あなたはこの世界を…とかではないらしい
君は選ばれし勇者なんだ、特別な能力もあって…以下略
やったー、元の世界にという流れではないらしい。
魔王ほにゃららがとか、学園ハーレム!?とか、そういう雰囲気でもなさそうだ。
ええと、せめてこの状況に対しての説明が欲しいな。
なにしろ真っ暗闇に一人ぼっちだ。
どこ見ても暗闇で、平衡感覚が維持できず立つことすら出来ない。
目を開けていても、はっきり言えば不快感しか浮かんでこない。
暗所恐怖症ではないが、かなりのストレスを感じる。
自分から状況打破するのは難しいことを悟った。
目を閉じて体育座り…は疲れるので、猫のように丸くなって寝転んだ。
地面が硬くないので、苦痛は無い。
おやすみなさいと、一人呟いた。
「おやすみなさい」
誰からか返事が来た。飛び起きて辺りを見渡すが先程と変わりは無い。
「この状況に対する説明が欲しい」
単刀直入に問う。
「彼女たちに聞くといい。今はおやすみ」
ふと思い出したのは、学校のとある先生。
あの先生も、眠気を誘う退屈な授業と、こんな穏やかな声だった。
その声に従ったわけではないが、どうやら体は眠かったらしい。
そこから先の記憶が無い。そのまま寝てしまったからだ。
…大事な事を、聞き忘れた…彼女たちって、誰?