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ウチのPT@0  作者: ららら
1章 ゲームスタート
6/84

なかまさがし

【おつかれさまでした(^-^)/】

【おつかれさまでした!!】

【おつかれさまでした(*´∀`)ノ】

【おつ】

【おつかれさまでした】

【おつかれさまでした~】

【おつかれさまでした】

【おつかれしまでした】


 クエストが終わり『おつかれさまでした』でチャット欄が埋め尽くされる。現在サービス開始三日目の朝、あのしょうもない死闘で人数の大切さを知り野良プレイでレベル上げに励んでいた。……いや、ぶっちゃけ知ってたけども。

「さて、これからどうする?」

現在のPTが解散されたのでタツが話しかけてくる。

「うーん」

少し考える。あれから一日十時間以上の廃プレイでそれなりに二人のキャラは育ってきた。因みに今は七月後半、夏休み真っ盛り。学生とニートが猛烈なスタートダッシュ争いをしている。このゲームに課金要素はまだ実装されていない。今なら学生の自分たちでもウン十万ガチャを回す廃課金連中と渡り合えるのだ。

今ウチらに必要なのはクエストを周回して金や経験値を稼ぐことではない。

「そろそろ固定で組むフレ探さね?」

考えた末の結論。

「……やっぱり?」

向こうも似たような事を考えていたらしい。

基本的にパーティーはバランスが大事だ。

『全員同じジョブが最適解!!』みたいな例もちょいちょい出てくるがとりあえず置いておく。

多彩なスキルを持ち、敵味方が誰であろうと柔軟な対応が可能。

これが理想だがこんなもの不可能である。スキルの取得に限りがあるので、どんなキャラにも得手不得手が出てくるし、初見のメンバーと上手く合わせられない事も出てくるだろう。

それを回避するために『フレンド』を作り、PTメンバーを固定させるのだ。

「確かにな、ギルド実装前には数人集めておきたいか……。」

「あれ、ギルドっていつ実装だっけ?」

「来週の定期メンテ後」

……やっべ素で忘れてた。運営が発表してた気がする。まあいいや……。結局早いうちに人数集めるのに変わりはないし。

「ショウはリアルの知り合いとかいないんか?」

「残念ながら。そっちは?」

「いねーよ」

はい、早速手詰まりです。前に一緒にネトゲやってた連中に声かければ何人か引っ張ってこれるかもしれないが……。あんまりやりたくないなあ……。

「お、掲示板で反応あった」

掲示板……ああ、公式が用意してたやつか。いや、でもあれって……。

「あれって機能してるん?」

「さあ……。一応返事来たし大丈夫じゃね?」

あの掲示板って検索しづらいとか返事が分かりにくいとかで使い勝手の悪さからメチャクチャ叩かれてた気がするぞ……。

「どんな感じで返事来たん?」

チャット欄に一つの文が送られてくる

【私たちと一緒に遊んでください(^_^)/】

「これに返事したら『待ってます』って言われた」

いやいやいや、これネカマが男引っかけそうな文章じゃん。なんか一周回って普通に見えてこない事もない。

「これ、面白半分で返事送ったろ……」

「あ、バレた?」

このバカ、ネカマの姫プレイでも面白がって乗りそうだな。

ーーいや、前のネトゲで乗ってたな確か。

『どこまで貢いだらネカマだとばらすのか』などという訳のわからん遊びをやってた。貢いだ物のゲーム内の合計金額を仲間内で予想する遊び。今思えばホントしょーもない。貢いだ額は廃人様には痛くも痒くもないらしい。

「とにかくはよ行こうぜ。もう待ってるらしいぞ」

気は進まないが仲間候補のネカマ?さんたちの元へと向かうことにした。


【こんにちは、よろしくです(^o^ゞ】

【よろしくおねがいします】

約束の場所に待っていたのは二人だった。女性の姿をしたアバターである。プレイヤーネーム『マイ』と『ミイ』名前だけでなく両方とも黒髪 で姿まで似ている。リアルの知り合いがわざと似せて作ったのだろうか。

【どうも~、さっきお話ししたタツです(^_^)/】

【よろしくおねがいします!!】

【さっそくクエにでもいきますか(゜ロ゜)】

タツはどんなキャラでいきたいんだろう……。

こいつ、この後も全部顔文字つけるキャラでいくんだろうか……。

タツのチャットの後、しばらくしてから返事が返ってきた。

【私たちヘタっぴみたいで中々一緒に遊んでくれる人がいないんです(T_T)】

【なので、どこが悪いかクエストで見てもらえないかなあって(__)m】

【ボクたちで良ければいいですよ(^-^)】

タツとマイだけでやり取りが進み俺とミイは何もする事がない。話し合いの末四人用のクエに行く事になった。『あいついつまで猫被ってるんだろう』これが二人のやり取りを見ていた感想である。


 タツが選んだクエは無難な強さのモンスター討伐。この程度の難易度なら最悪俺たち二人でも問題ない。恐らく『ヘタ』が本当だった場合のためだろう。しかし女性陣のステータスを見て気になった。

「この二人レベル低くないよな?」

タツにそう尋ねてみる。ボイチャはまだ俺とタツにしか繋がってはいない。さすがに初対面であまり実際に会話したくない。

「だよなあ。装備も悪くないし……腕が相当悪いんかね」

やはりタツも同意見だった。レベルや装備だけならPTを追い出される程弱くはない。やはりネカマが騙している線がありそうな気もしてくるが……。

「これ、普通に困ってるだけな気がする」

「ん、ショウもそう思ってた?」

二人ともそう思っていたらしい。タツがそう思った理由はなんとなくわかる。

ミイが全く喋らないのだ。最初に『よろしくおねがいします』と定型文を撃ったきり。無口なハニートラップとか聞いたことがない。そんな人間を連れてくるなら一人で来た方が成功率も上がるだろう。

【「ウチラとは合わない」って言われて困ってたんですよ(T_T)】

【一回組んだ後次は中々組んでくれなくて……(;o;)】

【だからお二人が来てくれて嬉しいです(*´∀`)】

「ちょっと心が痛いわ……」

「俺も……」

自分の中で『騙す気のネカマ』から『普通に困ってる人』へとなったマイのチャットを見てると少し心が痛んでくる。ネット世界で汚れた心を反省し、クエストに向かうのだった。






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