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ウチのPT@0  作者: ららら
1章 ゲームスタート
19/84

おべんきょう

「このメンツ火力が足りねーよ」

タツが放った一言。

まあ、確かにそう思う。

サラとサファイアが加入して六人になった今、幾つかのクエストに行った素直な感想だと思う。正直、俺も思ってた。

「なあ」

サファイアは、何か意見でもあるのだろうか。

アタッカーのフレがいるとか……。

「……火力ってなんの事だ?」

ああ、それ以前だったわ。

「それは攻撃りょーーいや、ちょい待て。この中で他に分からない人ー?」

「はい」

「……はい」

三人かー。ミイ、サラ、サファイア……。

このゲーム、事前情報と夏休み期間で、今までゲームに関わらなかったプレイヤーが多く始めたらしい。

『戦いが苦手な人も綺麗なグラフィックの世界で他のプレイヤーと交流して楽しもう!!』

みたいな謳い文句でPRしていたな、確か。

「攻撃力とか、攻撃役とかそんな感じの意味でーー」

「それ、攻撃力じゃダメなのか?」

「……いや、俺に言われても」

「なんで『火力』なんだ?」

「それもわかんねーし……。昔からゲーム全般で使われてたから……。」

「んー……」

タツ先生困ってる。サファイアは納得いってなさそうだな。

知らん人間からすると違和感あるんかね。

まあ、よくよく考えると。

『火力役の水魔法使いです』とか

『ウォーターソードじゃ火力不足だ!!』

とかおかしいなこれ。

知らん人からすれば『は?』としか思わんな。


「で、私たちはどうすればいい?」

「ん?」

「私たちのレベルや装備が弱いのだろう?」

「ああ、悪い。そういう意味じゃねーんだ。PTのジョブのバランスが悪いんだよ」

これはタツの言うとおりだと思う。

この六人、良く言えば安定感がある。悪く言えば火力不足。

六人の中で純粋な火力枠はマイの『マージ』だけ。この手のゲームは人口割合では火力枠が多めになるはずなのに、なぜかマイナー寄りの職業が集まった。

「幼女ペロペロさんって、入ってもらえたりしないんですかー?」

「ああ、あの人ダメだ。もう組んでる人いるしな。この前のレイドみたいに人数足らん時くらいだろ」

「へー」

「いや、そもそもだ……」

「バフ係を増やそうとすんな!!アタッカー増やせよ!!」

「たつさんがおこったーこわいー」

「棒読みじゃねえか!!」

なんやかんやで仲いいなこいつら。

「あー……。話し分かんなくなっちまったじゃねえか。とにかく勧誘するならアタッカーな!!」

「はーい」

「……アタッカーて具体的には?」

「ん?」

「タツさんの忍者ってアタッカー?ですか?」

「いや、俺は本来デバフや状態異常撒くタイプだし……」

「デバフ?」

「……撒く?」

なんか嫌な予感するわ。

「……」

「タツせんせー私に教えてくださーい」

「お前は知ってるだろ!!」

予想通りだ。アイツ素でゲーム用語使ってるのに気づいてないんじゃね。

タツ先生のバフデバフ授業が始まった。

ミイ、サラ、サファイアのかしこさがふえた。

タツせんせいのつかれがふえた。


「そもそもどうして人数必要なんだ?」

サファイアの質問。そういや、俺たち二人以外には話してなかったな。

「……話してなかったか?ギルド実装までに人数揃えたいんだよ」

「ああ……。でも焦って今集めなくてもよくないですか?」

「ん?」

「いや、だって人集めは実装後でもいいですよね?」

「……トップ組から出遅れるだろ」

「そもそもどこ目指してるんですか……?」

「上の下」

「微妙!!意識高いんだか低いんだかわかんないですよ!? 」

「上位陣にはなりたいけど廃人級にはなりたくないんだよ!!」

「……ショウさんはそれでいいんですか?」

「上の中」

「変わんないです!!トップ目指そうとか言わないんですか!?」

無茶言うな。ネトゲのトップなんて無理に決まってるだろう。

「……お前は不眠不休ボスマラソンとかしたいのか?」

「ええ……。それは嫌ですけど……」


 実際、MMORPGで必要なのは時間と根気だ。

『俺ツエー』を夢見て入ってきても現実は厳しい。

自分だけのオリジナルスキルや装備なんて存在しない。

貴重なアイテムの入手方。

強敵の対処の仕方。

強キャラへの育成方法。

そんなもの全て『攻略weke』に書いてある。

トップ争いは時間と金が有り余っていてようやくスタートラインなのだ。


「てか、メンテって明後日じゃないですか!!」

「だから困ってるんだろ……」

「何かいつもみたいに案がないんですか?」「ねーよ」

「えー……。いや、思ったんですけど、さっきから私とタツさんしか話してないですよね!?」

さっきから、と言うかそもそもこのメンツの半分以上はあの二人の会話だ。

「僕コミュ障なんで」

「ぜえったい嘘でしょ!!」

本当の事を告白したら嘘呼ばわりされた。

「ほら、サラちゃんやミイちゃんも楽しいトークにーー」

急にマイの声が途切れた。

楽しげな町のBGM。町行くNPCたちのSE。

ちゃんと聞いたの久々な気がする。

「どうした?落ちてーーはないよな。キャラはいるし」

「うるさかったんでマイク抜きました」

……なんというか、ミイって結構怖いな。

「ミイ、良くやった!!」

タツからの賛辞。すかさず俺も続く。

【おめでとう】

【尊敬します】

【やったー】

【すごい】

【グッジョブ!!】

それっぽい定型文をガンガン送る。

【酷くないですか!?】

マイからのチャット。どうやらマイクは取り返せなかったらしい。

【今一人ですか?】

【後にしてください】

【またどこかで!!】

【バイバイ】

【日本語わかりますか?】

【さようなら】

【いらない】

【バイバイ】

すげえ、サラ以外の四人による定型文の連続煽り攻撃。

風でなんちゃらの一体感のAAを貼りたい。

手元になかったのがすっげー悔やまれる。

言葉自体もうろ覚えだから検索で探す事すら出来ない。

「ちょっと!!私そろそろ泣きますよ!?」

マイが帰って来た。落ち着く時間も終わりかあ……。

「……ブロック機能ってどうやるんですか?」

「ミイちゃん酷くない……?」

「誰もマイちゃんにやるなんて言ってない」

「ならなんでこのタイミング!?」

【フレンド一覧→マイ→ステータス確認→ブロック】

「あ、出来ました」

「結局私だよね!?」

喉痛くなんないのかなこいつ。

「だって半端にエコーかかってるみたいでウルサイんだもん。ブロックしても、どうせ現実で声聞こえるし……」

「え……。いや、ゴメンね……。」

割とちゃんとした理由あったのか。

「妹いじめんなー」

「私いじめてた人に言われたくないんですけど!?」

すげえ、脱線しすぎて元の話しが思い出せない。

なんだっけ……。ああ、メンバー探しか。

「……マイのツッコミ飽きたし何かしようぜ」

「……好きでツッコんでるんじゃないんですけど」

さすがに両者お疲れの様子だ。

からかう側もされる側もすでにグロッキーである。


「どうしますー?手当たり次第声かけます?」

「俺コミュ障なんでパス」

「あ、俺も」

「まーだ引っ張るんですかそれ……」

だって嫌だもん。

「……賛成の人ー?」

一応聞いてみる。無音。静寂。誰もやりたがらない。

そりゃそうだ。出来たらとっくにやってる。

「はい、却下」

「うー……」

発案者は納得いってないご様子。

正直一人でやってきてほしい。

「そういえば四人はどうやって出会ったんだ?」

サファイアからの疑問。教えてなかったっけか。

「公式掲示板でマイの書き込み見た」

「……それでいいんじゃないか?」

あー……。ちゃんと機能してるんかねアレ。

ウチらも最初ふざけ半分で乗ったしな……。

「……そうだな、マイ頼む!!」

ただ面倒臭くなってきたからそれでいいやもう。

「また私なんですかー?別の人でもいいんじゃ……」

「こういうの女っぽい書き方のがいいんだよ」

「……ネカマっぽいとかバカにしてませんでした?」

やっべ、覚えてやがった。

「文章はある程度俺らが考えるから。はい、決定」

有無を言わさぬタクのごり押し。

「子供みたいな事を……。まあ、いいですけど」

よし、納得してくれた。

「その前に、ちょっと飲み物取ってきますね。ミイちゃんココアでいい?」

「うん」

あれだけしゃべってたら喉渇くわな。

「それじゃあ、ちょっとお待ちをー」

マイは部屋から離れて飲み物を取りにいったようだ。

真面目に募集文でも考えようか。そう思った時。

「ミイ、マイは近くにいないか?」

「え?あ、はい、タツさん」

なんだろう、聞かれたらマズイ事なんだろうか。

「あいつのマイク音量今のうちに下げとけ!!」

ああ、天才だわこいつ。

たぶんすぐには気づかないもん。

「ど、どうやって?」

「ゲームのフルスクリーン解除!!それから右下にあるスピーカーマークをーー」


マイのおんりょうがさがった。

みんなのちょうしがあがった。


バフーーなんかこうパワーアップするやつ

デバフーーなんかこうパワーダウンするやつ


作者も曖昧です。

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