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確かに『家族になってくれ』とは言いはしたけど、決してそういう意味ではなく...!

作者: 喪家の狗


犬派? 猫派? って質問されるとすごく困る。どっちも好き。


ただ、今の気分は犬。


犬を飼うことにした。



純粋に犬が好きというのもあるが、主はいい加減1人身が寂しくなってきたためである。





そんな訳で休日。近所の保健所まで行った。


そこで職員さんからの軽い面接を受け、必要事項を書き込み、いざ御対面。



犬たちが集まったお部屋。



中に入ると犬たちの独特な匂いを感じた。



獣臭、というのだろうか。


ヤバめの獣とは生憎エンカウントした機会がないため分からないが、犬や猫の発するこの匂いは俺は好きだな。



ゲージの中に入った子や、解放されてる子。


上の開いたゲージから身を乗り出して元気よく跳ねている子。



皆、走り回ったり、俺の匂いを嗅いだり、飛び掛かってきたりと様々な歓迎をしてくれる。


歓迎、だよね...?



その子たちも見ながら周りの子たちも見る。





と、



目が合った。



悲しそうなお目目をした2匹。



部屋の隅に配置されたゲージに種類の違う2匹だが、互いを信頼しきっているように身を寄せ合って、ゲージの隅に縮こまっている。



「あの子たちは...」


「ああ、あの子たちですか? あの2匹、ウチで保護したときからずっと一緒で、何をするにも離れそうとしないんですよねー」



そこで思い出す、ここに来る前読んだ物。



『犬の十戒』と言う物。



一時期話題になった、犬からご主人様に対する気持ちを表した詩文だ。



そのうちの1つに、


「私たちにはあなたしかいません」


という旨の1言がある。



感銘を受けた。



以前、5社目の面接で言った、


『御社の企業理念に感銘を~』


なんて嘘っぱちだと自分でも改めて知っくらいには。



確かに俺たちにはたくさんの人との繋がりがある。


家族、職場、古くからの友達。



だがしかし、飼い犬にはご主人様しかいないじゃないか。



そこで決めた。


少しでも彼らが孤独な思いをしなくて済むように、そして俺が飼うことのできる範囲内で出来ること。





「...あの子たちにします」



職員さんが少し驚いたような顔を見せたが俺は構わず2匹に近づく。



「俺と、家族になってくれないか?」




〇--〇--〇




少し強引だっただろうか。



怖がらせてしまっただろうか。



様々な思いが頭を駆けながらも2匹との生活が始まった。








覚悟していたことだが、そこからの生活は楽なものでは無かった。


1度心を閉ざした子達と仲良くなるのは至難を極め、なにの変化も起きないまま2週間が過ぎようとしていた。




















なんてことは無かった。



オレンジ色の毛並みが特徴のポメラニアン。『みたらし』ちゃんと、マロ眉がチャーミングな黒柴、『ずんだ』君。


美味しそうな名前の2匹だが、



「ほら、おいで」



と声を掛ければ揃ってしっぽを振るながら元気に駆けて来る。



「待て。.........良し」



お行儀も良く、



「君達、お風呂嫌わない子なのか」



お風呂も嫌がらない。


一緒に入るとこっちに熱い眼差しを向けてくるが。



そういえば、昔からやたら動物に好かれるのが俺だった。



それが今回、功を制したのだろう。



お仕事で家を空けていても2匹で遊んでくれてるようなので、やはり仲の良いお友達だろうか。






ところで、どうでも良いけどこの2匹、



「「...?」」



可愛い。




〇--〇--〇




『独身女性が犬を飼うと結婚できなくなる』


なんて何処かのタレントさんが言ってた気がするが、それは男性にだって言えることだろう。



なにせ今、凄く実感しているから!



あー、うん、わかるわ。これは婚期送れる。



充実していたはずの人生に気付く、ポッカリと開いた穴。



結婚という文字も何度か頭をよぎったが、その穴にスッポリとあの子達がはまった。



そんなことを考えながら歩く、犬用ち〇~るを買った日の帰り道。



最近では家に帰ると玄関まで迎えに来てくれるのが何より嬉しい。


それと共に手洗いうがいをした後じゃないと触れないのが心苦しい。



いつものように自宅に着くと、扉に鍵を差し解錠、扉を開け、


「ただいま~」


と、甘ったるい声で言うが、






そこに、2匹の姿はなかった___










___その代わり、



「お帰り、飼い主さん!」



ポメラニアンを彷彿とさせるオレンジ色の髪と犬耳、同じ色のフサフサしっぽの生えた女の子と、



「お帰りなさい、飼い主さん。お仕事お疲れ様です」



黒柴のようなマロ眉をし、犬耳とくるんと回ったしっぽの生えた男の子が誰かの帰りを待ちわびたように立っていた。





そんな2人を見て、


「お仕事のしすぎで疲れたのか?」


「ど、どどど泥棒だ!」


「お巡りさん! 俺です!!」


とか色々思った俺はとりあえず息を吸い、




買い物袋を落とし、




大きな声で、




「擬人化、来たーーーーーーーー!!」




と叫んだ。





その時、2人が犬耳を塞いでいるのが可愛かった。




〇--〇--〇




「...落ち着いた?」


「うん!」


「はい」



俺が大声を出したせいで2人は興奮し暴れまわり、捕まえてから落ちるかせるまで少々時間がかかった。


今では落ち着きを取り戻し、仰向けになった2人は俺にお腹を撫でられている。



だがしかし、落ち着いた? なんて聞いてはいるけど、一番落ち着けてないのはどうせ俺だろう。



「違ってたら今すぐ俺の頭をひっぱたいて欲しいんだけど、もしかして『みたらし』と『ずんだ』?」


「うん!」


「そうですよ」



ほら見てください、と自分の首を指刺す、ずんだ君。



本当だ、2匹...いや、2人の首には見覚えのある首輪が着いている。


危ないプレイに見えてしょうがないが。



「どう? 飼い主さん。わたし可愛い? 似合ってる?」



身体をクネクネさせて見て見てアピールしてるみたらし。


可愛いし似合ってるけど、その飼い主さんってやめないか?


危ないプレイに聞こえてしょうがないが。





おっと、危ないプレイへの興味で忘れてしまうところだったが、聞いておかなきゃいけないことが。



「聞いちゃうけど、なんで人間になったの?」



神の悪戯か、悪魔の罠か。はたまた別の勢力が......



「壷です」



へ?



「...壷?」


「はい」



2人起き上がり、スッと指をさした。



その先にあったのは、この前騙されて買ってしまった『願いの叶う壷』。



「僕たち2人で遊んでる時、ふとした瞬間にその壷に触れてしまったんです。そうしたら...」


「わたしたちのお願いが叶ってね、人間になれたの!」



2人が嬉しそうに言う。



業者の巧みな話術にまんまと引っ掛かり、**万*千円の見るからに怪しい壷を買ってしまったことがあった。


買ってしまった時はショックと喪失感からとりあえず押し入れに入れてたのだが、しばらくしてから見ると、なんだ、見るからに禍々しい雰囲気を放ちながらもどこか美しい。


そんな感情を抱いてしまい、玄関に飾っていたのだが......まさかこんなことになるとは。


これだったら俺も何か願いを込めて触れておくべきだったか。それとももっとあの業者から買っておくべきだったか。



「...そっか」





そうか。


分かった。


分かんないけど、とりあえず分かった。


いや全然分かってないけど、理解は出来た。



ので、



嬉しそうに笑う2人と目線を合わせるようにしゃがむ。



そうなのだとしたら、とりあえずは___







「...服、着ようか」



すっぽんぽんな2人の腕を引きクローゼットまで連れて行った。







クローゼットやタンス、服の入っていそうな場所は大体探したが、残念ながらこの子達の背丈に合う服は持ち合わせていなかった。


なので、少し、いや、だいぶサイズの合ってない、ブカブカな体操着を着てもらうことにした。



みたらしには中学校の頃の、ずんだには高校の頃のものを与えたが、捨てないでおいて良かった。


上は長袖、下は半ズボンなのは俺の趣味。



2人は着せられた体操着に若干の違和感を感じながらも脱ぐことは無く、寧ろクンクン体操着の匂いを嗅ぎ始めた。


その時の萌え袖が可愛い。



中学校でも高校でも運動部にも所属していなかったため、そこまで汗は染みついていないと思うが犬の嗅覚は凄いからな。


人間の姿でも感じられるものは感じられるのだろう。



「...臭かった?」



多少、心配になって2人に尋ねる。



すると2人は残念そうにションボリしながら首を横に振り、



「ううん...」


「飼い主さんの匂いがしませんでした...」



そう呟いた。




...そうか。




〇--〇--〇




所変わってリビング。


玄関で楽しくワチャワチャしていたためにいつもご飯を食べる時間をかなり過ぎてしまっていた。



さてご飯を作ろう。

としたが、



「飼い主さーん! わたし、飼い主さんと同じのが食べたーい」


「なら、僕も同じものが良いです。飼い主さんがご迷惑でなければ...」


「別にいいよ。今から作るからちょっと待っててね」



あっぶな。普通にドッグフードあげるところだった。



因みに、お試しでいつものドッグフードを2人に食べてもらったのだが、



「うえぇ~。いつもの方がもっとおいしいよー...」


「あんまり、美味しくないです」


「うん、俺もこの味は趣味じゃないな」



マヨネーズでも掛ければ食べれるだろうか...。



犬用に作られたとはいえ、犬耳人間には好かないのか。



俺も食べてみたが、味が薄く、硬い。それと変な匂いがする。



これなら、ちゅ〇るの出番は暫くないか...。



ドッグフードの袋を閉じ、手を洗ってから夕食作りに取り掛かる。



冷蔵庫を開け、中の食材を見る。



今は人間の姿をしているとは言え、元はイッヌ。



願いが叶って人間になれたと言っていたが、いつ犬に戻るか分からない。


もしネギが胃の中に入ったまま犬に戻って具合悪くしたなんて言っては洒落にならない。



なので本来与えてはいけないものは控えるようにする。



それと味は薄めに。


俺は濃い口の方が好きなのだがこの子達にそんなものを食わせてはいけないだろう。


これを機に俺も減塩しようか。






はい、完成しました。


冷蔵庫の中をのぞいたが、ここ何日かコンビニ弁当くらいしか食べてないことを思い出し、ギリギリ見つけた冷凍うどんをレンジで解凍し、市販の出汁を薄めてうどんに掛けただけで終わったやーつです。



人間になっての初食事が質素なものになってしまって申し訳ないが、今の2人が食べれそうなものを考える時間が必要なので今はこれで許してほしい。


と、心の中で言い訳をする。



「ご飯できたよ~」



と呼びかければ、テレビを見ていたリビングから走って、2人同時に飛びついて来た。



「ホント!?」


「楽しみです、ワクワク」



うん、嬉しいけど一々飛びつかなくていいからね?





合掌、



「「「いただきます」」」



したのは良いけど、当然2人は箸が使える訳でも無く、俺が食べさせる羽目になった。



箸でうどんを一本掬い、隣に座ったみたらしに与える。



「はい、あ~ん」


「あーん。

んん! おいしい!」


「なら良かったよ」


「飼い主さん、僕も欲しいです」



反対隣に座ったずんだが手を引き、物欲しそうな顔を向けてくる。



「ちゃんとあげるから大丈夫だよ。

はい、あ~ん」


「はむ、んむ。わあ、凄く美味しいです!」


「あ! わたしも、もっとほしい!」




結局その日は食べ終わるのにかなり時間がかかった。



可愛いかったから全然良いけど。





ご飯もしっかり食べ終わったので、2人を少し観察してみることにした。


た、ただの興味だよ? 幼児趣味じゃないからね?



まずはお手手から。



「はい、お手」


「わん!」


「よく出来ましたー」



犬の頃の躾も忘れていないようで、差し出した手に小さめのお手手を乗せるみたらしちゃん。



みたらしの小さなお手手を見るが人間のそれと大差はない。


爪は人間の物ではないことを物語るように鋭く、本来の姿を思い出させる。



今度はお顔を手で挟み、軽く固定する。



「ぎゅっ!」



一々可愛いな。



お目目は人間の物とそっくりでありながらもクリクリ可愛らしい犬感がある。



そのままほっぺたをなぞるが、ツルツル肌のお顔におひげは無い。


これが猫となると別になってくるのだろうか。



「よしよし」


「ふわぁ~...」



髪はフワフワ。撫でてみると初めて会った日のことを思い出す。



ついでにお耳も少々...。



「わん!」



少し擽ったそうにしていた。



なるほど。



「...可愛い」


「えへっ」



可愛い。



「......」



みたらしにかまってる間、ほったらかしにされて拗ねてるずんだも可愛い。



同じ事したら機嫌も直ったので良かったです。





本日が金曜日なら眠くなるまで、時間を気にせず質問攻めにできたが、生憎水曜日。


明日もあるのでお風呂に入るとします。



「俺、お風呂入ってくるけど、2人はどうする?」



ついこの前、犬の2匹を洗ったばかりだから綺麗だけど......人間さんになったからね。


毎日入っても大丈夫だと思うけど。



「入りたーい」


「僕も入りたいです」


「わかった、じゃあ一緒に行こうか」


「うん!」



あ、ちょっと待ってください。違うんですよ? 決して子供たちとのお風呂に興奮してるんじゃないですよ?


この子達、見た目は人間ですけど、犬ですからね? 教えればそのうち出来るようになると思うんで、今だけ一緒に入ろうとしてるんですよ?


あ、やめてください、通報しようとしないでください。俺は無罪だ。覚悟の準備をする必要もない。ただ2人にお風呂の入り方を教え



「「「ふうぅ~~...」」」



3人で仲良く湯船に入った。


2人のために普段入らない湯船にお湯を溜めたけど、やっぱり、良いね。お風呂は。マジ命の洗濯だよ。



暫く浸かってから、



「ほら、洗ってあげるから、おいで?」



髪や背中を洗うため、シャワーの前に呼んだ。



「「わん」」



ふとした返事が犬なの凄い可愛い。



...ところでこれ、犬用と人間用、どっちのシャンプー使えばいいんだろ。





結局、髪や体は人間用を使い、しっぽだけ犬用を使うという微妙な采配になったが2人も了承してくれたので良しとしよう。



髪や背中を洗ってやり、いや、局部はさすがにやらせましたよ。はい。



それじゃあ、次はしっぽ。


ふとしっぽを見る。


しっぽの周りにもワンちゃん特有の毛がフサフサ少し生えている。



おお、こうなっていたのか。



アニメや漫画で見るものやTwi○terで流れてくるイラストには詳しく描かれていなかったりするが...。



なるほど、実際にはいきなりシッポが生え、周りはツルツルという訳では無いのだな。



また1つ、勉強になった。


もっとも、いつ使う知識なのか定かではないが。



「はい、お終い」


「くすぐったかった~」


「凄く気持ちよかったです。またお願いしますね」


「はいはい」



覚える気ないよね。


別に良いけど。





「あ、お兄ちゃんばっかりずるい! わたしも~!」



え、お兄ちゃん?




〇ーー〇ーー〇




「2人って、兄妹だったの?」


「うん、そうだよ!」


「知らなかったんですか?」



ごめんなさい。


保健所の職員さんもよく分からないって言ってたんで。



お風呂も上がり、サッパリしいつでも寝れるようにベッドで話し始めた。



仲の良い番、もしくはお友達だろうと踏み2匹、いや2人を引き取った......やっぱり2匹にしよう。


2匹を引き取ったのだが、そうか、兄妹の線は考えていなかったな...。



だって2人明らかに品種違うんだもん!



片やポメラニアン、片や黒毛の柴犬ですよ?


初見でわかるかい。



「ずんだはお父さん似?」


「...両親のことはあまり覚えていなくて。

気づいた時にはあのゲージの中だったので」


「......そっか」


「いえ...」



く、空気が重くなった。



話題を変えよう。



なにか、なにかないか?






あ、



「そういえば、何で人間になりたかったの?」



壷さんが願いを叶え、人間の姿になった。と言っていた。



新たな地球の侵略者に名乗り出るのか、今まで散々な事をしてくれた俺への復讐か。


愛でまわしてただけだけど。



「え、え~!? は、恥ずかしいよ~」



裸を見られても恥ずかしがらないのに、お願いは恥ずかしいのか...。



「ほら、みたらし。飼い主さんが聞いてるんだから答えなきゃ。

それに、いつか言うんだから...」


「そ、それはそうだけど~...」



あ、言いずらかったら別に今じゃなくても...。



そんな俺の思いとは裏腹に、みたらしは一歩俺に近づき、俺の手を取り、




「あ、あのね。


わたし、飼い主さんと結婚したいの!」




男らしくプロポーズしてきた。





...え?





......耳に束子でも入ったのかな。



き、聞き間違いかな? きっとそうだよね!



「結婚って言った...?」


「うん、そうだよ...」



恥ずかしそうに袖で顔を隠すみたらし。


あ、その仕草可愛い。



「な、なんで...?」


「だって飼い主さん、あの時『俺と家族になってくれ』って言ったでしょ?」



最初に会った時だね。


懐かしいな。


俺にとっても君らにとっても良い思い出だったらいいんだけど、



「それってつまり、プロポーズってことだよね?」



いや、確かにそうは言ったけど!


決して、そう言う意味で言った訳では無いからね!?



あくまでその時は...



「わたし、凄く嬉しかったんだ」



顔を赤らめ、少し恥ずかしそうに言う。


ぐっ......。そんな顔されたら断れないじゃん。





「あ、結婚するならもう飼い主さんじゃないね」




持っていた(いつ)白いバスタオルを(の間に)頭から被り(そんな)その姿は(知識)ウエディングドレス(着けたん)のようで(だよ)......。






「これからもよろしくね、旦那様?」


















「...ずんだ君は?」


「僕はみたらしと飼い主さんが結婚すれば飼い主さんと兄弟になれます。

それも家族です」


「そだね」



賢いなこの子らは。いつの間にそんな知識着けたんだか。





その日はグッスリ眠れなかった。




〇ーー〇ーー〇




あの2人が人間になってからというもの、大変な生活ではあるが、今までにない楽しみがある生活を送っている。



毎日健康を考えて自炊したり、湯船に浸かって体を温めたり、早めに寝たり。



俺自身、健康になって来てるのを実感している。



ずんだは俺に助けられた、なんて言ってたけど、色んな意味で助けられたのは俺だろう。


...その助けられた、に婚期関連は入ってないのでご承知おき。



そんな日々の細やかなお礼も兼ねて犬人間でも食べれそうなお菓子の材料を買い、明日から始まる連休にでも作ろうかと意気揚々と帰宅中、



「......」



ん、今誰かの声が聞こえたような...。



......。



気の、せいか...?


な、なんか怖いな。



「......」



やはり聞こえた。



少し怖くはあるけど、本当に困ってる人がいるんだったらまずいからね。


声のする方へ行ってみようか。



少し進むと周りに街灯の無い、少し入り組んだ路地裏に辿り着いた。



周囲をスマホのライトで照らすと、声の発信源と思われる箱が僅かに動いていた。


うわ、こっわ。



生まれたばかりの赤ちゃんや、未知の生物が入ってないことを祈り、



箱の中を見ると、










「にゃー...」



箱入りネコちゃんが、いつか見たことあるような悲しそうなお目目をこちらに向けていた。






やっぱり猫の気分かも。



読了いただきありがとうございます。


御感想とか頂けたらすごく喜ぶそうです。





犬の十戒、読むたびに泣きそうになる。



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