お買い物
【お買い物は商業系ギルド『アポカリプス』まで!!】
【鉄ちょうだい】
【剣素材買い取りますm(__)m】
【紅蓮隊は入団をお待ちしています。ギルドマスターの】
【鉄ちょうだい】
【龍蒼寺龍太郎まで連絡ください。面接をします】
【あなたのキャラを育成します。詳しくはホームページ】
【http://×××◯◯◯ ネト・ゲー育成代理まで】
……カオスだなー。
商業区に来てみたけどチャット覧が色々と凄い。
「……どんだけ龍が好きなんでしょうねー」
「本名かもしれねーだろ」
それはそれでアウトだ。本名フルネームでプレイするなよ。
「……なんなんだココは」
「主にプレイヤー同士で買い物する区画だ。……アホが多くて分かりにくいけどな」
「タツさーん、変人の寄せ集めって感じがしますけどー」
「俺に言うな!!俺に!!」
「買い物チャットはあまり見えないが……」
「……だからこいつら殆どルール守ってないんだよ」
「うん?そうなのか?」
「ルール……ってほどじゃねえか。マナーだな。この地区ではなるべく買い物以外のチャットは控えましょう。って感じの」
「ふむ」
「別に違反じゃねえから、運営も取り締まらないけどな。」
「で、ここに何しに来たんだ?」
「ん?普通に買い物だ。装備作る素材買いに来たんだよ」
「はあ……。至って普通の理由なんだな」
「そりゃそうだろ。サファイアは俺をなんだと思ってるんだ」
「あの、タツさん……。商業系ギルドってなんですか?」
「ん、ミイは興味あるのか?」
「少し……。お店とか持てるならいいなあ……って」
女の子らしいかわいい感想。
しかし……。
「……店なんて持てねーぞ」
現実は非常である。
「え……」
「はああ!?」
「急にうっせーな。」
「いやいやいやいや、じゃあ、商業系ってなんなんですか!?」
「勝手にあいつらが名乗ってるだけだぞ。このゲームにプレイヤーが店持つシステムねーもん」
「だって『お買い物はギルドまで』って……」
「あいつらのギルドで普通にトレードするだけだぞ。ギルド自体を店になんて出来ないんだよ」
「うーん、なんか納得いかない……」
たぶんマイやミイが思ってる世界のゲームは後数年出来ないんじゃないかな
「なあ、一つ気になったんだが……。あのチャット流してるのも人間なんだよな?」
「そうだな」
「ギルドで売り買いするのも人間なんだよな?」
「そうだな」
「ずっとギルド内で店番してるのか?」
「そうだ……。と言いたいが、ありゃあサブ垢だ」
「さぶあか?」
「……サブのアカウント。PC二つ起動で一人ギルド内に置いてるんだよ」
「……そこまでするのか」
「廃人怖いですねぇ」
一つツッコミたい事があったけど我慢しようか。
「そうか?サブ垢使って複数起動とか当たり前だぞ?」
「タツさんもおかしい人側ですからね!?」
「結局何を買いに来たんだ?」
「いや、脱線させまくったのお前ら……。まあいい、『鉄』だよ」
「あれ?私も幾つか持ってますよ?」
「大量に必要なんだよ。スチール系の装備を整えたいんだ」
「最低一人数十個は欲しいんだが……。上位陣も結構買い占めてて在庫がな……」
「しかし買い物とは珍しいな。いつもなら『クエ行くぞ!!』とか言いそうだったが」
うん、正直俺もそうしたかった。
ただこの『鉄』だけはなあ。
「クエストじゃあ集まらねーんだよ。かったるい採掘しなきゃいけねーんだ」
「あー……。良くある洞窟の奥でカンカンと……」
マイの言う通り『どのゲームにも良くありそうなシステム』
つるはしか何かを持って楽しい炭鉱夫プレイ。
素材大量確保はかったるいんだよあれ。
金は大量にあるから、出来ることならそれで突破したい。
あの後色々なプレイヤーを回ったが、鉄の在庫は不足気味だ。
まあ、そっちは予想通り。予想外だったのは数では無く……。
値段だ。一個当たり80~100G程度。
NPCの店に売る時の値段が、30Gちょい。
うーん、高騰してるな。
因みに、装備一式作ったら所持金の殆どが吹っ飛ぶかもしれない。
プレイ時間が若干多い俺でこれなんだ。おそらく他の皆はアウトだろう。
「これ、暫くしたら安くなったりしないのか?」
「ん……。しない……と思うぞ」
「……装備なんて一つ作れば終わりだろう?行き渡れば需要が無くなるのでは?」
確かにサファイアの言う事は一理ある。
一つで終わるのならば。
「いや、ランダムエンチャントが……。分かるか?」
分からなそうな事が分かったのか。
タツが成長している。
「分かると思うか?」
「いばるな!!同じアイテムでも特殊効果がついて少し変わるやつだ」
「特殊効果?」
「そういや、あんまり装備作ってなかったな……。ちょい待ってろ」
そう言うとタツは何かチャットを打ち始めた。
【鉄の剣 力+2】
【鉄の剣 守+3】
「今まではあんま無かったけどな、こんな感じで作った装備にはエンチャントが付いたりするんだよ」
「ふむ」
「それで良いのが出るまで何本も作るから……」
「ああ、それで何個あっても足らないと……」
「そうだ、分かってきたじゃねえか」
……真面目そうなサファイアがゲーム廃人への一歩を進んで、喜ぶべきかは悩むところだが。




