表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

16. 聖女と不穏な事件の始まり─前編─


マールは聖女の仕事を再開した。

教会に赴き奇病、スノー・ドロップを治療する日々。

先日ガイウスから直接頼まれてから、より一層治療に力が入った。

いつもニコニコとしていて患者さんからの受けもすごく良かった。

「お姉ちゃん、ありがとう」

「ふふ、どういたしまして」

手を振りながら部屋を出て行く少女に、ひらひらと手を振り見送る。

ルイスはその様子を見ながら、マールが来た日に必ず出すお茶の用意をしていた。


「マール様、お茶の用意が出来ました」


「ありがとう」

ルイスにお礼を言い、出されたお茶を飲む。

「そういえば、明日はお休みしても良いですか?」

「?何か御予定でもおありですか?」

「はい、成人の儀で仲良くなったご令嬢とお茶会なんです」

にっこりと笑うマール。

「左様でしたか。いつも頑張っていただいてますからね、大丈夫だと思いますよ。私からも進言しておきますから」

「ありがとう、ルイス。では、そろそろ帰りますね」

「お疲れ様でした」

手を振り去って行くマールをルイスは扉が閉まるまで笑顔で見送った。





*******






「フランジェシカ様、お招きいただきありがとうございます」

マールはハウメル伯爵邸へ招かれていた。

他にも3人程、令嬢が招かれているようだった。

庭に用意された会場へと案内される。

花々が綺麗に咲き誇る庭はとても綺麗だった。

「まぁ、素敵!」

「本当に!」

円卓につきながら周りを見廻し、マールも他の令嬢と同じように魅入っていた。


焼き菓子と紅茶が円卓いっぱいに広げられる。

それらを口にしながら、ドレスやアクセサリーの話に花を咲かせた。


「皆様、楽しんで頂けていますか?」


突然男性の声がする。

そちらを見れば、ディラン・ハウメルが笑みを浮かべながらこちらに向かってきていた。

慌ててマールを含む招待された令嬢が挨拶をする。

「そんな!お礼など…」

笑みを浮かべながらディランは着席を促し、いつの間にか彼もお茶会に参加していた。

「ほぅ!それはそれは…」

ディランは気付いていないようだが、明らかにご令嬢達の口が重くなっている。

当然のことだろう、突然男性が現れたのだから。

「そ、そろそろお暇しませんか?」

誰かが口火を切る。

「そうですわね」

「フランジェシカ様、本日はありがとうございました」

会を締めようとするご令嬢たち。

しかし、ディランは…。

「ディナーも用意させました。それまでは良いではないですか」

等と言い出している。

それにも戸惑うご令嬢たち。

マールも当然困惑した。

「流石にそこまでは…」

「申し訳ありません。ディラン様」

「そう、ですか…」

明らかに落ち込むディランに胸を痛めるマール。

だが、他の令嬢に倣いハウメル伯爵家を後にするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ