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ウチのPT@0  作者: ららら
4章 不穏な影
78/84

一閃

 ゲーム開始直後から言われていた事。

『敵のスキルは無限ではないか?』

……別に珍しい事ではない。

敵だけMPや技の使用回数が無限なゲームは過去に 多々存在してきた。

『ラスボスはまほうをつかった』

『しかしMPがたりない』

……こんな事態になったら興醒めなので当然の措置かもしれない。

なのでこの状態は……。


【猛攻の陣】

「なあ……タツ、ショウ……」

うん、言われなくても分かってる……。

「後一回だ……」

「ああ……」

「……了解」

『猛攻の陣』と『鉄壁の陣』。

どちらも『攻撃の陣』と『守備の陣』の強化バージョン。

……ただし、持続時間と使用回数が少ない欠点を持つ。

このままボスと張り合っていたら、こちらはすぐにガス欠。

だって、相手はスキル無限なのだから。


【鎧砕き】

【マジックシールド】

ロウの一撃を魔法の盾が防ぐ。

……今のところサラにミスが無い。

五割を期待したらまさかの十割バッター。

これなら大丈夫だな。

「ミイ、殴りに行っていいぞ!!」

「あ、はい!!」

守備力がダウンし過ぎて、一人だと回復が間に合わない事を想定していたが……今日のサラの様子なら問題無さそうだ。

【戦女神の憑依】

スキルを使いすっ飛んで行くミイ。

今はとにかく一人倒さないと……。


もうじきあっちは落ちるだろう。

六人による集中攻撃だ。

……そろそろ先を見据えるか。

「サラ、次の『鎧砕き』は止めなくていいぞ」

「え……な、なんで?」

「なるべく『マジックシールド』は取っておきたい。わざと攻撃通していいから」

「…はあ。……分かりました!!」


 そもそも『鎧砕き』がまずいのは二撃目以降。

成功率100%を叩き出せるなら、無理に全て止めずに二発目だけを止めればいい。

全部の『鎧砕き』に対処していくと確実に後々スキル切れになる。

……それだけは避けたい。


【十字切り】

カスミの斬撃がリー・ダーを捉え……そのまま倒れた。

「やった!!カスミちゃんナーイス!!」

【す……すまな……い】

【皆……わた……し……は……】

そう呟き消えていく一人の青年。

「……ボスまでこれなんですかぁ」

もううんざり……と言いたげなマイ。

いや、こんな使い捨てキャラならあのオープニング要らんかっただろ……。


 片方を倒した……が、ロウの攻撃は止まらない。

陣の効果分減ってるから、楽にはなっているが。

「なるべく高火力スキル温存しとけ!!今は下級だけでいい!!」

「はーい」

タツのこの指示はボスが弱ってきた時に一気に倒すため。

今までの傾向から、こいつも十中八九後半に何らかの強スキルを使ってくるはずだ。

……スキル切れで逆転されたら目も当てられないからな。


【ファイヤーボール】

【ファイヤーボール】

二発の火球を受けてもそのまま突進してくるロウ。

……この光景は。

【鎧砕き】

【マジックシールド】

キュイイイイン。

文字通り鎧を砕く力任せの一撃。

それを防ぐサラの魔法の盾。

今は『鎧砕き』を受けた状態なため、これは二発目。

つまり……防がなければならない攻撃。

「……すげえな」

タツが思わず漏らした一言。

……俺もそう思う。

「んー……何がですかぁ?」

「あ……いや……なんでもねえ……」

下手に誉めてサラの集中が途切れるのを嫌ったのかタツはそこで話しを切り上げた。


 先程までとは違い、味方PTがロウを取り囲んでいる。

それに加え攻撃のエフェクトで視界は敵を捉えづらくなっている。

……そんな中でサラは『マジックシールド』を成功させた。

未だに成功率は100%だ。

これの凄さを分かっている人間がこのPT内に何人いるだろうか……。


「はぁ……はぁ……」

先程から小さい呼吸音が聞こえてくる。

これは疲労からの事だろう。この音の主は……。

「うし、敵の体力も半分切った!!」

ボスのHPは後四割位か……。


どっちが正しいのか分からない。

ただ……今はーー。

「ミイは下がれ、サラの回復を残しておきた……」

「いや」

……タツならその指示を出すと分かっていた。

だから……。

「そのまま前戦でいい。サラの回復切れたら後衛に来てくれ」

「……あ?」

たぶん……真反対の指示になるんだろうなあ……。


 不機嫌そうなタツの声。

理由なんて簡単。

……俺の戦術が間違ってるから。

「いや、意味が分かんねぇぞ……。この状況でなんのメリットあんだよ」

メリット……無いかもしれない。

「え……えっと。私はどうしたら?」

……悪いな。一番被害受けるのは板挟みのミイだ。

「……おい、ここでヒーラー一人潰す理由言ってみろよ」

ああ、タツはちょいキレてるな……。

「これから二人必要になんだろうが!?それに今日のサラはっ!!」

……全部分かってるよ。

ボスの攻撃が激しくなる可能性があるから、ヒーラー二人必要な事。

サラの調子が良いから最後まで温存しておきたい事。

全部分かってる。

それでも……。

「タツ」

たぶん……必要な事だから。

「頼む」


「チッ……」

「ちょっ……ど、どうしちゃったんですかぁ。いつもの以心伝心のラブラブっぷりは……」

誰と誰がラブラブだ……。

……こいつにも気を使わせちまったな。

「ミイ、そのままでいい!!……これで負けたら承知しねえぞ」

「え……はい」

うん……折れてくれると思ってた。

なんやかんや言っても優しいからな……こいつ。

『負けたら承知しない』か……。

自分で蒔いた種とはいえ……これで確実に勝機は下がった。

……勝てるといいけどなあ。


「あ、あの……もう回復0です!!」

「……分かった。ミイ、回復頼む」

「あ、はい」

タツの指示を受けミイは後方に下がる。

「え、えと……私……は?」

不安そうなサラの声……。

いや、不安なだけではないか……。声から疲労も伝わってくる。

「あー……。そうだな……」


 回復切れたヒーラー……タツも扱いに困るだろう。

ミイと違いあまり前衛に出る事の無いサラ。

『サラ』のキャラクターのステータスもそうだが、中の人もスペック的に前衛向きではない。

「『マジックシールド』は残ってるよな?それだけやってくれればいいから」

横から口を出す。

……いや、この時の為にサラの回復を使い切らせたのだ。

「……だそうだ」

タツは納得いかないながらもサラの件については任せてくれるようだ。

「わ、分かりました」


【孤軍奮闘】

急に見た事の無いスキルがログに流れる。

……これがこのボスの必殺技か。

これは現状プレイヤー側には使えないスキル。

名前から推測すると……バフ系の一種か?

「よし、出し惜しみするな!!スキルぶっぱなせ!!」

【猛攻の陣】

【フレアボール】

【フレアボール】

【火遁の術】

【十字切り】

全員温存していたスキルを発動させる。

ヒーラー一人という不安もあるが……この火力で押しきれる事を信じたい。


【疾風牙】

ボスのスキルを難なくガードする。

あのスキルで特に変わった様子は無い。

しいて言うなら……攻撃力が上がったか?

だが、微々たる量だ。

【ヒール】

ミイ一人でも回復が追い付く。

いや、心配し過ぎだったか……。

もう一息でボスを倒せ……。


【もはやこれまでか……】

【それならば……】

【最後は戦士として戦場に散ろうぞ!!】

そう言うとロウは赤いオーラに包まれる。

これ確か……。

【バーサク】

うわっ、最後にやらかしやがった!!


「ちょっまずいですよぉ!!『バーサク』って確か……」

未だ記憶に新しいスキル。

山賊ボスに使われ、インパクトのあったスキルだ。

効果は……。

「『挑発』無効だ!!気引き締めろ!!」


「ミイ、俺の回復後回しでいい!!他優先してやってくれ!!」

「え……はい!!」

ターゲットにならないタンクなんて、回復は二の次でいい。

……狙われる確率が1/8なのに防御している訳にはいかないので前に出る。

「……タツさん、作戦とかないんですかぁ?」

作戦か……この状況だと……。

「玉砕特効」

「……ないんですね」

ない……というか、それが一番の作戦だよ。


 はっきり言ってこのクエストはまず、間違いなくクリア出来るだろう。

『バーサク』を使われヒヤリとしたが……クエストの『結果』は見えている。

問題は『過程』な訳で……。

「あっ!!」

ロウがマイに斬りかかる。

詠唱中で回避出来ない。

『過程』……つまり、何人生き残れるかが分からない。

「マイちゃん!!」

【ヒール】

……まあ、通常攻撃なら問題無い。

スキルの場合でも……一撃で落とされる事は無いはずだ。

「ありがと!!ミイちゃん愛してる!!」

「……うざっ」

相変わらず姉には辛辣やね。


 マイを斬りつけたロウは、今度はサファイアの元へ向かう。

「くっ、今度はこっちか!!」

やべ、あの構えは……。

【疾風牙】

風の牙がサファイアと周囲を凪ぎ払う。

サファイアの他にカスミ、ロロ、も巻き込まれる。

攻撃から辛うじて避けられた前衛は、俺とタツのみ。

……薄々感じていたが。

「……なあ、動き速くなっていないか」

「ああ、サファイアの言う通りだ。たぶん『孤軍奮闘』の効果だろうな」

「……あれの効果なのか?この時間まで気づかなかったと?」

「ターゲットがショウから変わらなかったからな。その場に留まってたら気づかねーよ」

……だろうなあ。

こいつは俺だけを攻撃して、プレイヤー間の移動を全くしていなかった。

移動速度が上昇していても気づくはずがない。


 しかし、『バーサク』は計算外だ。

それさえなければ、とあるスキルを放り込んで終わりだった。

こんなうろちょろされちゃあれを当てる隙が……。

思案している暇も無くカスミの方へ突進していくボス。

その時一つの声がヘッドホンに流れた。

「か、カスミさん!!使ってください!!」


声の主は……サラ。

気弱な少女の精一杯の叫び。

それは……カスミに届いた。

カスミからオーラが溢れ出す。

カスミより先にロウが攻撃に入る……が。

【マジックシールド】

【鎧砕き】

カスミの攻撃を阻止するかの如く放たれた剣。

……それは、サラの手によって防がれた。

剣を突如現れた盾によって弾かれたロウ。

そして、残ったのは……。


【ラスト・ブレイカー】



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