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ウチのPT@0  作者: ららら
4章 不穏な影
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サキ

【えっ!!】

【ーーああ、なんだ……】

【『見える』ではなく既に仲間のつもり……ですか】

【ふふっ】

【少し驚いてしまいました】

【貴方も人が悪いですね】


「随分と無難な感じになったな。まあ、どっち選んでも変わらんだろうけど」

ネトゲでストーリー分岐なんてしないだろうしな。

タツの言う通りどっち選んでも一緒だろう。

「……あそこで『いいえ』を選ぶか?」

「あの手のは選択肢あんま関係無いんだよ」

「……そういう物なのか」

……あっぶね。良く考えると万が一何かあったら他の皆も巻き込むのか。


【ライラさん!!】

声と共におさげ髪のメガネ少女がこちらに駆けてくる。

……あ、こいつ確か。

【あなたは……サキさん!!】

【何故こちらに!?】

「うげ……嫌なやつ来ちゃったな……」

「お前たちは知り合いなのか?」

俺もタツも嫌な思い出しかない最悪のキャラだ。


 サキ……という名前の薬師の少女。

幾つか前のストーリークエストで出会った。

薬草採取で森に入ったところを魔物に襲われてしまい、勇者と一緒に助けた過去がある。

あるのだが……地味に面倒臭かった。

『冒険者様の側を離れないでください!!』

何気ない勇者の一言。これによって地獄を見ることになる。

その言葉通りサキは側にぴったりとくっついてきた。

……タンクである俺の側に。


 クエスト受注者にNPCは同行する。

深く考えずにいつも通り俺が受注し、野良で募集をかけた。

自分たちなら調べなくても、このレベルのクエストは余裕なのだと。

……クエ開始して俺の真後ろを歩いて着いてくるまではそう思っていた。


 第一ザコ敵を発見した俺たちは、嫌な予感がしながらも『挑発』を発動。

……予感通り俺の真横でサキは一緒にボコボコ殴られていた。

本来ならタンクは必須級の護衛クエストだが、今回ばかりは完全に裏目に出ている。

ヘイトを稼ぐと一緒になって殴られる。

何もしなくてもランダムでたまに殴られる。

……最悪な状態。しかも半端に低難易度だったので『ゴリ押しでなんとかなるんじゃね?』の精神で特効。

厳しくなってきた途中では『最初からやり直す位ならこのまま……』

こんな感じで、結局最後まで進むはめになった。


「……それはこの娘悪くないだろう。逆恨みだ……」

サファイアのド正論が突き刺さる。

いや、そうなんだけどね。

「とにかく邪魔なんだよこいつ。足手まといになるだけだ」

……そうなんだけどさ。流石にズバズバ言い過ぎじゃね。

しかし、タツの気持ちも分かる。

『失敗条件:サキの死亡』

こんなん書かれた日にはクリアなんて不可能に等しい。


【私もライラさんや皆様のお手伝いがしたいんです!!】

「いらねー、帰れ!!」

鬼かこいつ。

「お前は鬼か」

「タツさん……」

女子二人の冷ややかな態度。

【サキさん……ですが……】

【私はこれでも薬師見習いです!!】

【先生みたいにはいきませんけど……】

【皆様の手当て位なら私にだって!!】

「その先生を連れてこいや」

「相変わらずこの町は他力本願なのだな」

冒険者、勇者、薬師の見習い。

……うん、国のピンチに素晴らしいメンツが集まったな。


【サキさん……貴方の気持ちは分かりました】

そう言うと勇者はこちらに歩いてくる。

【私にはサキさんの強い意思を無下にする事は出来ません】

おい、嫌な予感がするぞ。

【……ですので皆様が守ってあげてください】

うわっ丸投げパート2だ。

「ショウ、いいえ選べ!!」

もちろん言われなくても……。

【……ありがとうございます】

選択肢すら出ませんでしたとさ。


【貴方は……あの時助けてくださった冒険者の方ですね?】

【私も精一杯頑張りますので】

【よろしくお願いしますね!!】

そう言うとニッコリとした笑顔でお辞儀をする。

……キャラが糞ならもっと邪険に扱うんだけどな。

こいつも勇者もシステム上やらかしてるだけで基本的には善人設定なんだよなあ。


「人数偏っちまったな」

2:2に別れたつもりが突然の加入により4:2に。

人数だけなら有利に見えるが……質が悪い。

「なあ……クエスト失敗条件に『全滅』以外書いてないぞ」

お?マジ?

「本当だ……なんも書いてねえ……。サファイアお手柄だな!!」

「……これは手柄になるような事か?」

サファイアが気づかなきゃ必死で守ってただろう。

そう考えたら大手柄だと思う。


「それはともかく、タツと普通に進めばいいのか?」

「あー……たぶん?」

「随分と頼りない返事だな。まあいい、行くぞタツ!!」

サファイアは随分と頼りがいのありそうな返事ね。

「こっちも行くかあ」

「はい!!」

サラと二人旅……どうせすぐに終わるだろうけどさ。


【またお会いしましたね】

【今度はそうはいきませんよ】

【『氷狼のフリージア』参ります】

あっちがボスとぶつかったらしい。

こっちがまだな理由は……俺の速度が遅いからかね。

まあ、そこまで差がないからもうじき……。

【やはり来たか】

【前回の屈辱晴らさせて貰おう】

【この『疾風のリンドウ』が!!】

ああ、いたなーこんな人。


「お、おい……。持たないぞ!!」

サファイアの焦った声が聞こえる。

タツなら……と思ったが、相手が悪いな。

あの魔導師が相手なら回避も糞もない。

ヒーラーがいない以上向こうは積みだ。

それに引き換え……こちらは。

【十字切り】

……大して強くない。

いや、これは普通に……。

【お手製傷薬】

……勝ててしまう。


「サラ、回復いいや」

「え?」

足手まとい呼ばわりしてたが、サキが意外とヒーラーしてる。

この上サラまで回復に加わったら……たぶん勝てる。勝ててしまう。

……膨大な時間を費やせば。

「な、なら……。私は何をすれば?」

え?えーと……。

「サラは……み、見てて?」

……やる事ないな。


 こいつの奥にはバリケードが張ってある。

……まあ、ゲームで王道な『ボスを倒さないと進めない仕掛け』だろう。

倒さないと進めない以上ここで終わりか……。

もう少し先を見てみたかったが……まあ、こんなもんだろう。

「サラ、諦めるぞ」

「え?あ、はい」


 こうして俺たちは『最終決戦』に失敗した。

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