リア充爆発しろって死語っぽいけど叫ばせて!
衝動的に書きました。
河下水希先生の初恋限定を読んで書きたくなった感じです。何でも、いちご100%の続編がやるらしいですね……、
ひゃっほう!
リア充爆発しろってのは、末永く爆発しろって意味であって、言葉通りに爆発しろという意味ではない……。
だから、俺はこう思う。
――リア充は爆発四散しろ。
「よう、なに朝からぶつぶつ言ってんだよ?」
朝っぱらからイチャイチャしてたカップルを電車で見たせいで、俺の青春ヘイト値が上がってしまったらしい。
「い、いや……。何でもない」
おかげでクラスメイトから心配された。
学年一モテる……この谷崎に。こいつはモテる。クラスの女子にはもちろん、他学年でさえこいつを訪ねてくるほどだ。
地獄に落ちろ。
てか、正直羨ま――。……くっ!
「おい、担任来たぞ」
「ああ……」
連絡事は特になし、そのまま休み時間へと入った。
そうすると、廊下に待ち伏せていた女子たちが押し寄せてくる。
「あ、あの、谷崎先輩いますか?」
「谷崎、時間あるかな?」
「ねぇ、ちょっとでいいから……」
爆発してしまえ。
というか、何で一人の男があんなにモテるんだ? 需要と供給曲線がねじ曲がってしまうじゃないか。
いや、――嫉妬してるだけ、か……。
谷崎を想うやつはたくさんいる。千早さんもその中の一人であるだけだ。
ただ単に俺が千早さんを好きなだけで、それ以上でもそれ以下でもない。
谷崎は万人受けするやつで、クラスのギャルは「今日ゲーセン寄んね?」とか、部活の後輩は「先輩は教えるのが上手で……優しいし……」だとか。
その上、学級委員も務めているから、谷崎は谷崎でもう一人の学級委員――もちろん女子だ――に「今日の放課後先生に呼ばれたから、一緒に行こうか」なんて言ってやがる。
じゃあ、千早さんは? というと、そもそも千早さんは引っ込み思案で、クラスでもあまり目立たない。
基本一人で本を読んでて、伸ばした黒髪は三つ編みにして、一つに束ねられている。そして眼鏡。
あああああああかわいいいいいい!
ザ、文学少女。中学の頃に文学少女にハマった俺は、高校に入って千早さんを見たときには、すでに落ちていた。
だが、強敵もいた。わかる通り、谷崎だ。
しかし、谷崎がいる学生生活になってしまったが、谷崎が居なかったとしても、俺は千早さんに何か出来るわけでもないだろう。
ただ単に、谷崎のせいにしているだけだ。逃げているだけだ。
自分に自信がないだけで、谷崎は悪くない。
千早さん千早さんで、谷崎に声を掛けるでもなく、横目で見つめている程度だ。それなら俺が行っても……、いやいや、何をばかなことを。
つうか、何でこんなに女子が来るんだ……?
何の気なしににスマホを見ると、『2月14日』と表示されている。
あっ。バレンタインデーでしたか。そうですか。
――『貴方にとって、バレンタインデーとは?』
頭の中でインタビューが流れる。それに答える俺。
『平日です』
――『それは、チョコを貰ったことがないからでしょうか?』
なんだとこのやろう。ち、ちちち、チョコなんて要らねえわ。あんなもんお菓子会社の策略で……。
『……違います』
――『ですが、谷崎くんがチョコを手渡されるところを見ては、羨ましそうにしていますが?』
なんだこのインタビューは! 俺の脳内でやってるくせに、俺を痛め付けて来やがる。やめだやめ。これ以上続けていたら発狂しちまう。
はっ、もしや千早さんは、た、谷崎に渡すつもりなのか!? ぐうぅぅう、嫌だ、止めてくれ……。そんなとこ見たら立ち直れねえ……。
あっ! 他クラスの女子が引いたところに、千早さんが谷崎に走り寄っている! 手には……チョコ!?
終わった……。もうダメだ、立ち直れない。
いや! 万が一と言うこともある。尾行てみよう!
ついていくと、何と渡しているところに遭遇してしまった。どうすべきだ。とにかく、会話を聞いてみることにした。
「た、谷崎くん……、良かったら、受け取って……?」
「何このブス。うちの谷崎に近付かないでくんね?」
おっと、ギャルの乱入! 谷崎はどう出るんだ――?
「おい、止めろよ。ごめんな千早さん。大丈夫?」
「は、はい。すみません、ありがと、……!?」
何と、谷崎は千早さんの手を取る振りをして、チョコを奪い取った! な、何しやがる!
「なーんてね。何これ? 手作り? あはは、必死じゃん、千早さん。てめえみてえなブスから貰うわけねーだろ! はははっ!」
……谷崎は、こんなやつだったのか。もう、自分を抑えられる気がしない……。
「谷崎ィ! てめえ、千早さんを傷付けやがって、許さねえぞ」
谷崎は運動部で、スポーツ万能。そんなやつに俺が勝てるわけがない。だが、やらなきゃ気が済まなかった。
「うおぉぉおおおお!」
半乱狂で突っ込む。谷崎が一瞬硬直した。俺の叫び声にびびったのかも知れない。そこを見逃さなかった。
みぞおちを思いっきり殴る。谷崎は白目を剥いて倒れた。
はぁ、はぁ……。やった、勝ったぞ!
「ち、千早さん、大丈夫? ごめんね、谷崎に酷いこと言われてたの聞いちゃって。居ても立ってもいられなくなっちゃったんだ。立てる?」
千早さんに右手を出すと、千早さんは俺の手に掴まってくれた。
「あ、ありがとう。あ、あの……良かったらこれ食べてくれる……? な、なんてっ。ごめん、他の人に渡そうとしたのに……。ごめん何でもないっ。捨てるから気にしないで」
「いいよ、貰うね。せっかくの手作りなのに、捨てちゃうの勿体ないよ。てか、……俺、千早さんのこと、好きなんだ……」
「えっ!? 本当? 私も……好き」
こうして、俺は千早さんと付き合うことになった。谷崎は、俺なんかにやられたなんて言えないから、大人しくなってる。
そこから俺の学生生活は薔薇色だ。それはもう毎日が楽しく――
――なるんだろうな。
今までのほとんど俺の妄想だし。さすが女性経験ゼロ。欲望が駄々漏れだよ。
ギャル辺りから俺の妄想だ。
谷崎は、千早さんからの「受け取って……?」という上目遣いにたじろぐこともせず(俺なら敬語になったり挙動不審と化す)、「ありがとね、千早さん」と相変わらずの爽やか笑顔を見せた。
ホント、リア充は爆発四散すればいい。
谷崎はやはり俺の青春ラブコメは間違っているの葉山、千早さんは¥十億少女の鹿の子ようなイメージです。