決着と合流と
【ギロチンスラッシャー】
「ヒール!!」
敵のスキルが見えると同時にミイに指示を出す。
「はい!!」
攻撃でHPが減らされるが……。
【ヒール】
【お手製傷薬】
二人の回復によってすぐに全快。
大技を撃ったツケなのかボスはこのスキルの後に少々隙が出来る。
その隙を逃さずタツ、ガードで硬直した俺、回復で離れていたミイの順に斬りかかって行く。
前回の敗因……いやこいつには勝ったっけか。
とにかく苦戦した原因は守勢に回りすぎた事。
サラ……ミイもだが回復が早い。……早すぎる。
別に全然悪い事では無いし、ありがたい事だ。
……普段なら。
どこかのNPC様が回復をポンポンしなければ。
あいつの思考ルーチンは単純。
『スキルが使える状態で一定値以上HPが減っていたら回復』
こんなところだろうか。
……回復被るんだよ。このAIだと。
前回はサラも少々苦戦していた。
迂闊に発動させると回復が余剰になってしまい、どちらかが無駄になる。
かといって、自分で回復しないと肝心なところで発動してくれない。
蘇生方法が無い現状、無駄になると思いながらも回復を発動させるしか無かったのだ。
結果、無駄に回復を発動させられてしまい、勝つには勝ったがボロボロ状態……という訳。
「……っ!!ハイヒール!!」
あまりこっちは使いたくなかったが……仕方ない!!
……残り二十秒ちょい。
あの……サキとかいうキャラが回復可能になるまでの時間。
【ハイヒール】
【ギロチンスラッシャー】
あぶね!!
回復が間に合わなかったら死んでた……事も無いが、少々ギリギリを狙いすぎたか。
いや……これ位狙っていかないと後がきつい。
【大切断】
ボスの強烈な横凪ぎ……一種の範囲攻撃であるが……。
後方に位置しているタツとミイにはギリギリ当たらない。
やはり思った通りだ。
こいつは前方意外の攻撃手段に乏しい。
『大切断』『グランドインパクト』『ギロチンスラッシャー』
この全てがボスの後方は安置となる。
『大切断』だけ少々範囲が広いが……良くて前180度程度。
俺にヘイトが向いている今、後ろから殴れば攻撃に巻き込まれる可能性は限りなく低い。
……勇者は正面から突っ込んでダウンしてるけどな。
【ハイヒール】
ミイの回復を受け体力が全快する。
……ここだ!!
「ミイ、アレ使って突っ込め!!」
「あれ……?あ、はい!!」
ミイは一瞬戸惑ったかに思えたが、すぐに理解してくれた。
『アレ』じゃまずかったか?
……だってスキル名長いんだもん。
【戦神の憑依】
「お、おい大丈夫かよ!?」
タツの不安そうな声が響く。
いや、まあ、そうだろう。
『戦神の憑依』を使用中は、回復力が大きく下がる欠点がある。
……だが、使うべきはここだ。
敵の体力は残り少し。
後数秒後には、NPCの回復が使用可能になる。
俺の『ドレインソード』もまだ使用回数が残っている。
ボスは『ギロチンスラッシャー』の使用直後だ。
この手の大技は連発してこない。
……ここで押しきる!!
ミイとタツが双方から剣で切りつける。
――たぶん後十秒ちょい。
ボスの攻撃は弱っているからか心なしか苛烈になってる気がする。
いや、絶対に気のせいなんだけども。
『ギロチンスラッシャー』を使われなくてもじわじわと体力が削られていく。
……そろそろか。
【お手製傷薬】
よし、これで……。
【ギロチンスラッシャー】
回復したHPが大きく減らされる。
……予想通りだ!!
【ドレインソード】
スキルの直後で無防備なボスに吸収技をぶちこむ。
「ここで押しきるぞ、ミイ!!」
「はい!!」
最後の『ドレインソード』を使ってしまった。
後はもう……攻撃あるのみだ!!
三人による猛攻。斬撃の嵐。
……ギリギリ足りないか?
ボスは斧を構え攻撃モーションに入った。
タツはそれを見て一歩下がり、俺は攻撃を止めガードに入る。
これは、大切……断……?
あ……。
引かなかったミイが普通に止めを差してくれました。
【ははっ】
【あんたたちやるねえ】
【久しぶりに楽しかったよ……】
ふうっ……。
手に汗握る戦いはひとまず終わりを告げた。
「あーっ!!疲れた!!」
思わず声が出てしまう。
自分で言うのもあれだが、これはしょうがない。
時間をカウントしながら戦うとか正直二度とやりたくない。
「お疲れ様です、ショウさん」
うん、癒されるわ。
かわいい……かどうかはリアルを知らないので分からないが、女の子からの労いの言葉だ。
俺自身にHPがあるなら回復しているだろう。
「ショウさん、やっと終わったんですか!?」
……ミイのマイクからやかましい声が聞こえてきた。
「マイちゃんうるさい!!」
俺自身にHPあるなら減ってたわ。マジで。
……そういやこの姉妹は真横にいるのか。
暇なのでミイの画面でも見ていたのだろう。
マイク共同だとあまりにもミイが不憫なのでボイチャ設定を全員に戻す。
「あ、大丈夫でした!?中々終わらないから心配しましたよぉ」
「お前らどれ位前に終わったよ」
これちょっと気になった。
こちらが遅いのは分かっていたが、差が知りたい。
「えーと……十五分位ですかねぇ」
うわっ、そんなにか。
このクエはそこまで時間気にしなくていいけど……待たせた皆には申し訳なく思う。、
「あー……。悪かったな」
タツが素直に謝った。
さすがに心が痛んだかね。
「……了解。サラの残りはそんなもんか」
合流して残りスキルを聞いてみた。
サラが残り三割程度。ミイが七割。
……足して一人分か。良く残った方だろう。
「あ、あのタツさん……。使い過ぎでした?」
「あん?そうじゃねえよ。良くやったと思うぞ」
実際上々の成果だと思う。
死人無しで乗り気ってくれただけで充分だ。
「……ちなみに二戦目のボス誰だった?」
正直予想はついているが、確認の為聞いてみる。
「んー……弓の人ですよぉ。あの……レイドの時の」
「やっぱりか……」
……そうなると残りは。
「最終戦はタンクと槍か……」




