうしようもないよね? してたんだから、おにい? お父さんもお母さんも、警察も怖いかも知れないけど、本当に大丈夫、私がついてるから、ね? もういい加減に楽になろ? ね?」
悠里の話し方が、さっきから一転して、優しく諭すように言ってくるが、知らないものは知らない。
犯行現場とか、本当に誘拐犯としか見ていない、悠里の態度に、溜息をつきたくなる。
楽になって欲しいなら、解放してくれって話だ。
「悠里? 本当に俺がしたと思うのか? するわけないだろ? 人違いじゃないのか? どこで見たんだよ」
「したと思うかじゃないから! してたから言ってるんじゃん! 人違いな訳が無いから、しっかりと見たんだから! おにいが土曜日遊ぶ予定だった所の、駅前通りの洋服屋さんで、夕方に洋服とかパジャマを見てる時に、そのお店の前をおにいが、幼女と手を繋いで、手を振りながら楽しそうに歩いていたのを、リアねえと一緒に見たんだから!」
手を振りながら歩いてた……? 駅前通りってゲームセンターからからの帰りだよな、後藤さんと、歩いて帰ってる所を、見られていたのか?
楽しそうにって言うのは、よく分からないけど、手を離そうとしていたのを、勘違いしたのか分からないがどう勘違いしたんだよ。
「……あ、ああ、歩いてた歩いていたな、バーガーショップとかある所の通りか? そこなら確かに歩いてたな……」
「そうだよ! ほら、やっぱり幼女誘拐してんじゃん! 何で誤魔化したの!? ほら、わかったら早くいくよ! お母さん達に警察にも行かないと行けないんだから!」
「でも違うからな!? あの子は同級生だから、そもそも理衣亜の友達だからな!? 何でそんな話になってんだよ!」
「おにいバカなの? この期に及んでまだ誤魔化すの? 誤魔化すのも、なにその雑な言い訳、もっとマシな嘘はつけないの? リアねえも見てるんだよ? 辛そうな顔してたんだよ? 何でリアねえが、それで辛そうな顔をするの? リアねえの友達とか苦しすぎる言い訳だよね!?」
確かに……何でそこで、理衣亜が辛そうな顔をするのかが、わからないな。
本当に辛そうな顔を、していたのか怪しい。辛そうな顔をしていたのは怪しいが、まさか理衣亜は本当に俺が幼女を、誘拐しているとか思ってないよな……
理衣亜とは長い付き合いだし、さ、流石に大丈夫だよな。俺が幼女を、誘拐しているとか思われたら、本当に色々とショックだ。
そもそも理衣亜の友達と、歩いていたただけなんだ、何で辛そうな顔になってるんだ、本当にここがわからない。理衣亜の友達だから気付いてるはずだ。
理衣亜も自分の友達と話したかったとかか……? でもそこに、話しかけるなとか大嫌いと、理衣亜に言った俺がいて、友達に話しかける事が出来なくて……? これか? これだよな、この理由しかないよな。
そ、そうだよな、絶対そうだと言いきれる。自分の友達を見かけたら、話しかけたくなるよな。それで俺が邪魔をしてたと、間違いないな。
「悠里! あ、あれだ、理衣亜が辛そうな顔をした理由なんだけどな、理衣亜の友達と俺が歩い……」
「なに、まだそんな寝言言うの? え、なに? リアねえがおにいと友達を見て、辛そうな顔をする理由って、おにいに惚れてるとか、調子のいい事考えたの? あるわけないでしょ!? 相手がおにいとか尚更でしょ!? そんな都合よく考えるとかどんな頭してんの!? 頭を飛ばさずに、脳みそぶっ飛んだんじゃない!?」
悠里の言葉が、俺の心にズドンズドンッと……そんな事は振られた俺が、1番わかっているに決まっているだろ!?
目の前で好きじゃないって言われたんだぞ!? 分かるか!? それを言われた俺が、1番そんな事は無いってわかってるんだよ! ……俺の心を抉りすぎだろ!




