デジャヴ
どことなく既視感
プールで泳いだ後の
気怠さのような
淡い感覚
オフィスの窓から
伸びる空
心細さの中の
白い真昼の月
唐突に迷子になる私
遠くで鳴る内線
キーボードのタップ
すべて
向こう岸に寄せる波
改札口を出れば
人ごみの中で
迎えた夕暮れ
佇む
流れに乗れない
つかえた小石のように
日常には喧噪はつきもので
でもそれさえも
薄張りの硝子の向こう
天井から降る足音が響く
狭い部屋で
足の小指に塗る
マットな水色
はみ出せば甦る
とりとめもない瞬間
何に溢れて
何が足りなかったのか
もう分からないのに
懐かしさばかりが胸を打ち
星が跳ねれば
摘まんで食べた
生きてる音を
数えて泣いた
どうしてひとり
そんな頃を
思い出してる




