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ウチのPT@0  作者: ららら
4章 不穏な影
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くまさんとおおかみさん

【挑発】

さっきの熊が二体、新種の狼が四体……。

とりあえず挑発を発動させたが……どうだろう。

【守備の陣】

「範囲撃ちますよぉ!!」

サファイアは攻撃ではなく守備を優先させた。

そして、ミイも回復に備え攻撃に回らず待機している。

……ありがたい。

単純に高ステータスの『シルバーグリズリー』と未知のモンスターである『スノーファング』……ナイトの守備力といえど油断は出来ない。

ある程度強さが判明するまでは守勢に回った方が無難だ。


 噛みついたり引っ掻いたりしてくる『スノーファング』……ダメージ量はそうでもない……ような気がする。

いや、充分痛いんだけど思った程でもない。

熊が雑魚としては強かった分心配しすぎだったのかもな。

このままーー。

「魔法いきまー……あっ!!」

こちらに群がっていた狼たちは、マイの声とほぼ同時に後方へともの凄い速さで駆けていく。

【フレイムバースト】

「ああっ!!」

『フレイムバースト』の詠唱が丁度終わり……見事に狼全部空ぶった。


「ちょっと!!あいつら逃げたんですか!?」

範囲攻撃を察知して逃げる……?

タイミング的にそうとしか思えなかったが……。

……攻撃したのマイだしなあ。

良くも悪くも何かしらを持っているマイだ。

偶々プレイヤーから離れる行動を持っていた敵が、運悪く魔法の手前で離れただけかもしれない。

「気にせず熊叩け!!マイも単体に切り替えろ!!」

「りょーかいです、タツさん!!」

……そもそもが元から熊狙いだ、勝手に離れてくれるなら無視して別の敵を狙うだけ。

移動のタイムロスの分攻撃頻度が減ってありがたいまである。

そういえば、離れてから全然動かないような……。

【コールドブレス】

【コールドブレス】

【コールドブレス】

【コールドブレス】


 ……は?

四匹の狼から放たれる吹雪。

いや、これは死ーー。

【マジックシールド】

キュキュガキィン!!

サラによって展開された魔法の盾は一瞬で破壊される。

四発が同時に着弾した為何があったか瞬時に理解出来なかった。

吹雪と『マジックシールド』が無くなり目の前にに現れたのは……ぐるぐると腕を回し猛烈な勢いで突っ込んでくる『シルバーグリズリー』

【ぶんまわし】

「くそっ!!」

ガードはしたが……ノックバックで後方に弾き飛ばされる。

幸いにも木に激突して大きくは移動させられなかったが……体力がもう……。

【ヒール】

【ヒール】

……いや、ほんと二人のヒーラーに感謝だわ。


 攻撃が重なり過ぎていて分からなかったが……さっきの吹雪はたぶん二回防いで二回被弾か?

……全弾受けていたらくまさんパンチの追撃で死んでいたと思う。

体力満タン状態からの一瞬の死。

……きついわ。ザコ敵のレベル上げすぎだろ。

「ショウ、無事か!?」

「ギリッギリ!!サラの盾なきゃ十割だわ」

「……っ!!マジか……」

タツも予想外だったろう。

完全に最前線でやる事がなかったプレイヤー向けへの難易度だ。

……新モンスターが軒並み強いのか、俺が偶然高難易度クエストを選んだのか分からんけども。


「ミイ、サラ!!俺の体力は、満タン維持で頼む!!」

「は、はいっ!!」

「了解です!!」

「……それと、サラはさっきのタイミングで『マジックシールド』頼めるか?」

「……ふぇっ?」

……なんかかわいらしい返事が返ってきたな。

「さっきの犬が氷吐くタイミングだ……あれ、ばっちりだったから」

お世辞や気を使ってる訳ではなく、あれは本当にベストタイミングだった。

「は……はあ」

……本人あんま分かってないみたいだけど。


「マイ!!単体に切り替えろ!!それと熊一匹倒したら狼に対象変えるぞ!!」

タツの指示は正解……だと思う。

今までの狼はじゃれつきレベルの火力だったが、このブレスは決して無視出来ないダメージだ。

熊を半端に削ってしまった為、そっちを潰してから狼を倒す。

……たぶんこれが今取れる最良の作だ。

問題は……。

【ヒール】

【ヒール】

その前に俺が落ちるかもしれない事……。


 ……やはり『ヒール』だけじゃきつい。

俺の最大HPと敵の攻撃力が上がった今、回復が二人がかりでも追い付かない。

【フレアボール】

【フレアボール】

皆も全力で攻撃しているが……。

「タツさん、余力が……」

……だよな。これはただの『ザコ戦』だ。

このクエスト中に何度あるか分からないただのザコ戦。

……ここで全てを出しきる訳にはいかない。

「一匹倒すまではそれ使え!!次の相手からランク下げろ!!」

……かといって早めに倒さないと全滅のリスクが高まる。

中々に厳しい状態だ。


【百花繚乱】

距離を取ろうとした狼に、無数の刃がヒットする。

「カスミちゃん、ナイス!!」

今の一撃で一匹仕留めた。……残りは熊一匹と狼二匹。

ようやく半分……ここまでくれば全滅の危険は少ないだろう。

【ファイヤーボール】

【ファイヤーボール】

【火遁の術】

遠距離部隊の攻撃が狼の片割れにヒット。

狼はチョロチョロ動き回って戦いづらい……訳でもない。

遠近両方いけるメンバーが多いのでそこまで苦にはならない。

当初は死人が出るのを覚悟したが、どうにか全員無事でここまで……あ、サファイアが一匹倒した。


「とどめですよぉ!!」

【ファイヤーボール】

その宣言通り、マイが放った火球はシルバーグリズリーを絶命させた。

「後は狼さん一匹ですけど……タツさん、なんでこっちを残したんですか?」

「あー……実験?」

「……実験?」

「データがないから色々試したいんだよ。属性攻撃とか……さっきの範囲の時とか」

「さっきって……あ、私の魔法避けたやつですかぁ?」

ほぼまぐれだと思うが、念のためかな?

実際、範囲攻撃をしなくても距離を取ってからのブレス攻撃してたし。

「まあ、うん……そんな訳だから……」

ああ、そうか……。

「マイ……頑張れ……」

「へっ?」

……範囲も別の属性もマイだけだもんなあ。


【フロストインパクト】

「……これでいいですかぁ?」

氷塊は一直線に狼に向かっていき、激突して大ダメージを……与えなかった。

「やっぱ耐性持ってるよな……」

当然と言えば当然か。火弱点の水耐性。

これが検証の結果判明した事。

……いや、見た目からして予想通りだけどさ。

「まずいな……」

「そんなに深刻か?氷が効かなくて問題なのはマイぐらいだろう?」

違うんだサファイア。タツの『まずい』はそっちじゃない。

「ちげえ、火が弱点なのがまずいんだよ……」


「……いや、分からないぞ。お前含めて火を出せるやつ多いだろうに」

「だからだよ……」

うん、ウチのPTは火に片寄っている。

「んん?弱点が突けて楽なのでは?」

「弱点突けてこんな苦労してるのがアウトなんだ……」


 弱点や耐性の属性で攻撃した時のダメージ量の増減は、一律ではなく敵によってバラバラだ。

こいつらの炎ダメージは2倍……は無いにしても1,5倍くらいでにはなってるはず。

……PTの主なダメージソースの連中が1,5倍でこのありさまなのだ。

同難易度の他のクエスト……火に弱い敵が出てこないクエストはほぼクリア不可能である。


「……なんとなくだが分かった……が」

が?

「それは終わってから考えればいいだろう?」

「まあ……そだな」

ごもっともだ。

そもそも、このクエストだけやたら敵が強い可能性もある。

「まあいい、さっさとこのクエ終わらせるぞ」

……この先ボスがいないといいなあ。


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