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ウチのPT@0  作者: ららら
1章 ゲームスタート
9/84

戦火の予兆ー1

【何か質問はありますか?】

今この酒場には俺たちPTの四人を含め八人が『幼女ペロペロ』さんからの呼び出しを受け集まっている。話を要約するとこうだ『この八人で防衛部隊を組みたい』と。

どうやらこの人は一度クリアしているらしい。自分だけ時間が空いてたまたま入ったクエストが……アレだったようだ。

このクエストのクリア方法は二つ

『制限時間まで町を守る』か

『三人いる帝国のボスを倒す』かだ。

この町は東から弓兵部隊。西から暗殺部隊。そして南から騎馬兵部隊によって進行されている。この三つの部隊にはそれぞれ隊長が存在し、それらがボスとなっている。

ただし最初は様子見をしているのか隊長は攻めてこず、隊の後ろに陣取り部下を突撃させてくるだけだ。そして、隊長はこちらから手を出す等しない限り基本的には動かない。

よって、『ボスをガン無視して防衛しながら雑魚だけを倒す』

これが今回の作戦ーーらしい。

うん、ネットで仕入れていた情報通りだ。

「そもそもボスを倒す意味ってあるんですか?」

マイからの質問。確かに今の説明だけだと倒す意味は全くない。自分からハードモードにするだけだ。

「ボス全部倒すと報酬増えるんだよ」

「何が増えるんですか?」

「ほら、これだ」

タツからアイテムを丸コピペしたPTチャットが送られてくる。

【帝国騎士団長の証】

【装飾品】

【周囲の味方の能力を微上昇させる】

「これ、強いんですか?」

「微妙」

現在はゲーム序盤だ。装飾品自体の数が少なく、入手できれば役には立つだろう。ただ、長く使うかと言わればNOである。このアイテムはむしろーー。

「記念品みたいなモンだな。『難しいクエストクリアできました』って感じの」

タツが良いお母さんみたいになってきている。

もう、あの姉妹への解説役はタツ一人でいいんじゃないだろうか。

【質問が無いならそろそろ行きましょうか】

このチャットが届き八人全員が集合場所へ向かい始める。

「そういえば、なんでこんなメンドイ事してるんですか?」

「ん?どういう意味だ?」

「いや、最初にこの人が仕切れば解決ですよね?」

うん、マイの言いたい事は分かる。分かるけれども……。

「それが『マナー』だからだ」

俺が二人のやり取りに割って入る。

「クエスト受けた人間に参加者が口出すのは、あんまりよろしくないんだよ」

「んー……。」

分かったけど納得していないようだ。

正直今やってる事もグレーゾーンだろう。見つかればあまり良い顔はされないと思う。

幸先不安ではあるが、それでもクエストは開始される。

『戦火の予兆』開始ーー


 開始から五分程度が過ぎた。門の前にいるのは八人。そうーー他の八人は開幕からボス様へ特攻してくれた。現在残っているのは『幼女』さんが集めた八人

『陣剣士』のサファイア

『ビショップ』のサラ

『ナイト』の(^◇^)

『エンチャンター』の幼女ペロペロ

これに俺たち四人である。


【攻撃の陣】

【マジックアップ】

陣剣士とエンチャンターのバフがかかり

【バーストフレイム】

マイの範囲魔法が炸裂する。騎馬兵五人が一瞬で消し飛んだ。

「おおっ!!アタシ凄くないですか!?」

テンション高いなコイツ。凄いのは高レベルのバフ飛ばすあの人だし、元々ダメージ入ってたろ……とか言いづらい。いや、それよりも先に一つ言う事がある。

「ちょいペース下げて。このクエ長いから範囲魔法取っておいて」

「はーい」

素直だなー。うん、普通に聞いてくれる子で助かる。

【ペース配分大丈夫ですか?】

幼女さんからチャットが送られてきました。

やっぱり気になるよなこれ。『注意しました』と送っておこう。

そして、文章を打ち終えエンターキーを押した瞬間にーー。

一本の矢が顔面を貫いた。


 まあ、貫いたところで大したダメージではないが。

幼女さんからすぐに【ごめんなさい】と来ていた。もし死んでいたら、チャット死の原因になるからだろう。あれは気まずい。

とりあえず定型文で【ありがとう】と送って敵の方を見る。ごめんの返しとしてはおかしいとは思う。思うのだがチャットのせいでこれ以上遅れるのはごめんである。探している余裕はないので咄嗟に目に留まったそれっぽいのを送る。

弓兵五人、暗殺者五人、騎馬兵八人。どうやら別方向から進行していた兵がたまたま同じタイミングで揃ったようだ。

「マイ!!節約気にせず騎馬兵を撃て!!」

タツがそう指示をだす。

【マジックアップ】

幼女さんがマイにすぐバフをかける。判断が早い。どうやらウチらと同じ考えらしい。

【五人とめる回復いらない】

そうPTチャットを送り、暗殺者の前に飛び出し【挑発】を発動させた。


【ディフェンスアップ】

防御系のエンチャント。対象はあの顔文字ナイトだ。

【バーストフレイム】

騎馬兵を四人巻き込む爆炎が炸裂する。しかし一撃では倒せない。

【挑発】

【防御の陣】

顔文字と陣剣士が前に出る。『陣』は複数人に効果があるがその効果範囲は『自分の周囲』だけ。エンチャンターのように後列待機はしていられない。一長一短の職業だ。

【火遁の術】

巻き込めなかった騎馬兵の一人に火遁をぶつけ、すかさずミイが切りつける。しかしそれでも一人止めるのが精一杯である。残り四人のランスによる一斉攻撃ーーそれを顔文字ナイトは難なく耐えきった。

【ヒール】

ビショップの回復も早い。バフのおかげかダメージ量もそれほど多くはなさそうだ。これなら問題ないだろう。ーー四人程度ならの話だが。

マイの魔法から復帰しさらに騎馬兵四人こちらへ向かってくる。

「ちょっ!!矢が邪魔で範囲魔法使えないですよ!!」

マイからの悲痛な叫び。さすがに弓兵全部無視はまずかったか……。魔法の二撃目が来ない理由は詠唱中に矢でキャンセルされたからだろう。

加勢に行きたいがこちらも暗殺者で手一杯だ。

『耐えきれる』のであって『倒せる』わけではない。ガードの上から地味にHPを削られている。

「マイ、小さい魔法でいい!!」

「俺が弓止める!!そのまま詠唱しろ!!」

俺とタツの意見が割れた。俺が止めると言ったタツ……。それが理想だろうけどそれは無茶だ……。

しかしタツはそう言い放つと弓兵に駆け出す。

「マイちゃん!!」

ミイが叫ぶ。初めて聞くミイの大声。

「っ!!タツさん!!信じますよ!!」

足を止め詠唱を開始する。そして、詠唱する瞬間を狙っていたかの如く弓兵からの矢がマイを襲うーー。


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