火の精霊の心配
「ハァハァ、あんな奴らと違って…フロスちゃん、アイスちゃん可愛いよ…。ああ、二人に色々と、手取り足取り教えて上げねば!そう、色々と…。ウヘヘヘヘ・・・。ウ、ウヘヘヘヘ…。
とか考えているんでしょ?この色魔め」
「…あなたは人の事を、何だと思っているのですか!そんな訳ないでしょう!」
「人じゃないけどね」
「…」
「…」
「ひ、人じゃなくても倫理観や道徳観と言ったものだってあります!そもそも僕の力の一部がある時点で、娘みたいなもの…」
「うわー、あれか。こう『お父様』とか言わせて、アレコレ調教とか緊縛とかそっち系か、この鬼畜眼鏡。趣味は選んだ方がいいよ…捕まりたくは無いでしょうに…」
「そんな趣味はありませんし、捕まるような事をした事ありません。それに、誰が僕を捕まえるんですか!」
「えっ」
「えっ? …! 『えっ』て! …うう…」
泣いた。
…偶にね、泣かしたくなる。好きな子を虐めちゃう理論ではなく、単なるSなんだろうな…。
今日も、お茶がおいしい。BGMも今の気分にぴったりだー。
…はあ…。
「うう…、…?ど、どうしたんですか、ため息なんかついて」
「いいから、涙と鼻水を拭け。汚いから」
ちーん、って子供かお前は。
「…あなたの機嫌が悪い時は、大抵何か厄介事がある時。僕ではお力になれませんか」
「んー、もう実は助けて貰った後かな。うまく転べば、だけどね」
「道理で。…いつもなら一蹴しているような気まぐれを、よく了承したなと思いましたが…」
「あの暇人2名は置いといて、あの子は喜ぶだろうしね。…それに間違いであったらいいけど、黒猫が近々迷い込んで来るかもしれない。嫌な予感がする」
「…」
「まあ、そんな気がするだけだから」
「…」
「だからちょっと、あの熱血漢と根暗に会ってくる。…憂欝だ…」
「…えーと、あなたが手ぶらで行ったら話がややこしくなりそうな気がするので、この茶葉とこのお茶うけでも持って行って下さい」
「ありがとう」
「…間違っても、あの方々の前で暴言吐かないで下さいよ…。畑に影響が出そうなんですから」
「えっ、畑の心配?」
「はい」
即答か。…フロスとアイスには、ある事ない事言いふらしてやるこの鬼畜眼鏡…。
ずずー。
ああ、今日もお茶がおいしい。
平和な時間は、有限だ。今はつかの間の休息を味あわねば。
…しかし、もう一回くらいこ奴を泣かせたいという邪悪な思いがー…。