予想外
「お待たせしましたぁ!!」
【フレイムバースト】
カスミの後から続々と皆が戻ってきて全員揃った頃には敵も壊滅状態。
そして、マイの一撃により周辺の敵は一掃された。
……画面に死亡表示出てたから分かっていたが……。
「……マジでタツ死んだんだな」
「あー……意外でしたねぇ。唯一の戦死者タツさんですもん」
「因みにどんな感じで死んだんだ?」
「えーと……後半何故かタツさん集中攻撃されて……四回位魔法撃たれてぽっくりと」
「いつもは私たちの中で一番残るんだがな……」
確かにサファイアの言う通りいつもは驚異的な生存率を誇る……タツ本人の腕によって。
ただ今回の相手は追尾や範囲魔法の使い手。
タツ本人とはめっぽう相性が悪い。
……スピードが生かせない以上『忍者』はただの紙装甲と化す。
……あいつ変なところで運が悪いからなー。
「……召喚魔法?」
「そですよぉ。体力減ってきたらフェンリル召喚してきましたぁ」
ひとまず敵を一掃したから向こうの話しを聞いてみたが……召喚?
……少なくともそんなスキルはスキルツリーに載ってすらいない。
上級職か敵限定スキルか……どっちにしろ厄介だな。
……いや、思い出してみれば確か前のボスたちも……。
「考えたらレイドの時のボスも弱ったら新技使ってきたしな。悪い、俺もあんま気にしてなかった」
「え?そうだったんですかぁ?」
「ん?そうだったのか?」
ん?なんだこの反応。
「いや、一緒に行ったろ……」
二人して忘れてる?
「あの……ショウさん?」
「ミイまでどした?」
「……私たち前回のレイドクエスト……ボス弱ってるの見た事無いです……」
……やっべ、そういやそうか。
「あれ?皆一緒に行ったんじゃないんスか?」
「実際にボス倒したのタツさんショウさん……後偶々一緒にいたもう一人だから……」
「……三人であのクエのボス倒を?」
「あー……うん、まあ」
そりゃそうだ、あの時は俺タツ幼女さんの三人だけか。
その後防戦一方で倒す暇無かったもんな……誰かさんのせいで。
これ、俺とタツが伝えなかったせいじゃん。
……心の中で謝っておこう『ごめんなさい』
「……でだ、これからどうする?」
「んー……どうすっかね」
「ギルマスなのにビシッとしませんねぇ」
「……僕はマイちゃんの『ゆかいな仲間たち』の一人なんで」
「あ!!それいいかげん変えましょうよぉ!!さっき野良で『ギルマスなんて凄いですね!!』って言われちゃいましたよ!!」
ああ……このギルド名なら絶対ギルドのトップだと思われるよな……かなり自己中な。
……いや、こんなんどうでもいい。
そろそろ真面目に決めないと手遅れになる。
①ここで時間まで全員で防衛する
……これはあまり良い案とは言えない。
一部隊潰したから攻撃力は半減したとはいえ、あのタンクボスの謎バリア越しに二部隊相手は少々つらい。
スキルが満単ならいけなくもないが……今はさすがに厳しい。
②先程と同じようにこちらを二組に分け迎撃に出る
……いや、選択肢が無いような物だしこっちなんだが……振り分けどうするか。
……ああ、もう!!
いつもはこういうの考えるのはタツの仕事なんだけどな。
そういや今久々に一人で考えてる……。
「結局さっきと同じメンバーですねぇ」
「しかし……また二人で大丈夫なのか?時間的にムスカリも来るだろう?」
ムスカリ……ってあっちのボスかぁ。
良く覚えてるなーホント。
「ま、ショウさんもその辺は気付いてますよ!!大丈夫でしょ!!」
「……そうだな。私たちの……リーダーだからな」
「サファイアさんカッコいいー!!」
そういえばサファイアさんって何者なんだろう。
何かのキャラのロールっぽいけど……その割にはゲームやネットの知識が無いしなぁ。
……これが素?いや、うーん……無いかなぁ。
「……おかしくないっスか?」
「何がー?」
「サファイアさん『時間的』って言いましたけど……本当ならもう……」
「あ、ロロさんも気付いてましたぁ?」
「……マイちゃん何が?」
「んーとね……本来ならもうボスと会ってもおかしくないかなぁって」
前回はこの時間にはボス二人と戦っていた。
乱戦を防ぐためボスが元いた方へ進んでいたけど……一向にぶつかる気配が無い。
これ、どうしましょ……。
「ちょっとストーップ!!」
「マイちゃんどうしたの?」
「皆もちょっと待ってね……ショウさんと相談するから」
ボイチャは……今あっちと繋がってないしなぁ。
一々設定するのめんどいし……普通のチャットでいいかな。
【ボス来ません(T_T)】
よっと、これで送信。
「……なあ、このまま進んで普通にボス倒せば良いのではないか?」
「んー……今回は時間稼ぎがメインだと思うから……無理に倒さなくてもいいかなって」
「ふむ……」
それを相談したいんだけど……返事こないなあ。
……あ、きた。
【まて】
……やっぱ待ちかぁ。無理に危ない橋渡らなくてもねぇ。
てか、あっさりしたチャット……。
【了解でーす(^^ゞ】
……考えたら向こう戦闘中か。
うん、悪いことしたかもね。
前回と今回の違い……それはボスを倒したかどうか。
残り時間が半分を切った時にボスが一人も倒されていなければ動く。
倒されていたらボーナスタイムみたいな物が出来て少し余裕が出来る。
……少なくとも私はこう考えていた。
「……ぜんっぜんボス来ませんねぇ!!」
防衛完了まで残り八分。
ボスが来る気配は全く無い。
「良いことじゃないか」
「うーん、そうですけどぉ……」
あまりにも肩透かしでしょ……。
すぐ来られても困るけど……一切来ないのもそれはそれで少し困るかなぁ。
【そっちはボスいますー?】
……返事がすぐ来ないから戦闘中かぁ。
うーん……ボスが全く動かないとはおもわなかった。
【いない】
……うん、そうだよね。
やっぱり一体でも倒せばボスは動いてこないのかぁ。
……よし!!
「皆さーん、戻りましょ!!」
「……マイちゃん大丈夫なの?」
「んー……この先ボス動かなそうだし」
仮に今から動いてきても時間切れまで耐えられそうだしね。
……それに。
「ほら、向こうのが大変そうだし」
二人でザコ処理はきついと思う。
こっちは五人もいるせいで暇だし。
「……そうだな、戻るとするか」
「それじゃあしゅっぱーつ!!」
予想通りボスはこの先一切動かなかった。
……こうして過去最高難易度かと思われたクエストは……過去最高に呆気なく終わりを迎えた。




