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ウチのPT@0  作者: ららら
2章 ボクたちのこれから
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決着

 現在、俺の周囲に六人……つまりタツ以外の全員が一ヶ所に集まり、少し離れたところにタツだけが取り残されている状態だ。

「……集まりましたけどこの後どうするんです?」

「何もしない」

「……はい?」

うん、言葉通りの意味だ。

「いや、俺たちは本当に何もしない」

素晴らしい糞みたいな作戦。

本当の本当に最終手段だ。

「囮役だよ。俺たちはさ」


 挑発……つまり、ヘイト操作さえあればタツは攻撃を当てられるのだ。

現状、『誰か』に攻撃を固定するのは不可能である。

それならば『場所』に固定する。

……そう、一ヶ所に集まっているこの場所に。


「なんとなーく、分かったッスけど……」

「これ無茶苦茶でしょ……」

ロロとマイは意図が分かったみたいだ。

MMOは初らしいが、さすがゲームには詳しいだけはある。

……ドラゴンが突っ込んでくるな。

オンゲーはスタートボタンで止める、なんて芸当不可能だ。まともに話す余裕も無い。

「避けないでいい!!死んでもいいからそのまま殴れ!!」

ドラゴンが突撃してくる。

狙いは勿論、俺たちのグループ。

そりゃ、確率なら7/8だ。さすがに来てくれないと困る。

ドラゴンに飛びかかり、タツは無傷で攻撃を成功させた。

そして、ドラゴンの突進攻撃。残り七人は全員ダメージを受ける。

俺たちの中で二、三人は攻撃に成功しーーマイ

、ミイ、サファイアが死んだ。


「あ……あの回復は……」

「サラは自分だけを二回回復してくれ!!」

「は、はい!!」

【ヒール】

……これでサラは次の攻撃も耐えられるだろう。

飛行モードは攻撃の頻度が落ちている事も幸いしている。

これなら攻撃の合間にヒールを二回唱えられるはず。

……次の攻撃はまあいい。確率で言えば4/5だ。

ほぼほぼ攻撃はこっちにくる。

……問題はそこで倒せなかった時だ。


 ドラゴンの滑空攻撃に合わせた攻撃で丁度倒せたーーなんて事は無く、残念ながらドラゴンは健在だ。

……残りは俺とタツとサラの三人。

半ば諦めながらドラゴンを見つめていたが、異変に気づく。

「やばい!!」

「やべぇ!!」

「あ……」

俺とタツの少し後にサラも『ソレ』に気づいたようだ。

……このクエストで飽きるほど見たその行動。

ーーブレスの予備動作。

……最悪だ。このタイミングでそれかよ。

本当は運営が操作しているのでは無いかと疑いたくなる。


「……ショウさん、タツさん」

【ヒール】

サラは自分より先に俺を回復した。

……なんとなく、その意味とサラの言葉の先が予想出来る。

「……ごめんなさい。後、お願いしますね」

「ああ」

「……っ」

タツは何も言わなかった。

自分も短い返事しか出来なかった。

言葉が思い浮かばない。

【フレイムブレス】

ドラゴンの炎に包まれる。

……炎の中で仲間がまた一人消えていった。


【アーマー解除】

恐らく、このクエストで最後になるスキルを発動させる。

守りなんていらない。いや、意味が無いと言った方が正しいか。

ーーどうせ、二発は耐えられないのだ。

それなら、機動力を上げ攻撃に専念する。


 敵を攻撃するチャンスは最大三回。

狙われて無い方がすれ違い様に切って一回。

狙われた方が相討ちで切って二回。

……生き残った方が最後に切り付けて三回。

正真正銘これで終わり。

他に攻撃タイミングは存在しない。


 何も言わずタツと俺は間隔を開けて横並びになる。

五感を全て研ぎ澄ますんだ。

敵の行動一つ一つに集中しろ。

このドラゴンに限った話しでは無いが、細かな動作で次の行動が読める。

微妙にだが、攻撃に移る前の声の唸り方や首の捻り具合が異なっている。

タツはそれを見抜き、自分だけ当たらないコースを見極め攻撃していたのだろう。

つくづくレベルの違いを思い知らされる。


 ドラゴンが攻撃に入る。

……あれはたぶん、オーソドックスな突進攻撃か。

勢い良く空から降りてくる。この角度……。

ターゲットは……タツだ。

……こんな時だけこっちを狙ってこない。

結局タンクが最後まで生き残る事になるのか。

皆を守る壁役としてどうなんだそれ。


 意を決して走り出す。

自分が死んだら三十分以上の苦労が水の泡だ。

自分ではタツの技量には及ばない。

……それでも、今まで散々タツが成功する姿を見てきた。

立派な『お手本』を見てきたのだ。

あいつみたいに100%の成功率は無くてもいい。

今、この一回だけなら……!!


 攻撃地点へとたどり着き、ジャンプする。

武器を振った時に、剣だけが触れる高度。

接近してくるドラゴンを見る。

今だーー。

タイミングを計り攻撃ボタンを押した。

繰り出すのはいつもの縦切り。

攻撃は剣を降る軌道の頂点でドラゴンに当たる。

そしてドラゴンは体に触れる事無く、頭上を通過していった。

ーー成功だ!!


 着地し、ドラゴンを確認する為すぐに空を見る。

これでブレス系の攻撃を選択されたらゲームオーバーだ。

……しかし空のどこにもいない。

どれだけカメラを操作してもあの巨体が見つからない。

この時俺は本当に気づいていなかった。

少し視点を下げ、動かなくなったドラゴンを見つけるまでは。


「いやー疲れましたねぇ。私お腹空いちゃいましたよぉ」

「四十分くらいか?結構かかっちまったな……」

「……ショウさーん。なんか喋ってくださいよー」

「え……ん?」

正直今は頭に何も入ってこない。

ドラゴンの死体を見つけたと思ったら、クエストが終了し、ドロップアイテム等の画面に飛んでいたのだ。

今だに実感が全く湧かない。

「ん?じゃないですよ!!ドラゴン倒した人なんだから!!ヒーローインタビューってやつです!!」

ドラゴンを倒した……?俺が?

「……倒したの俺なのか?」

「いやいや!!カッコ良く飛びかかってドラゴンにとどめ刺したじゃないですか!!」

「いや、位置的に見えないし……」

「え?タツさんそうなんですか?」

「ああ、たぶん最後のシーンは足しか見えてないだろうな。俺が死んだ後おまえが切って倒したんだよ」

……そうだったのか。タツが相討ちで倒した可能性もあったが……。


「ヒーローがこれじゃ締まんないですねぇ。」

慣れてないんだ。ほっとけ。

「ていうか、皆ももっと喜びましょうよぉ」

「いや、疲れてるんだろ。ほっといてやれや」

うん、その通りだと思う。

……なんでこいつはこんな元気なんだ。

「まあ、確かに疲れましたねぇ。このまま解散します?」

「いや、ギルド作らなければいけないのではないか?」

やっべ、サファイアに言われるまでギルド忘れてた。

ドラゴン撃破で全て終わった気になってたな。


「……一番最初の作成だけ終われば後やっとくぞ」

「ならそれで!!タツさんお願いしまーす!!」

「私も構わないが……。大丈夫なのか?」

「基本後から変えられるからな。取り返しつかない要素は弄らないし」

「それなら朝一でログインして出来上がったギルド見ますね!!」

「後はギルマス決めとかねえと……」

「ギルマス?」

「ギルドマスター……ギルドのリーダーだ。一般メンバーと違って入団権限とか持ってたりするな」

「そんなもの、お前かショウだろ。」

「二人でサクッと決めといてくださいって。ミイちゃんうとうとモードなんですから」

「……いいのかよ」

「いいも何も、今までと変わらないじゃないですか。今更『リーダー変えます!!』とか言われる方が困りますって」


 タツか『ショウ』。

サファイアはそう言った。

あんな使い捨ての囮みたいな真似をさせたのに『リーダー』の選択肢に入っていたのだ。

「結局全員落ちちまったな」

そう、六人共嫌な事一つ言わずにログアウトした。

全員で勝ち取った『ギルド』を全て任せるとして。

……とりあえず少しは期待に答えるとしますか。

このギルドの初仕事をするとしよう。

「……どっちがギルマスやるよ?」


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