#13 お嬢様救出大作戦
これだ
「この場所に手がかりがある。」
「どれのこと言ってます?」
「まさかだがこの足跡のことを言うんじゃないだろうな。」
「そのまさかだぞ。」
「どういうつもりだ。」
「どうもこうも、この足元の向きと大きさを推定させて進んだ方向に走るだけだ。」
「姿が分からないのにか?」
「確かに。なら、聞きこみ調査だな。」
そう言いながら対面にある店に足を運んだ
「すみません、この辺でエリス家の娘を見ていませんか?」
「すまん兄ちゃん見てないわ。」
「ありがとうございます。」
「どうでしたか?」
「ダメだ。」
「こっちもダメだった。」
こんな大通りでどうやって攫えるんだよ…
「なあ、もしかして魔法使って誰にもバレないで攫ったとかあるかな。」
「そんな事が出来るんですか?!」
「実は私もそんなことを考えてた。」
「誰にも知られてない魔法だとしたら。」
「闇か。」
闇属性の魔法は禁忌とされており後世に伝わらないよう内容は全て伝承されないようにされてきたとあった
「魔法の使った痕跡であれば、探せるかもしれない。」
「そんなことが出来るのか?」
「可能ではある。理論上はな。やったことが無いから実際はどうかは分からないんだ。」
俺の中で二つの魔法が頭に浮かんでいた
光の屈折による不可視を作る魔法
認識を阻害させる魔法
恐らく闇属性であれば後者だろう
ただ闇魔法は伝承がない為謎が多く、仕組みの解明がされていない
ここからは自論で考えるしか他ならない
そもそも人が何かを認識するには視覚と聴覚と触覚による三つの方法がある
そのうちの全てを阻害させるということはこの三つの感覚に干渉する以外他ならない
他には脳に誤認識を引き起こさせる方法だ
そもそ人間の視界の外側は脳によって補完されているため、ほぼ見えていないが多分こうなってるよという曖昧な情報を映している
ということはその曖昧な情報を作り出させる誤認識を引き起こさせる魔法か神経や脳に干渉し阻害を起こす魔法の二択だ
見つけた
だがこの魔法は…
〜???〜
「んん!」
「うるせぇぞガキ。大人しくしてろ。」
「よっ!」
「なに?」
「てめぇどっから入ってきた!」
「鍵、開いてたもんで。」
「どうやってここが分かった?!」
「どうもこうもあんたの使った魔法のレベルが低かっただけさ。」
「なんだと…てめぇも闇魔法が使えるってのか…」
「使えない。さっきまでは。」
「は?」
俺は先程立てた二つの仮説を試してみることにした
悪用さえしなければ問題ないと思い、クリスに見守ってもらいながらやってみたところ成功はした
だが彼の使った魔法とは違い複雑な魔法陣で組んでいた様だった
どうやら彼の使った魔法の認識阻害は姿のみを認識出来ないようにさせる魔法で、他の感覚では認識が可能だった
俺の作った魔法陣は三つの感覚に干渉できる多重起動の形だった
「ま、説明したところであんたには理解できないよ!」
雷魔法ライトニングによって自身をプラズマ化させ高速移動し、クレアを救出
「てめぇ…今何をした。」
「あれ、見えなかった?」
「くそがぁぁぁ!」
手元にあった斧を持ち、大きく振りかぶる
「遅い!」
無属性魔法ビルドアップで筋肉を瞬間的に増強させ、振りかぶった斧を躱し斧を粉砕させる
「なっ…!」
「俺のクラスメイトに手出す奴には容赦しないよ。」
雷属性魔法サンダーによって気絶
人殺しにはなりたくないからね
瀕死の状態なら許されるでしょ
「レイさん。ありがとうございます。」
「無事でよかったよ。戻ろうか。」
「はい。」
本当に無事でよかった
〜次の光/学術校食堂〜
「いた!」
「あら、リリィ。」
「あなた大丈夫?昨日のことウィルから聞いたわ。」
「えぇ。レイさんが助けてくださったんです。」
「レイってあなたのクラスに居る首席くんの事?」
「はい。彼の魔法は見たことない程早く正確で見習いたいものでした。」
「魔法に早いとかあるの?」
「詠唱をされないのです。」
「魔法を詠唱無しで発動させるってどういうこと…」
「分かりません。なにか仕掛けでもあるのでしょうか。」
〜Aクラス教室〜
「ハックション!」
「風邪か?レイ。」
「誰かが噂してんだろ。」
「お前の事なんて皆噂するだろう。」
「確かに。レイさんの噂は首席合格からは絶えませんね。」
「そうなの?聞いた事ないけど。」
「まあ、本人に言うような事じゃないしな。」
「そうですね、この前はクレアお嬢様と付き合ってるとか。」
「はっ?!」
「そんなのもあったな。」
「待ってやめてよ彼女が可哀想だよ。」
「そうですか?実力のある方が付き合う相手なんて素晴らしいじゃないですか!」
「それウィルが言っちゃっていいんだ。」
「あとは魔法を無詠唱で放てる化け物だとか。」
「それは本当だね。」
「え、そうなんですか。」
「あー、この前の闇魔法ウィルには見せてなかったもんな。」
「こいつ、全部無詠唱でやるぞ。」
「はっ?!まさか高位の魔法もですか…?」
「うん。全部。」
「化け物ですよ…」
化け物らしい
このお話の登場人物(主人公を除く)
クリス=ヘラルド:ヘラルド国王子
ウィル=フリード:クレアの側近
クレア=エリス:エリス家長女
リリィ=アルファ:アルファ家の長女でクレアの幼馴染




