第1話
第1話
ある少女は彼に、
「ねえ、星山。この問題なんだけどさあ…」と言い、
ある少年は彼に、
「なあ、星山。お前こんな問題も解けないの?大学行けるのかよ。」と言う。
超難関男子校に通う彼、星山大地は、同じ学校の仲間からは馬鹿扱い、他校の女子からは学校の肩書から、天才扱いを受けている。彼自身、お人好しな性格であるため、何を言われても反論できず、日々言われるがままの生活を送っていた。
そんな高校2年生の夏頃だった。彼がのちに知り合うこととなる「異世界人」の存在を知り得たのは。
朝星山は、目が覚めると、そのままテレビをつける。ちょうどその日、7/13は異世界人が地球に降りてきた日だった。彼はテレビを見て驚いた。見た目は地球人と何ら変わりはなく、むしろ美男美女ばかりだ。テレビによれば、言葉も彼らの翻訳技術で細かなニュアンスまで完璧に再現されて伝わるらしい。
――人生が、変わる予感がした。こいつらに会ってみたい。会って友達になって、話をしてみたい。そうすれば、何かが変わる、そんな予感がした。
340年前の事件は星山も知っていた。知っていたが、ちゃちな御伽噺だと片づけていたし、今も異世界人のことを全く危険視していなかった。そのため、テレビに映る異世界人ではない人間については一切気づいていなかった。