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騙された?




 何で知り合った人と遊べるのが、嬉しいって言っただけで、ここまで哀れんだ目で見られた挙句に、同情までされるのか、納得は出来ないけど、このままじゃ話が脱線していってしまう。



 悠里に言い返したい事はあるが、俺は、それを何とか堪えて、話を戻すことにする。



「と、取り敢えず、その話は置いといて、本題の服装と仲の良さと、何の関係があるんだ?」


「何で置いとくの!? 折角、可哀想なおにいの為に、可愛い妹が遊んであげるからねって言ってるのに! 寧ろこっちを本題にしてもいいぐらいじゃん!」


「い、いや、その話はまた今度聞くから。頼むから」



 早く服装を決めたい俺は、言いながら頭を下げて悠里にお願いする。

 今日は友達と遊びに行くって、言ってるのに何で悠里と遊ぶ話を、本題にしないと行けないんだ。本当に頼むから話を進めさせて欲しい。



「絶対だから約束だからね、おにい? 分かった?」


「分かったから、何でも約束するから!」


「ならいいけど。じゃあそっちの話に戻すけど、仲の良さも大事だけど、遊びに行く場所とかも決まってる?」



 悠里に聞かれ俺は遊ぶ場所の事や、山崎と黒木2人との仲の良さの話をし、俺の話を黙って聞いている悠里は、話を聞いてる時に、疑いの眼差しを向けてきたが、俺はそれを無視して話を続けた。



 2人との仲の良さについては、悠里に友達がいないと、いつまでも思われ続けるよりは、いいだろと考え、ちょっと? いや、少し……かなりか、仲の良さをアピールを、しといたのが失敗したのか、疑いの眼差しが強くなった気がする。



 お、俺にだってお兄ちゃんとしての、見栄を張りたくなるし、威厳を何とか保ちたい。あるかどうかは別として。



「ふーん、毎日一緒にお弁当食べながらゲームしたり、一緒に登下校ねえ……下校の時は買い食いしながら、楽しくおしゃべりねえ、本当か嘘か分からないけど。ふーん」



  俺の話が終わり、黙って聞いていた悠里が、疑いの眼差しを向けたまま、言ってきた。

 復唱をしないでくれ……見栄や威厳の為に、自分で言った事だから、なんとも言えないが、自分の言った言葉を、他の人が言うと堪える物がある。本当に、う、嘘は良くないな……何か聞いてて惨めになる。



「……そ、そうなんだ、それで服装はどうしたらいい?」


「ジャージでいいと思うよ? 近場だしどっか街に行くって訳でもないし」


「い、いや流石にそれは無いだろ!? それに1駅離れてるし近場って訳じゃないだろ?」



 俺が話を盛ってるからって、盛ってるってよりは嘘に近いが、嫌がらせで適当な事を言ってるのか……? いくら何でもジャージは無い。それだけは流石に俺でも分かる。



「はあ、これだから、おにいは。1駅しか離れてないけど、歩いて大して時間かからないから、近場だよ。格好は大して仲良くなかったら、大問題だけど大丈夫。すっごく仲が良くて、毎日一緒にゲームしながらすっごく楽しくご飯食べてて、毎日帰りに一緒に買い食いしながら、すっごく楽しく帰る程仲良しなら楽な格好でいいよ。そんな近場に行くのに変にオシャレをしすぎる方が引かれるよ」



 悠里は最後に、おにいにオシャレが分かるかは、別としてと付け加えた。言い方に悪意を感じるのは、気の所為……いや、気の所為にしたい。

 それより1駅分を歩いて20分が、大して時間かからない近場になるって、だいぶ遠い気がするのは俺の考えがおかしいのか。いや、遠すぎるだろ。



「……だ、だけどだ……」


「だけども何も無いからおにい。誰かに見せるの? 見せる相手とか居ないでしょ? 見られると思ってるのおにい? 大丈夫、おにいは誰にも見られないから、自意識過剰だよ。それにもし仮に友達が何か格好の事で言ってきたら、友達じゃないから大丈夫。そんな近場に行くのに、格好を気にする友達何て居ないから」


「そうかもしれ……」


「はあ、おにい? 友達と遊びに行くのもゲームセンターにカラオケでしょ? オシャレな所に行くわけでもなく。ジャージでゲームセンターやカラオケとか、普通に来る人もいるから本当に大丈夫だって。まだ説明いる? まだわかりやすく言った方がいい?」


「……い、いや大丈夫だ。そうだよな気楽に遊べる友達と、気楽に遊べるゲームセンターとカラオケだし、気楽な格好ていいよな! そ、そうだよな……きっとそうだよな……。 悠里ありがとう」



 俺が喋ろうとする度に悠里が被せるように、色々と理由付けで言ってくるから、自分に言い聞かせるように、渋々ながらも納得する事にした。



 それから、俺と悠里は、母さんの朝食の用意が出来たと、言葉を聞き、話の区切りも良かった事から、返事をしてソファから立ち上がり、悠里と2人で移動し、朝食を食べ始めることにした。



 朝食を食べ終えてから俺は、直ぐに部屋へと戻り、悠里の話を聞き渋々納得してしまった俺は、釈然としないながら3本線の入ったジャージに着替える。

 着替えてからも思うが、本当にジャージで大丈夫なのか不安でしょうがない。



 確かにゲームセンターに、ジャージで来ている人はいるにはいた、だけど明らかに、部活終わりって人が多かった気がするし、たまに違うかって人を見かけたぐらいだ。



 見かけたりはしていた訳だし、ゲームセンターはいいとしても、本当にカラオケにジャージで、行く人がいるのか甚だ疑問がある。

 どうしてもカラオケだけが、引っかかる。



 考えた所で、行ったことが無いから分からないけど……こんな事になるなら本当に悠里か理衣亜と、もしくは2人と一緒に、カラオケに行っときたかったけど、2人揃って何故か頑なに、拒否をするから行けなかった。



 そうなると、1人でカラオケに行けば良かったと思うけど、行けていたら苦労はしない。



 店員さんに何を言われるとかは、無いだろうけどあの人友達居ないのかなとか、色々思われたりしたらと、変な考えが浮かび、それが嫌で1人でカラオケに行けずにいる。

 まあ、理由は他にも色々とあるけど、それが1番大きな理由。



「色々考えても仕方ないか。きっと大丈夫……悠里があれだけ言ったんだ大丈夫なはず……」



 不安を消すように呟き、俺は時間はまだ9時前と早すぎるが、もう遊びに行くことにする。

 寝ていないせいと、ご飯を食べてから物凄く眠くなってきて、隣のベッドに入りたい欲が凄く出てくるから。



 俺は家を出る時にも色々と言われたが、聞き流しつつ行ってきます、とだけ言って家を出た。駅に着いた俺は、電車に直ぐに乗らず、2本遅らせて乗ることにした。



 待ち合わせ場所に到着してから時間を見てもまだ9時30分を過ぎた所。いくら何でも早すぎたな。



 まあ、今はそれはいいとしよう。寝ていない俺が悪いし。

 それよりもだ、問題が別に出来た。

 あんのクソ妹があああああ騙したなあ! 何が近場はジャージで大丈夫だ! 全く見かけねーじゃねーか!



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