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ウチのPT@0  作者: ららら
4章 不穏な影
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魔法みたいな力

 とにかく商業区に行ってみる。

チャットが届かないので、クエストをぶん回していた間の情報が入って来なかった。

彼……だか彼女だか知らないけど、PT参加の話しは早々に切り上げている。

……まあ、かわいそうだったので『プレゼント』を渡したけど。


 水属性の剣『ブルーグラディウス』

当然、さっきのクエストで手に入れた素材で作った武器だ。

必要素材数も攻撃力もそこそこの剣。

現状ではかなり強い部類に入るが、作りやすく水武器の入門編みたいな立ち位置なのだろう。

店での売却価格3000G。

今の市場価格28000G。

うん、素晴らしい。さすがネトゲだ。


 まさか十倍近くになるとはなあ……。

せいぜい高くても10000G程度だと思っていたが……よくやるよ……。

ちなみにさっきの人には5000Gで売ってあげた。

一応情報貰ったし……まあ、さっさと離れたかったのが本音だが。

安く品を手に入れた以上、向こうもそれ以上絡んでくる事はなかった。

こんな剣一本手に入れたところでドラゴンは倒せないだろうけど……少しだけど心の中で応援してあげよう。


 商業区に付いたが……あらら、人が多い。

ログにはやはり水系武具売買についてのチャットが、ひっきりなしに流れている。

……まあ、来たところで特に重要な用事がある訳でも無いのだが……ん?

「あれ?ミイ?」

人混みで気づきにくかったが、あれはミイだ。

「あ、ショウさん。こちらだったんですね」

「まーな。なんか欲しいもんでもあったんか?」

「いえ、そういう訳では……。一人だったのでなんとなくブラブラと……」

「ああ、俺と同じ……ん?」

……一人?

「……ああ、マイちゃんはお昼の準備してくれているんで」

マイがお昼の準備……料理かあ。

「あいつ料理出来んの?」

ちょっとした疑問。なんかあんまり想像出来ない。

「残念ながら……出来ますね」

「……確かに残念だわ」

キャラ的に焦がしたメシマズ料理出しそうだったが……意外だなあ。


「あら、ショウさんはミイちゃんとデートですかぁ?」

うっさいのが帰って来た……ん?

「……お前メシは?」

「へ?」

「いや、作ったんじゃないのかよ。」

食わずに戻って来たんか。

「あー……おにぎりだからいいんですよぉ。食べながら出来ますから」

「随分手抜きだな……」

こいつおにぎりレベルで料理が出来るって言ってるんじゃないだろうな。

「これ、ミイちゃんのリクエストですよ?」

「え?マジで?」

手抜きを妹のせいにしてるんじゃ……。

「あー……まあ…。ゲームしながら食べられる物頼んだんで」

「あ……そう」

この前もそんな事してなかったか?

この娘は大丈夫だろうか。

ミイがそっち方面の道に進んでしまうと心が痛む。

マイはそうでもないけど。


「ショウさんはお昼どうしましたぁ?」

「菓子パン食ってる」

「んー……ダメですよぉ。そんなんじゃ」

「いや、おにぎりに言われたくないんだが……」

変わらんだろ、そんなに。

「このおにぎりはね、愛情が入ってるんですよ、あいじょーが!!」

「……マイちゃん変な物入れないで」

「ミイちゃん酷っ!!」

妹にすら否定される愛情……。

「ちなみにちゃんとした中身は……?」

「んー?ちゃんとした中身?」

「具材だ具材。何おにぎりだよ」

「ふりかけみたいな混ぜるやつですねぇ」

「……そうですか」

ずいぶんと愛情が薄そうな中身だな……結構うまいけども。


「ショウさんも食べます?ウチに来ればあげますよぉ」

無茶言うな。

「……愛情が入ってなければ欲しかった」

「確かにそこが難点ですね」

「ああもう!!二人して私をいじめて……」

ミイも食べてるみたいだし、なんやかんやで美味しいんだろうな。

……おにぎり不味く作る方が難しいだろうけど。

「この美味しさを引き出すのに苦労したんですよ?」

美味しさを引き出したのは、混ぜるやつ作った企業努力が九割だろ。


「そういえばタツさんいないの珍しいですねぇ」

「タツなら……呼べばすぐ来ると思うぞ」

「あー……。リアルで知り合いですもんね」

「いや、そうじゃなくて……」

「……呼んだか?」

話しに入ってこないだけだろうし……。

「あら、いつからいましたぁ?」

「あー……最初から?」

「いたなら喋ってくださいよぉ。……って全然動いてないですね」

「まあ、ネット見てサブ垢弄ったりしてただけだしな」

ボイチャつなげっぱなしで、人来たら切り上げて戻るつもりだったんだろうな。

……良くやってたし。

「さぶあか……?」

ミイは、この辺の用語も分からんよな。

ネット全般でしか使わなそうだし。

「『サブアカウント』……別のキャラでプレイしてたんだ」


「それにしてもサブなんてよく作りますよねぇ」

このゲームは基本無料……ではなく月額だ。

単純にアカウントを増やすなら、その分リアルマネーが必要な訳で。

「……それってメリットあるんですか?」

本来ならレベルカンスト者の、別のキャラや職業での二週目用。

……廃人の暇潰しである。

「だって……キャラクターを同時に動かしたり出来ないですよね?」

「ん?そんな事無いぞ。だってマ……」

あ……。

「マ……マ……」

……さすがにタツも良心が痛んだのだろうか。

「ま?」

タツの次の言葉を待つ純真無垢な少女が一人。

全てを知っていて『妹に変な事教えるんじゃねえ!!』と画面の外からオーラを送っているのが一人。

……頑張って切り抜けてくれ。


「マ……魔法みたいな力で……同時に……」

誤魔化せる訳無いだろ。

「はあ……。魔法……」

絶対怪しんでる。

「タツさんはゲームバカだから、二つコントローラー持ってやってるんですよ。……ね?」

「あ……ああ。そうだな。余裕のある時にサブも操作してる」

それで押し通す気かあ……。

「ミイちゃんはこんな風にバカになっちゃダメですよー」

アシストしつつ悪口言ってるなあ。

反撃されない良いタイミングを見つけた。

「……まあ良いですけど」

どうにか誤魔化した……。いや、ミイが空気読んで引いたなこりゃ。


 ……正直、こっちも恩恵受けちゃってるから辞めろとは言えない。

『戦闘も無く単調な採掘作業』

これこそタツの言う『魔法みたいな力』の出番だ。

ドラゴン戦の前の素材の出所に、タツが大きく貢献している。

これは……純粋組の皆には知られたく無い。知らなくていい。

……さて、そろそろ皆帰ってくるころか?



この物語はフィクションです。

良い子はマネしないで下さい。


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