表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチのPT@0  作者: ららら
2章 ボクたちのこれから
31/84

バーサク

「冒険者の皆様、あのお方を止めます!!私に続いてください!!」

長いイベントが終わり行動可能になる。

それにしても、私に続いてくださいね……。

「まだ死んでんじゃねえか!!どこに続けばいいんだよ!?」

「さっきまで戦ってたのは一体……」

タツとマイが俺の気持ちを代弁してくれた。

流石に勇者の蘇生くらい行ってほしい。

こうしてツッコミ入れられるだろうからさ。

「ちっ、まあいいか。来るぞ!!気合い入れろ!!」

全力でツッコミ入れてたやつに激入れられてもなあ。


 敵はハルバードに持ち換えた。

とは言っても今のところ攻撃パターンに何か変化が合った訳ではない。

新モーションや新技を使ってきてはいない。

ただーー。

「おい、これじゃあ近寄れないぞ!!」

「サファイアとタツは無理すんな!!なるべく遠距離中心で攻めるぞ!!」

「いや、ショウはともかく私はする事が……」

「立ってるだけで充分だ!!バフがある分置物でも仕事にはなる!!」

「……了解した」

そう、武器だけ換わってモーションが変わっていない。

単純にリーチだけ伸びてモーションも速度も変わっていないのだ。

漫画やアニメで良くある『長柄武器は振りが遅い』だとか『懐に潜り込めば弱点』なんて事は無い。

刃の部分で切られようが棒部分で殴られようが等しく大ダメージ。

素晴らしきゲーム世界の物理法則。……はあ。


【ファイヤーボール】

【火遁の術】

「……こっちはそろそろ打ち止めですよ」

「マジかよ……」

『ファイヤーボール』打ち止めとなると、マイが使えるスキルは『フレイムバースト』と『アイシクル』の二つのみ。

前者は単体に使うには効率が悪い。

後者は単純に火力が低い。対水弱点のドラゴン想定で取っただけだしな。

近接が思うように戦えないだけにこれは痛い。

声に出してはいないがタツの『火遁の術』もそろそろ使えなくなるだろう。

その証拠に明らかに使用回数が減っている。

「とにかく他のでいいから撃ちまくれ!!お前現状の最高火力なんだ!!」

「っ!!はい!!」

こちらも辛いが敵の体力も三割程度。

なんとかこのままいけばーー。

【バーサク】

ボスが今まで見た事の無いスキルを発動させた。


「グオオオッッ!!!!」

スキルを発動させたボスは赤いオーラに包まれて、突然雄叫びを上げた。

「バーサク?何だこのスキル? 」

ゲーム自体をあまりしないサファイアには馴染みが無い単語かもしれない。

ただ、このゲームでは聞いた事が無いが、別のゲームでは何度か見た事がある。

割りと有名な部類かもしれない、それ故にスキル名だけでも予想はつく。

「たぶん、狂って暴れ回るとかそんなんだ。攻撃力が上がるんだろ」

「サラ、ショウの体力に注意してくれ。バフ効果が高けりゃ今までより回復速めに!!」

「あ、はい……」

俺たちの『バーサク』についての予想は半分程当たっていた。

残り半分を外していたのが命取りになっていたが。


 咆哮を終えこちらに襲いかかってくるーーと思いきや急に方向転換をし、サファイアに振り向く。

「なっ!!」

突如の振り向きに対応出来なかったサファイア。

攻撃をモロに受けてしまう。

幸いだったのはスキルでは無かった事か。

強化された状態でスキルの一撃を受ければ死亡もあり得る。

『挑発』自体は100%引き付けるスキルでは無い。

あくまでも『高確率』なだけ。

俺もタツもこれはただの事故だと思っていた。

二撃目を見るまでは。


【ヒール】

サラがすぐにサファイアに向けて回復する。

これで立ち直せるはずだった。

しかし、二撃目もボスは俺を素通りする。

サファイアに向けて、二回目のヒールに向けての準備に入ろうとしたサラ。

「えっ?」

そのサラに二撃目がヒットする。

「ちょっと、挑発効いてせんよ!?」

画面を確認するが、挑発状態は解除されていない。

嫌な予感がする。これはまさか。

「全員自力で避けろ!!」

タツも俺と同じ考えか。

今度はこちらに来たボスの一撃をガードしながら考えをまとめる。


『挑発』は相手を怒らせ、自分を狙うように仕向ける。

これがゲーム内の設定だ。

『狂う』や『怒り』などの『バーサク』状態だと効かないのでは無いだろうか。

最初から怒っている相手に挑発なぞ無意味。

こんなところか。

まあ、こんな事が分かったところでどうしようもない。

対処法が無いのだから。

結局『挑発が効かない』。

これに変わりはないのだから。


 なるべく散らばり、狙われてる者は回避に専念し、別の者が比較的安全な背後から攻撃する。

言うのは簡単だが、中々に厳しい。

ターゲットがある程度固定されてた先程までとは違い、予想がつかない。

ある程度攻撃出来ているのは、キャラと中身の速さに優れているタツぐらいだ。

キャラ自体の速さが劣るナイトでは、正直ついていけない。

『挑発』が効果無い以上、物理的に壁になって無理矢理かばうのが精一杯だ。


【スピードダウン】

「あ……、ちょっと、これヤバいですよ!?」

バーサク状態で魔法使うなや!!

こういうのは普通使えなくなるもんだろ!!

……こんなツッコミ入れてもしょうがない。

この状況で狙ったのがマイとか、中に人でも入ってるのか疑いたくなるレベルの一手だ。

今のマイに大技でも使われたら完全に勝ち目が無くなる。

全員でカバーに入る為走る。

それを見越したかのような大降り。

勿論マイを仕留める為ーーでは無い。

なんと空振り。その場でブンブン回りだす。

「ヤべぇ!!これさっきのだ!!全員離れろ!!」

そうしたいが、全力ダッシュの後反対方向に走り出すなんて無茶だ。

無駄に慣性が働いている。

こんなとこ無駄にリアルにしなくても……。

【アクストルネード】

タツの声も虚しく、全員が技の餌食となった。


 この技は確かに強烈だ。それでも範囲攻撃である分火力が下げられている。

サラが常に体力を全快近くまで保ってくれたおかげで、一撃では誰も死んだりしない。

注意すべきは次だ。『アクストルネード』を受けた状態だと、単なる通常攻撃でも死亡圏内かもしれない。

次にターゲットにするプレイヤーを見極めろ。

走り出す方向を確認するんだ。

そう思い凝視していたが、ボスはその場から動かず武器を振り上げる。

あの位置から攻撃?

近くに誰もいないのに?

不思議に思ったが、先程のイベントを思い出す。

マズイ、あいつの視線の先には!!

【グランドインパクト】

斧で地面を割り直線に衝撃波が走っていく。

その先にいたサラにぶつかるーーことはなく射線上に割り込んだ俺に当たった。


 危ない、ヒーラーやられたら再起不能だ。

あのイベントに感謝か。

あれを見ていなかったら、予想もしなかった。

「あ……シ、ショウさん……」

【ヒール】

「あ……えと……」

早い回復、なんとか助かった。

それにしてもサラは何か言いたいのだろうか。

「っ……。み、皆さん!!マ、マイさんの近くへ!!『ヒールウィンドウ』を使います!!」

「ああ!!」

「了解!!」

「あいよ!!」

ああ、範囲回復のタイミング計ってたのか。

回復の範囲内に人を集め、しかも『スピードダウン』の効果がかかったマイを気遣って始点にする。

人に指示出すタイプじゃないと思ってたけど、成長したんだなあ。

……まだ会って数日だけど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ