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ウチのPT@0  作者: ららら
2章 ボクたちのこれから
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二人

 メンテから時間が経った今、実装直後のドラゴンによる阿鼻叫喚は収まってきた。

それでもギルドを作成出来たのは十数組程度。

依然として、現状の最高難易度クラスのクエには違いない。

……さっさとギルド作りたいなあ。

因みに今、他の皆は夕飯兼休憩タイム。一時間後に集合との事。


 まあ、俺だけは買い物の続きなのだが。

部屋に食料確保してるから町見てる……的な事をポロっとこぼしたら。

『お金渡すから作っておいてくださいよー』

マイがこんな事を言い出し。

『そうだな、私のも頼む』

こんな感じでサファイアが続き、あれよあれよと全員分の買い物を頼まれた。

……別に暇だったし、嫌では無い。

いや、正直俺が揃える方が楽だよ?楽だけどさあ……。

ネットの人間を信用しすぎじゃないかなあ……。


 持ち逃げとか考えたりしないのだろうか。

なんだろう、俺が心汚れてるのかなあ。

リアルで親交があるタツなら兎も角、何も知らないネットだけの付き合いの人間に全財産を預ける。

……さすがに俺は躊躇する。

信頼されてる事をが嬉しい反面、危ういなあとも思う。

……まあ、信頼に答える為にさっさと装備作ったらおくか。


【スチールソードを作成した】

【スチールソードを作成した】

【スチールソードを作成した】

【スチールソードを作成した】

【スチールソードを作成した】

【スチールソードを作成した】


 同じ武器六本作成。

……別に間違ってないよ?

ウチのPTは、マイの杖、サラの槍、それと……。

……他全員が剣。見事に片寄っている。

現状これが良いのか悪いのか分からない。

欠点は、レア武器を入手した時ぐらいか。

この武器種の偏りのせいで、誰も装備出来ない武器を手に入れる確率が上がってしまう。

『俺装備出来ないから誰かにあげるよ』

これが出来ない。誰も必要無いのだから。逆に。

『一本の剣を皆で奪い合う』

これが起きてしまう可能性が出てしまう。

……いや、これは無いか。余所なら兎も角、あり金全部渡すメンツだしなあ。


勿論、武器種が偏ってる事にも長所はある。

それが今だ。


【スチールソード 力+3】

【スチールソード 魔力+4 】

【スチールソード 力+2 魔力+3】

【スチールソード 守+4 力+1】

【スチールソード 魔防+ 4】

【スチールソード 力+3 魔力+4】


 これが今作った『スチールソード』。

ランダムエンチャントのお陰で、PT内で最適な武器を回す事が出来る。

実際、装備出来る武器種が同じでも職業によっては、役割が大きく異なる。

物理攻撃しか持っていない俺やカスミに魔力は不要だし、逆に回復メインのミイには力よりも魔力の方が有難い。

必要ステータスが個人で違う事で、それぞれに最適な武器を渡すことが出来る。

……まあ、エンチャントによるステータス補正は微々たる物だけどな。


 ふう、これで一通り装備は揃ったか。

後はどうしよう。まだ四十分以上残ってる。

とりあえず掲示板でも見てーー。

「あ、あの」

ん?誰か帰って来たか?

「も、戻りました……」

「サラか?早かったな」

「あ、はい。あまりお腹空いてなかったので……」

「ちゃんと食っとけよ、次は長期戦なんだから」

そう、遂にドラゴン退治。

大一番の勝負の前に一休み入れたのだ。


「あ、大丈夫ですよ。私、元々食が細いので……」

「ん、そうか?それならまあ……」


 会話が続かない。沈黙が流れる。

……ヤバい、若干気まずい。

いや、サラが嫌いとか苦手とかそんな事は無い。

だけど……。

サラは大人しめの……、どちらかと言えば自分から話しを振るタイプでは無い。

うん、俺もそうだ。野郎どもなら兎も角、異性と二人きりとかきつい。

……マイの存在って偉大だったんだなあ。


 うん、さすがに黙ったまま四十分待つのは無い。意を決して言葉を口から出す。

「「あの」」

……被った。いや、有るんだねこんな事。

甘酸っぱい恋愛漫画のワンシーンみたいになった。

「悪い、先に良いぞ」

「え、でも……」

「いいからいいから。レディファースト」

多少強引にいかないと、この二人なら絶対に譲り合いになる。うん、学んだ。


「あ、えっと……。この前はごめんなさい!!」

なんだろう、急に謝られた。

「こ、この前とは……?」

「山賊の時に……」

……全く心当たりが無い。いや、マジで。

なんかあったっけ……。

山賊の時……山賊……。なんかされたっけかなあ。

サラが犠牲になって庇ってくれたのが印象に強い。

……これ、謝罪を受けるんじゃなくて、礼を言わなきゃいけない立場だなあ。思い返すと。


「ごめん、何か謝られる事あったっけ?」

「その……回復の時に……」

「回復?」

「回復の時に強く言っちゃったなあって……」

回復の時に強く……?


『っ……。み、皆さん!!マ、マイさんの近くへ!!『ヒールウィンドウ』を使います!!』


 ああ、あったな。

……こんな事気にしてたのか。

優しいというか、気にしすぎというか……。

「いや、誰も気にしてないと思うが」

「そ、そうですか……?」

「てか、むしろどんどん言っていいぞ。そっちのが助かるし」

「え……?」

俺やタツが指示を出すのにも限界はある。

前衛で戦って視野が狭くなっている俺たちよりも、後方から場を良く見渡せる位置にいるサラの方が良いに決まっている 。

実際、体勢が崩れて、場が上手く見えてなかった俺たちでは、あの指示は出せない。

文句無しの的確な指示だった。


「あ、良かった……。そうでしたか」

ふうっと小さいため息が聞こえた。

気にしすぎだとは思うが、サラの気持ちは分からなくもない。

心のつかえが取れたのなら良かったと思う。

「あの、ショウさん!!」

「ん?」

「ありがとうございます!!」

顔は見えないーーどころか顔を知らない。

それでも、サラの笑った顔が浮かんだ気がした。

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