表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

13. 聖女と騎士団 ─前編─


レジーの訃報から1週間。

マールは協会側から″喪に服すため治療は一時的にお休みします″と言われていた。

聖女として崇められてから早半年、毎日のように通っていた教会に行くことが出来ず、マールは暇を持て余している。

(教会に行けばガイウス様とお会いできるかもしれないのに…)

そう考えてからふと気付く。

以前自分が治療すら出来なかった騎士団の方々に会いに行けば良いのでは無いか、と。

騎士団の詰め所は王城の一角、あわよくばガイウスに会えるかもしれない。

居ても立ってもいられず、マールは行者に王城へ向かうと告げ、メイドに支度を手伝わせる。

そして急いで王城へと向かった。






**********


(うふふ…ガイウス様喜ぶかしら?)

登城し騎士団の詰め所へと案内されるマール。

そこまでの道すがらガイウスを想っては頬が緩む。

「こちらが騎士団の詰め所になります」

「ありがとうございます」

案内をしてくれた相手にお礼を述べ、軽い足取りで騎士団の詰め所に入っていった。

その後ろ姿を何とも言えない表情で見届け、案内係は踵を返し持ち場へと戻っていく。


「失礼します」

ガチャリと扉を開けるマール。

中には騎士団長と副団長が何やら難しい話をしていた。

「……………っ!」

「これはこれは聖女様、こんなむさ苦しい場所にようこそおいでくださいました」

ノックも無しに突然入ってきたマールに苦言を呈したい副団長をそっと制し、団長は優しく話し掛けた。

制された副団長は出掛かった言葉を飲み込み、黙って団長の対応に任せることにする。

「あの、以前怪我をされた皆様の御加減は如何かなと思いまして…」

「そうでしたか。復帰可能な者は皆復帰し、遠征にも同行させていただきました。お心遣いありがとうございます」

「まぁ!そうでしたの」

口元に手を当てマールは驚いていた。

その姿に副団長は顔を歪ませる。

団長から肘打ちを受け、歪ませた顔を戻した。


「見ていかれますか?今ならガイウス様もご一緒に鍛錬されておりますよ」

「よろしいのですか?是非!」

にこにこと笑うマールを伴い、団長は演舞場へと向かった。

副団長は本来なら共に向かう───率先して聖女を案内するべきだが、そうすることは出来ず団長の優しさに甘え事務処理をすべく詰め所に残ることにする。

窓の外を眺め大きな溜息を吐き、団長の机に積まれた書類の整理を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ