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ウチのPT@0  作者: ららら
3章 ギルド結成
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ガチャ

みんな大好きガチャの時間

 ……さてどうしよう。

PTに入るか自分で集めるか……。

大した目的も無いので正直なんでもいいのが実のところだ。

少し広場でボーッと募集のチャットを眺めていた。

……良さげな募集が無い。

いや、募集自体が少ない。

そりゃそうだ、朝六時という早朝に賑わう訳が無いか。


「こりゃあ、募集するしかねーな」

痺れを切らしたタツが口を開く。

「だな、募集するか。……なんか行きたいもんあるか?」

「なんでも」

予想していた答えが返ってきた。

「あいよ。……サラはある?」

「えっ?……特には」

こっちも予想通りの答え。

「了解。……遠慮しなくていいんだぞ。今なんて俺ら二人しかいないんだから」

「あ……。え、遠慮なんかじゃ無いですよ?……欲しい物特にありませんから」

『欲しい物が無い』サラはそう言った。

……これは間違いだと思う。


「……別に昨日みたいな家具作りでもいいぞ?ああいうの好きなんだろ? 」

早起きして撮りに来るぐらいだもんなあ。

「……私は」

まあ、行きたいクエストが無いというのは正しいのだろう。

だが、サラは決して『欲が無い』のでは無い。

「どのクエストが必要か分からないんだろ?」

『知らない』だけだ。


 恐らく欲しい家具があっても、それに必要な素材の入手先が分からないのだと思う。

素材名だけでは予測付け難い物も多数あるから。

……さっきからサラがフリーズしてる。

苛めてるみたいだし切り上げてさっさとクエ行こう。

「……なんか行きたいの出来たら今度言えよー」

「……はい!!」

とりあえず無難に、あまり倒した事無さそうな敵のクエにするか。


「……これ大丈夫なのかよ」

タツがぼそっと呟く。

『これ』とは俺が持ってきたクエストの事。

【猛獣たちの大宴会】

「なんとかなんじゃね?」

「相変わらずいいかげんだな。……まあ、お前がいいなら別にいいけどよ」


 商人のキャラバンが魔物に襲われ、その魔物を倒して欲しい……というのが今回のクエスト。

しかし、命からがら逃げ出した商人の指示により元の場所にたどり着くと、荷の大量の食物を狙って多種多様な魔物が集まり、まさしく『宴会』となっていた。

これを重く見たギルドは冒険者たちを集め討伐を以来する。

このクエの背景はこんなんだった気がする。


 で、タツが心配したのがこれ『多種多様な魔物』が集まってしまっている事。

弱点も攻撃方法もまばらである為、単純に対策が立てづらい。

このクエで必要なのは、ドラゴン戦とはうってかわってガチガチの対策よりも臨機応変が重要となる。

「……募集方法は?」

そんな事決まっている。というか、タツも分かっているのだろう。

だから諦め混じりで聞いてきているのだ。

「誰でもOK」

「……知ってた」


 募集は二つに分かれる。『参加に条件が無く誰でも入れる物』と『レベルや職業などに条件を指定する物』だ。

後者は、『レベル○○以上の方限定』とか『ヒーラー、タンク1づつ募集』みたいな形になりPTとしての質を上げるにはうってつけの募集だ。

ただしデメリットも出てきてしまう。

『レベル99で伝説の剣と最強の鎧と神々の盾と魔王の兜を装備した勇者7人募集します』

こんな無理難題な募集だと高確率で集まらない上に

『バカな募集してるやつがいるぜw』

『よっしゃ晒してやろうw』

こんな連中が出て来てしまう。

何事もほどほどが一番なのだ。


「お前、野良ガチャ好きだよな……」

「……ん?まあな。……誰でもおkっと。よし、出来た!!」

【猛獣たちの大宴会 参加自由誰でもおk】

早速作った募集文をチャットに流す。

よし、早朝でチャットが少ない分ログに残りやすい。

まあ、集まりやすいとはいえ、人がいない時間だ。

気長にまったり待つとしますか。


「あ、あの。野良ガチャってなんですか?」

暇になったからかサラが口を開いた。

タツがポロっと口滑らしたからなあ。

……あれを聞き逃さなかったのか。

「あー。いや、まあ……」

やっぱタツでもこれの説明は躊躇するか。

サラやミイは何も知らずに純粋に育って欲しいです。

……年知らんから年上かもしれんけど。


「野良……こうやって募集する時ってどんな人来るか分からないでしょ?」

「あ、まあ、そうですね」

しゃーないから説明するか。

タツは身内にはそこそこ気を使うからな。

「だからソシャゲとかのガチャに例えてるんだよ。弱い人はノーマル、強い人はウルトラレア……みたいな感じで」

「あ……なるほど」


『野良ガチャ』ーーこれは他者を見下し人を値踏みして身内で陰口を叩いているようで陰湿ないじめに近い。

……なんて事はまったく思わない。

そもそも参加する方に問題がある。

身内ならいざ知らず、なぜ月額払っているゲームで寄生の介護作業をしてあげなければならないのか。

『参加自由(ではなく最低限の強さを持った人なら)誰でもおk』

募集文も言葉の本質はこうだ。


【言っていいのかよ】

タツから個人チャットが届く。

いいも何も元々お前のせいなんだが。

【いいんじゃね】

一文書き、サッと返す。

タツは優しい……というか過保護すぎな気がする。

俺や前のゲームの連中なんかには付き合い方が雑になるが、他の人にはどうも必要以上に気を使っている節があるのだ。


 ……意外と早かったな。あっさり集まってもうすぐPTが埋まりそうだ。

因みになんの制限も無い楽しい野良ガチャには一応ちゃんとした理由がある。

……ほんとだよ?文書くのめんどいし面白い人こないかなー?みたいな理由だけじゃないんだよ?

理由の一つはずばり、サラの為だ。

……人集まって来たしそろそろいいか。

「サラ、ちょっとPTの皆見てみ」

……このままだとサラからの評価が下がってそうなのでとりあえず言い訳紛いの説明を始める



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