ええと…ほったらかし、か。
あれから、どれだけの時間を寝ていたかはわからない。
なにせ、真っ暗闇で自身の感覚すら停止しているのだから。
感じるのは眠気と不快感だけ。それ以外一切の感覚が無いのだ。
極端に言えば、空腹や排泄といった一般的なものから、…試したくはなかったが痛覚等も無い。
時間の概念が維持出来ないのだ。
慢性的な眠気、自身以外何も無い空間に対する精神的な不安からくる不快感。
ただ、恐怖が一切ないことから、まだ発狂せずにはいられるが、それが救いと言えるかどうか。
もしかして…「死」の状態というのは、この事かもしれない。
そう考えると妥当な気もするが、それでも解決出来ない多々の諸問題も残る。
なんでこんな事をグダグダ考えているかと言えば、
最後に聞こえたあの声は、「彼女たちに聞くといい」とか何とか言ってたが…
一向に、状況に変化が無い…!
誰か来るとか! なんか又声が聞こえるとか! 彼女たちって事は複数なんだとか!
そもそも何も起こらない! なんだこの状況!詰んでるよ!
アレか、今流行りのツンデレか! 早く誰でもいいからデレろ! いや出ろ、出てこい!
…ええと、だ、大丈夫。まだ発狂してない、はず、だと思う、んだけどな…。
この演技で、クスクス笑う声や、女性の声でも聞こえれば尻尾が掴めるのだが、
幻聴すら聞こえてこない。少なくとも意識はしっかりしている点と、この程度の茶番で
現状打破は困難という点は頭に入れておいたほうがよさそうだ。
仕方がない、か。
当てもなく、暗闇をフラフラ歩くしかないか…。
それがしたくないから、小芝居打ったのに…。
疲れも無いから肉体的な問題はないが、滑車のハムスターを連想してしまい、
精神的には萎える。
…この落し前は、高くつけなければ気が済まない。
只々、その後も歩き続ける事が、恐らく無為な事くらい、ある程度は予測していたんだけどね…。