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ウチのPT@0  作者: ららら
3章 ギルド結成
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殴り

 現在七人。PTの空きは後一人。

そろそろかな。

「サラ、ちょっとPTの人たちのステータス画面見てみ?」

「ステータスですか?」

「そそ。割りと重要な事だから」

「……ちょっと待ってください」

そう言うとサラは黙って操作しだす。

「一応全員分見といて。サッとでいいから」

「はあ……」

まあ、他人から見えるステータス画面なんてたかが知れている。

有益な物は精々がレベルと装備品と職業だけ。

覚えているスキルやHPなどの細かいステータスの値までは確認出来ない。

……けれども野良ではこの作業に大きな意味があるのだ。


「終わりました。けど……、なんか覗き見みたいでちょっと……」

あー、サラは気にしそうだよな。

「これ、悪い事じゃないからな?慣れてる人皆やってる事だし」

「そうなんですか?」

そうだ。いや、やってて欲しい。マジで。

「なんとなーくでいいから誰がどの位強いか事前に知っておく必要があるんだよ。ヒーラーやクエスト主なんかは特に」

そろそろこの辺も教えていきたい。

「えっと……。今だと私やショウさんですよね?」

「うん。今一通り見て、レベルとかかなりバラバラだったっしょ?」

「そうですね。私たちの半分くらいの人も……」

「……まあ、そいつは例外におかしいけどさあ」

「あれ?『誰でも』だからいいのかと……」

「いや、まあ……うん」

限度があるんだよ。

現実なら『服装自由』だからってパンツ一枚でうろつくレベルだぞ。


「……まあ、とにかくヒーラーなら回復の優先順位の為に知っておくべきなんだよ。あの人強いから後回しでいいや、みたいな感じで」

その人が死んだ後にレベルの低さを確認しても後の祭りだからな。

……おっと、八人揃ったか。そろそろ話しを切り上げて出発の準備しないとな。

……あれ?この人は……。


「……知らない人と一緒にPT組むのって大変なんですね」

「んー……。別にすぐに覚えなくていいからな?俺やタツがいるならカバーするし」

「あ……。はい!!」

俺やタツが『いるなら』。

正直この先何が起きるか分からない。

皆気のいい連中だし、ずっと一緒にプレイしたいと思っている。

……だが、これはたかが『ゲーム』だ。

仕事や学校と違って飽きたら簡単に辞めてしまえる。

リアルの付き合いとは違い、互いに顔も名前も知らないのだ。ゲームにログインしないだけで関係はバッサリ切れてしまう。

あるいは、プレイヤー側が望んでいても会社側がサービス終了してしまうかもしれない。

どうなるか分からないが、自分たちがいない時でも普通にプレイ出来たらなあと、思っているのだ。


 さて、もう一つ……どちらかと言えばこちらが本題だ。

ゆっくり説明したいが、この会話を野良メンバーが聞いていないので話しながら出発の準備をする。

「なあ、サラ」

「は、はい?」

「……野良メンバーのレベル低かったろ?」

「……え?えと……その」

サラが言葉に詰まる。

まあ、性格的に『雑魚だらけですよw』なんて間違っても言わないだろうけど。

因みに、俺とタツは二人だけなら十中八九言ってる。

「は、はい。そ、その……大体の人が私たちより……」

分かってるなら無理に最後まで言わせなくてもいいか。

「だろ?だからさ」

野良の見知らぬ人。出しにして悪かったけれどこれが言いたかった。

「もっと自信持てよ。お前含めてウチらは全員上位陣なんだからさ」

「あ……」


 さて、俺のネトゲ人生で培った『身内との会話中に会話をしている事を知らないPTの人に怒られない程度に頑張って時間を稼ぐ』スキルもそろそろ限界だ。

さっさと出発しよう。

……しかし驚いた。

『大体』の人が私たちより下……。

野良のこんな時間に俺らレベルの人間来るんだな……。

まあ、ありがたい事はありがたいんだ。

少し嫌な予感がするけれども。


 現在クエスト内。目的値まで移動中。

今までのクエと違い、道中の雑魚敵を凪ぎはらって進んでいくタイプでは無い。

事前情報によると、商人が襲われた地点に大量の魔物がいて、そいつらを全滅させると次の敵が現れる。

これらを何度か繰り返すとクエストクリアー……らしい。


「あ、あの……」

「ん?どした?」

「あの人からチャットが……」

移動中にサラが口を開く。

「……あの人?」

「あ、えっと……『ワラウド』さんから」

……やっぱりあのレベル高い人か。

なんとなくチャットの内容が予想できる。

「……なんて?」

「純粋なヒーラーですよね?って」

事前に聞いてくるだけマシかあ。

「……はあ」

タツがため息をつく。

予想が的中した……いや、してしまったからだろうか。

「このチャットそのままコピペして送ってやれ」

【はい】

【殴りにいくならどうぞ】


「返事来ました。『了解。ありがとうございます』って」

「ん?ああ、分かった」

「……あの人ミイさんと同じプリーストですよね?」

「そうだな」

「……回復しないで攻撃に行くんですか?」

「そうだな」

やっぱり知らなきゃ疑問に思うよな……。

「あれは、あまり回復しないタイプのプリーストなんだよ。……だから、同じヒーラーのサラに確認取ったんだと思う。『こいつはちゃんとしたタイプのヒーラーなのか?』って」

「……それって良いんですか?」

「……えーと」

『良い』……これは難しい質問だ。

育成やスタイルは人それぞれだし、別に荒らしや寄生行為でも無い。

少し腑に落ちないけれど『悪』では無いのだ。

「……悪くは無いよ」

良くも無いけどな。


「でも、プリーストってあんまり攻撃力高くないですよね?……それなのに……えっと、アタッカー?で良いんですか?」

本来ならダメだ。プリーストなんて前線で戦うステータスに作られてはいない。

……本来なら。

「『戦神の憑依』ってあるだろ?」

「あ、はい。ミイさんがたまに使う……」

そう、ミイが回復を使いきった頃に使うあのスキル。

あのスキルが検証によって詳細が判明してしまった事で、プリースト育成方法が大きく二つに分かれてしまったのである。


なあ戦神の憑依って強くないか


あの地雷御用達みたいなスキル?


あんなん野良で使われたらフレに呼ばれるわw


あれ割合じゃなくて固定値上昇みたいだな

素ステが違うプリ二人で検証してみた


使ったところで三流が二流アタッカーになるだけやん


固定値とか尚更つかえねーだろww

そんなん効果あるの序盤だけじゃんww


普通に回復だけしてくれた方がありがたいんだが


 当初は非難の嵐だったが一つの動画が上がった事で事態は一変する。


『【ネト・ゲー】プリーストのみでトロル討伐に一同驚愕!』





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