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似た者?




 山崎と黒木と、遊ぶ約束をした、土曜日を迎えた。

 俺は、勿論寝不足だ。当然遊ぶのが楽しみにし過ぎてだ、そして問題が。



 凄く眠い、眠すぎる。初めての友達とした、遊ぶ約束で、眠れなくなるとか俺は、小学生だろうか? と言いたくなるが、そんなことない。



 初めて遊ぶ約束をしたのが、初めての友達なら間違いなく、楽しみ過ぎて眠れなくなる。

 きっと、この寝不足は、誰もが夜通しラノベを読みながら、カラオケの為のアニソンも聞きつつ、ソワソワとしながら、寝不足の朝を迎えるはずだ。



 待ち合わせの時間は11時に、理衣亜が降りたいと言っていた、駅の前で会う予定。そこからまずは、カラオケに行くらしい。



「もう7時37分かあ、洋服も決めなきゃいけないけど、洋服で悩むとか予定外過ぎた……」



 俺は洋服選びで頭を悩ませている。友達と遊ぶ時って、どんな格好をすればいいのか、全く分からない。



 今まで友達がいないから、分かるわけも無いけど、どうすればいいんだ。

 ラフな格好でいいのか、オシャレにも気を使った方がいいのか謎すぎる。



 考えても全く分からない。こんな時は、まず朝ごはんを食べるに限る。もう出来てるだろうし、その時、悠里に聞けたら聞こう。



――――――――――――――――――――――――――――――――



「おはよう、ご飯出来てる?」



 下に降りると母さんがソファに座り、テレビを見ていたから、俺は挨拶をして、ご飯について聞いてみる事にした。



「おはよう、珍しく起きるの早いわね。健人どうしたのよ」



 俺がやはり休みの朝早くから、降りてくるのが珍しいからか、母さんが聞いてきた。まあ聞かれるのも当然だろう、俺もそう思う。



 まさか土曜日に、こんなに朝早く俺が起きて、部屋から出てくる事とか、今まで無かったし。聞いてきて当たり前の事だ。まあ寝てないから、起きた訳じゃないけど。



「今日は、遊ぶ約束してるから、寝てないんだよ」


「あら? 遊ぶから寝ていないって、意味が分からないけど、悠里と遊びに行くの? 理衣亜ちゃん?」


「違うよ、友達だよ学校の友達。それよりご飯頂戴」


「……健人が理衣亜ちゃん以外の、友達と遊びに行くって聞き間違い? お母さん寝てるのかしら? それとも寝ぼけてるのかしら? お母さん、ちゃんと起きてる? それとも天気は大荒れ中? 槍でも降ってるのかしら……洗濯物が危ないわ!」



 親の、余りにもの物言いに、俺は表情が固まる。

 ……た、確かに先週までは、理衣亜か悠里と出かけるか、パソコンと睨めっこしか、していなかったから察する所はある。



 だけど、だけどだ。こ、これが実の息子に親の言う事なのか……い、言いたいことは、分かるぐらいに、分かりすぎるけど、酷すぎるだろ。



「……お、俺にも友達いるから! 小学校と中学校の時も、ちゃんと友達いるから、心配いらないって言ってたから!」


「……え!? 健人が妄想の話を、してるものだと思ってたわよ。 理衣亜ちゃん以外を家に呼ばないし、遊びにも行かないから、勘違いしてても、しょうがないわよね。 そう……健人にも本当に友達がいたのね……寧ろ出来たの方が正しいのかしら……」



 妄想の話とか酷すぎるだろ。確かにアニメの話を捏造して俺の話みたいに、遠足とか修学旅行の話しをしたことはある。

 寧ろ、友達がいない人は、誰しもがする事だろう。



 だから俺に友達が出来たって、言ってる言葉は合ってる、合ってるから何も言えないが、これが母さんじゃなかったら、ぶん殴っても大丈夫だよな。

 ダメだと言われてもぶん殴りたい。



「……も、もういいだろ! ちゃんと友達ぐらいいるから! そ、それより早くご飯頂戴」


「良くないわよ、本当に友達? 凄く気になるわよ」


「ほ、本当に友達だから! 大丈夫だから、早くご飯お願い!」



 母さんの言葉に俺はもう、早くご飯をお願いと頼むしか無かった。

 まさか今まで、理衣亜以外が家に来ないだけで、本当に友達かとまで、言われるとは……まだ妄想だと思ってるのか。



 母さんは、それからもまだ色々と、言ってくるが、残りの話は無視しつつ、母さんの隣りに座り、ご飯が早く食べたいと、必死にお願いをするだけにした。



 母さんは、それから呆れた様に、はいはい、ちょっと待ってなさいと、言い残しキッチンの方に向かって行き、朝ごはんの準備を始めだす。どうやら今から作るらしい。



 俺は、それを見ながら、部屋にまた戻っても、またご飯を食べに戻って来ないと、行けなくなるのがめんどくさいなと思い、ご飯が出来る迄の間、そのままテレビを見ながら、待つことにした。



 暫く、ぼーっとテレビを見ていたら、ドアが開く音がし、振り返ると悠里も眠たそうな顔をしているが、起きて来た見たいで、母さんと何言か話してから俺のいるソファの方にやって来て、そのまま隣に座ってくる。



「おにい、おはよう。おにいが早起きとか珍しいね、どうしたの? なんかあるの?」


「……おはよう、珍しくはないと思うが、ま、まあ今日は遊びに行くからちょっとな」


「ふーん、リアねえとどこに行くの?」


「い、いや学校の友達と遊びに行くんだ」


「……ん!? ご、ごめんおにい、寝起きで耳がよく聞こえなかった見たい」



 悠里はさっきまでの眠たそうな顔が嘘のように目を見開き驚いた表情をしながら聞いてきた。



 俺はその悠里の言葉を聞き、本日2度目の表情が固まりつつ、更には頬を引き攣らせているだろう。

 なんなんだ、俺はそんなに理衣亜としか遊べないって思われてるのか!?



「……えっと、本当に理衣亜じゃないぞ、友達と遊びに行くんだよ」


「……お、おおお母さん! どういう事なの!? おにいがリアねえ以外と、遊びに行くんだって、私、起きてる!? 夢なの!? 外の天気ブリザードとか地割れとかおきてない!? 大丈夫!?」



 俺が、再び悠里に同じ事を言うと、母さんに大きな声で酷い事を言い始める。

 似た者親子にも程があるだろ、親子揃って酷すぎるだろ。これも本日2度目だが、妹だけどぶん殴りたい。妹だから、間違ってもそんな事をしないけど、弟だったら、間違いなくぶん殴っていたな。



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