出会い
「いっしょにあそぼ」
ある日、友達を待っている俺に男の子が声をかけてきた。
男の子は大体、小学2年生くらい。
俺は暇つぶしに遊んでやるか、と思って
「あぁ、いいよ。」
と言った。
そして俺は男の子の名前を教えてもらった。
林田 げん
って言うんだって。
ついでに俺のも教えてあげた。
神田 ともや
カッコいいだろう?
なんて言ってるうちに、
げんは近くにあった公園の
ブランコで遊んでいた。
なぜか、周りには誰もいなかった。
ま、そうだよな。
だって、今は・・・、
夜の11時だし。
ん?
夜の11時って子供の寝る時間じゃないか?
げんは普通に遊んでいる。
俺は軽く身震いした。
いや、怖がってねぇからな?
ただ、寒気が・・・。
「ともやお兄ちゃん」
「ぅわぁあああ!!」
いつの間にか、げんが俺のそばに来ていた。
あまりにも突然すぎて驚いちまった。
驚いただけだから、うん、怖がってはねぇよ?
「・・・で、げんくん何かな?」
俺はニコッと笑った。
「いっしょにあそぼ」
げんはいきなり俺の手首をつかんだ。
「いってぇえええ!」
げんの握力は一体どうなってんだ?!
とてつもなくいってぇ!!
「げげげ、げんくん?!痛いんだけどぉ?!」
「いっしょにあそぼいっしょにあそぼ」
「わかったからぁ!!!はなせぇえええええ!」
手首が折れそう、いや、もげそう!!!
「あそぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそぼ」
げんは狂ったかのように「あそぼ」を連発する。
正直言って、ウザい。
ウザすぎる。
「おい!ともや?」
うざいうざい、と思っていると俺の友達がやってきた。
「おう、助けてくれ!」
「はぁ?何言ってんだ、お前」
俺の友達はめんどくさそうに俺のところまできた。
「んで、何を助ければいいんだよ」
「この手を、この手を取って!」
俺は自分の手首を指差した。
・・・って、げんがいねぇ!!!!
なんでだ?!
さっきまでいたはず・・・。
「で、ともや、なにも手首についてませんけど?」
俺の友達は不思議そうな目で俺を見る。
「ああああ、誤解誤解!よし、遊びにいこ―!」
「あ、あぁ・・・。」
・・・そうだ、誤解だ。
あの男の子は幻覚だ。
うん、そう思うことにしよう。
「いっしょにあそぼ」
かすかに俺の耳にまたげんの声が聞こえた。