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誰と誰が?




「お前以外に誰がいるんだよ、ちょっとこっち来い」



 肩を掴まれたまま声を低くし、強面のお兄さんが言ってくるが、おかしい、おかしすぎるだろ。

 俺以外に誰がいるって、ここはゲームセンターなんだから、いくらでもいるだろ。



 怖くて間違って口が裂けても、言ったり出来ないけど。そんな事より、そんな風に怖く言うのをやめろよ。萎縮して逆に何も言えなくなるだろ。もう縮こまっているかどうかは別として。



 な、何とか解放される方法無いのか、俺の残りの財布の中身は、4千円と少ない小銭達だったはず……これで何とかならないかと考えたいが、話にすらならなそうだな……結局解放される方法が無いのか。



「え、えっと、お、俺が何かしたりしてました……?」


「あぁ!? 坊主、飛びっきりな悪い事をしておいて自覚がねぇのか!? それともふざけてんのか!? 取り敢えずこっち来い」


「っ……え、えと、悪い事をした記憶は無いので分かりませんが、取り敢えず分かりましたから、ついて行きますから……」



「坊主、まだすっとぼけんのかぁ!? あぁ!? まあいい、すっとぼけられるのも今のうちだけだ、取り敢えず行くぞ」



 本当に怖すぎるだろ、そんな風に態々、怖く言わなくても別にいいだろ。俺の秘めた水魔法が、下半身から解放されたらどうしてくれる気なんだよ、店が困るし、お兄さん達も困るだろ、もちろん俺が1番困るし、下半身がびしょ濡れで帰りたくなんかないからな。



 だいたいなんなんだよ、飛びっきりの悪い事をしたって、意味が分からない。

 お兄さん達がアイツの友達と話していたから、その友達の事かなとは思うが、全くと言っていいほど話した事がないのに、何をその女子に悪い事をするんだよ。



 そうだよ、アイツの友達と話した事が、全くと言っていいほど、無いぐらいに無いし、あの女子の事じゃないんじゃないか……? もしかしてアイツの事か? ストーカーかとか大嫌いだとか、色々言ったのを根に持って、友達にアイツが言ってそれを聞いた友達が怒って……は、ないなと言うか無いと思いたいまである。



 聞いたとしても態々、こんな事にはならないだろうしな、ならないよな……

 た、たまたまここで偶然だよな、ここの近くの駅でアイツに色々言ったからって、ここら辺を探すわけないしな、うん無い……無いと誰かに言って欲しいな。



 色々考えても分からず、俺は考えるのを放棄し、黙ってお兄さんの後をついて行き、アイツの友達の前に着き立ち止まる。



「よし坊主、この嬢ちゃんに酷いことをしたよな? 嬢ちゃんに言うことがあるよな? 俺は嘘は嫌いだから正直に言えよ? 適当な事も言ったりするなよ? こっちはわかってんだからな? だよな嬢ちゃん?」


「……う、うん」



 立ち止まった後、お兄さんは聞いてくるが、何も分かっていないだろ。何をわかってるんだよ。

 俺がどれだけ、声を大にして叫びたいかも、わかって欲しい。



 アイツの友達も友達で、何でうんとか返事をするんだ。

 本当に何もしなさすぎるぐらいに、何もしていないだろ。取り敢えず酷いことをした、みたいな事になってるから、謝っとけば終わるか……? 終わって欲しいな、俺の人生がとかじゃなくて。



「え、えっと……ごめんなさい」



 これで終わって欲しいと願い、謝りながら俺は90度に頭を下げる。こういう訳の分からない時も、謝れば早く済むはずだ。



「で? 何がごめんなさい何だ、理由を言えよ。だよな嬢ちゃん? 本当に反省をしているか分からないもんな?」


「え、えと、うん……し、知りたいな……」


「だよなあ嬢ちゃん、ちゃんと知りたいよな! ほら早く言えよ坊主! 何がごめんなさいなんだ?」



 分かるわけがないだろ、何が、知りたいなだよ。意味が分からなさすぎるだろ。

 俺の方が色々と知りたいぐらいだからな。



 お兄さんもお兄さんで、どこからそんな声を出しているのか分からないが、低かったり優しくなったりと、俺と声音が違いすぎるだろ。周りのお兄さん達もうんうんと頷いてしかいないし、正直謝ったんだからこれで終わりでいいだろ。



「えっと、それは、その、なんでしょうか?」


「坊主、謝れば済むと思って、謝っとけばいいやで謝ってたのか!? あぁ!? 嬢ちゃんも、なんか言いたいことがあるなら、言っていいからな?」


「も、勿論違いますよ! あ、あれですよ、心当たりは勿論あるんですが、どっちなのかなと!」



 アイツの友達に、言いたいことがあるなら言っていいと言葉を聞き、実際何もしていないが、変な事を言われたら、どんどん長くなりそうな雰囲気があるから、慌てるように俺は先に言葉に出した。



「どっちも言えばいいじゃねーか、てか坊主お前、嬢ちゃんに酷い事ばっかしてんのか? それによ、人と話す時は、目を見て話すって習わなかったのか? なに前髪垂らしたまんまで、謝ったり話したりしてんだよ、謝る時も相手を見て、しっかり頭を下げるって習わなかったのか?」


「ま、前髪は、色々とその……」


「色々なんだよ? 謝る気あんのか? ふざけてんのか!? ほら前髪分けてしっかり喋れよ。だよな嬢ちゃん?嬢ちゃんも嫌だよな?」


「…………えと、う、うん……い、嫌です。わ、私も……ま、前髪を垂らしたままで、謝ったり喋るのはどうかと思います……」


「だよな嬢ちゃん! ほら坊主は早くしろよ」



 な、何でこんな事になったんだ、訳も分からず謝ったりしたのが大間違いだったのか。

 前髪にまで飛び火するとかありえないだろ。

 お兄さんの言葉はまともすぎて何も言えないが、アイツの友達はおかしすぎる、俺だって人を巻き込むのはどうかと思ってるからな。

 今から正直に言ったら終わるかな……終わって欲しい。よし、言おう。



「え、えっとすみません、訳も分からず謝りました。その子と俺に一体、どんな関係があるんですか? 今日はここに俺1人で来ているので分からないんです」


「……は?」


「……っ!?」



 言おうと決めてから、しっかりと言いたいことを言い終わると、周りの時間が止まったかのように、動きを止めるお兄さん達と、アイツの友達の姿が目に映った。



「いやいやいやいや坊主、嘘ついてんじゃねーぞ!? この可愛い嬢ちゃんが、嘘を言ってるとでも言いてえのか!? あぁ!?」


「はい!」



 お兄さんの言葉を聞き、俺はハッキリと返事をする。



「嬢ちゃん? 嬢ちゃんが嘘をついたのか? どうなんだ? 怖くないから、大丈夫だから教えてくれ」


「……え、えと、ち、違います……わ、わた、私……」


「うんうん、そうだそうだよな! 嬢ちゃんが嘘をつくわけがないよな! 嬢ちゃんと坊主のどっちを信じるかって、考えるまでもなく信じるのは、嬢ちゃんだから安心しな。坊主、こんな可愛い嬢ちゃんのせいにして良心が痛まないのか? 妹だろ? こんなに可愛い妹が、嘘をついてるとか言って妹を傷付けるとか、性根でも腐ってんのか? いや、わりぃ、人と目を見て話す常識すらも、分からねぇ様な奴に、そこまで分かれってのが、無理な話だったか? いつになったら目を見て話す常識を実行するんだ」


「……へ?」



 いやいや、まだ何かを言おうとしてただろ!? 何で遮るんだよ。

 どっち信じるとかお兄さんの、独断とただの偏見じゃねーか!



 それに妹ってなんの事だ、今そこが1番訳が分からないからな。誰が誰の妹なんだよ!

 え、待って本当に軽く待って欲しい、俺の頭がプチパニックだよ!




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