止まない雨とともに
僕は、小学生のときからずっと、いじめられてきた
流行りには興味がなく、他人とは全く違うものに興味を示していた。それゆえ、いじめの対象になりやすかった。勿論、先生に相談もしたが、まるで相手にされなかった。挙句の果てに、親までも、僕を見捨てた。
そんな僕にも何人か友達がいた。毎日好きなことを語り合って、笑いあっていた。本当に良い友人だと思っていた。
しかし、そんなのも束の間、ある時から急に変わった。
「ごめん。でも、逆らえないんだ。」
そういって、ある人は僕に物を投げつけ、ある人は僕のお金を毎日のように盗り、またある人は、僕を人目のつかない場所に呼び、暴力を振るった。
皆僕を裏切った。悲しくないわけがない。なのに、もう流れる涙はない。最初は、「絶対に見返してやる」という思いが強かったが、今ではそんな気持ちはなくなった。慣れというのは、なんと恐ろしいことだろうか。
高校は家からちょっと離れたところに入学した。そうすれば、僕を知ってる人もいないし、僕をいじめる人もいない、
そんな期待を膨らませ、入学式に臨んだ。
あれから1年がたち、人間関係も良好…とまではいかないが、いじめられることはなかった。まともな友人もできた。なんとそれだけでなく、人生初の彼女までできた。ついに僕は、自由な人生を手に入れたぞ、と毎日に心を躍らせていた。
しかし、事件は予告もなく起こった。
いつも通り彼女と帰っていると、後ろから声をかけられた。
「おいお前、お前トオルだろ。」
振り返ると、中学のとき、散々僕をいじめたグループがいた。
「おいみんなみろよ、トオルに彼女できてるぞ。
お前に彼女にできるなんて嵐が起こるな。
にしても、トオルを選ぶなんて彼女も見る目がないな。」
僕を貶されるのはいいが、彼女を馬鹿にされるのは聞き捨てならなかった。
「おい、最後の取り消せよ」
「はぁ、なに奴隷の分際で口答えしてんだよ。」
僕は彼らが満足するまで殴られ続けた。抵抗もできず、ただひたすらに…。
翌日、彼女から別れ話をされた。昨日のことで恐怖を覚え、もう巻き込まれたくないそうだ。当たり前のことだ。どうにか別れるのを踏みとどまれないか頼んだが、聞き入れて貰えず、去っていってしまった。友人たちも、最初は心配してくれていたが、日に日に酷くなる怪我やアザにだんだん距離が離れていった。
恋人も、友人も、何もかもを失い、僕は絶望に暮れた。そして、唯一残った気力で屋上まで登った。もう出るはずのない涙が頬をつたって、地面に落ちた。
「せめて普通の人みたいに生きたかったなぁ。」
これが僕の最期の言葉だった。