プロローグ
「今日から僕も一人暮らしかぁ、まぁ多少不安はあるにしても大体のことなら大丈夫でしょう。」
築十年のマンションを前にして僕、鳳上空牙は呟いた。
「まぁでもやはり築十年だとまだたいぶ綺麗ですね。それに一人暮らしなのに2LDKは少し広すぎでしょう…まぁでも念願叶ってやっとこさ手に入れた一人暮らし、高校生活は中学の時みたいにはならないようにしなければいけませんね。」
とまぁ色々ぶつふつ呟いていたが、荷物の整理をしなければならない。
男の一人暮らしなので、女性ほどではないが、荷物は多い。
「まぁまだ時間はありますし、ゆっくり準備しますか!」
「ふぅっ!ようやく一通りの整理が終わりました。とりあえずご飯食べましょう。
っとその前に簡単に近所に挨拶に行きましょうか。」
そう言って僕はジャージ姿のまま両隣の部屋に挨拶に行った。
ちなみに、僕が住んでいるのは2階の左から3番目、つまり203号室だ。
202号室に行ってピンポンを鳴らすと、出てきたのはタンクトップ姿のガタイの良い男性。格闘技をしているのか、しかし顔に傷も多いのでや○ざという可能性もある(まぁや○ざさんなら、親父の名前を出せば良いだろう)僕がぼうっとしていたら
「坊主、何の用だ?」
「あっ…あぁすいません。今日から隣の部屋に引っ越してきた鳳上空牙と申します。本日は挨拶に参りました。」
危ない危ない、や○ざさんかと思っていました、何て口が裂けても言えない……。僕がそう言うと
「お前さんも学生か…」
お前さんも?ということは少なくとももう一人はここのマンションに学生が住んでいるのか。そんな風に考えていると
「俺の名前は唐松隆。
こんな見た目だが、研究所に科学者として勤めている。
よろしくな。
えぇっと鳳上…だっけ?」
なるほど、唐松さんか、え、ちょっと待て、今この人科学者って言ったか?こんな見た目で?自分でも言ってたけどとてもそんな風には見えないぞ!明らかに、2、3人は殺ってそうな人だぞ。
と、心のなかで思ったけど口に出したら殺られなので黙っておいた。沈黙は金なり!
「とりあえず、これからよろしくお願いします。」
「おう、よろしくな!」
次は204号室だな。
さっきあんな人に出会ったから、次はどんな感じの人が来ても冷静に対処出来るだろう。
と、心づもりをしてからピンポンを押した。
「はい、どちら様でしょうか?」
透き通ったソプラノ声、それに似合う整った顔立ち、喩える言葉が出てこないほどの美女が呆気にとられたように立っていた。
これが僕と彼女の最初の接触だった