水の精霊の場合
「癒し、ね。くくく…あっはっはっはっは、ひー苦しい。
そりゃ、さぞかしあのモヤシとお似合いのカップルになりそうだ!
アレだろ?こう美人で大和撫子で、常に夫を立てて三歩下がって
傍に控えてます的なイメージなんだろ…ぶふふぁ…くくく…」
「…よく大和撫子なんて知っているね。それととっても汚い」
「悪い悪い。…ダメだ苦しいー、あっはっはっはっは…」
とうとう、愛用の槌を投げ出して地面をバンバン叩きだした。
こっちに向かって噴出さないで欲しい。
精霊だろうがなんだろうが、唾を吹きかけられたら嫌だ。
「ほら、いつまでも馬鹿笑いしてないで、日課の途中なんだろ?
最後までちゃんとやれ、ついでにこんな物投げるな。」
「おっと、そういえばそうだ。ごめんな、あいつのせいなんだ。
あいつが笑わせるから、つい耐え切れなくてお前から手が離れただけなんだ。
お前以上に俺をたぎらせる奴はいないからな。」
んーと、槌にキスする武器マニアを見て、深くため息をついた。
そして目の前にある氷の塊を見た。バトルジャンキーめ。
彼女は目立つ。見た目という点では他の精霊と比べれば目立たない。
地味だからだ。
でも目立つ。それは目がイっちゃっているからだ。
俺より強い奴に会いに行く、そういうタイプです。
毎日全開の力で、氷の塊を出し破壊するのが日課だ。
自分で出したんだからあっさり壊せそうだが、一旦自分から離れた力は
もはや別の物らしい。愉しそうにガンガンと叩いている。
これを見て癒されるのは、特殊な嗜好の方々のみだと信じたい。
地の精霊は、背の高い美人で機転も利くが飽きっぽいアホの子。
水の精霊は、背は高くも低くもなくしかも美人ではないが、
目がギラギラしてる子。