場所
FGOの新章やってたのでゴールデン初投稿です。
「あ、前見た天井だ」
男は目を覚ます。
目を覚ました場所は前にもお世話になった医務室であった。
「なんで俺こんなところで寝てたんだっけ?」
そう言いながら男は辺りを見回す。
「そうだ、確か俺のことが周りにバレて、それでショックで倒れたのか?」
男は自分がなぜここにいるのか考える。
すると通路からコツコツと足音が聞こえ、この部屋に近づいてくるのががわかった。
「・・・」
男はドアの方を見ながら構える。
自分のことがバレてしまった為、もしかしたらここではない何処かに連行されてしまうのかもしれない。もしかしたら殺されるのではないか?
そんなことを考えると緊張しすぎて息が荒くなり、緊張による汗が止まらなくなる。
コツコツと足音が近づき、やがて男がいる部屋の前で止まる。
「・・・!」
そしてドアがゆっくりと開かれる。
「指揮官様、失礼しま・・・」
「うぁぁぁぁぁぁ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!どうか、どうか命だけは勘弁して下さいーー!!」
入ってきたと同時に男は相手の顔を見ずにとにかく平謝りを繰り返す。
「指揮官様落ち着いてください。私です。ミリアスです。」
「あぁぁぁ・・・あ?」
男はその声を聞きマヌケな顔をしながらも声の主の顔を見る。
「あっ・・・ミリアスさん」
男は顔を見ると安堵の表情を浮かべる。
「大丈夫ですか?指揮官様」
入ってきたのはミリアスであった。ミリアスは男に対し優しく声をかける。
♢♢♢
男は落ち着きを取り戻し、ミリアスから貰った飲み物を飲んでいた。
「あのー、それでいまどうなっているのでしょうか?」
男は両手で持ったカップをゆっくりと置きながらミリアスに対し恐る恐る聞く。
「そうですね、今のところ皆かなり動揺しています。まだ知っている者が少ないのですが人伝にどんどん伝わって行くでしょう。」
「そうですか・・・」
男はがっくりと項垂れる。
さらに、とミリアスは話を続ける。
「特に今まずいのは人伝や噂のようなもので広がっているので話が変に曲がって伝わってしまっているということです」
「と言うと?」
「色々ありましたが中でも指揮官様は永久凍土から発見された未来人だとか、過去からやってきて時間旅行をしている者、遠い星からやってきた宇宙人、実は女の子だった。などですかね」
男は話が思った以上に変化して伝わっていることに驚く。
「待って待って待って待って!?ん?へ?ほとんど原型とどめてないじゃないですか!なんですか永久凍土から発見された未来人ってそれ古代人じゃないんですか!?もはや人ですらないものもありますし、最後に至っては本当に意味がわからないんすけど!」
伝言ゲームがあるように人が人に正確なことを伝えるにはその現物が無かったり話をしっかり聞いていないとなかなか言葉だけで相手に伝えるのは難しい。今回もそのようなことで話が大きく変化してしまっていた。
それを聞き男は頭を抱える。
「え?じゃあなんですか?もしかして私は未来人や宇宙人、時間旅行者に本当は女性だったと思われてるってことですか?」
男の言葉を聞きミリアスは頷く。
「そうですね伝わり方はグループによっては違いますが、かなりの者がその中のどれかだと噂で聞いていると思います」
「マジですかー、異世界人、超能力者とかはないんすね。て、何言ってんだ私は」
男はまた頭を抱える。
「なんか随分とややこしい事態になっていませんか?」
ここまで話が変わってしまうとどこで話がまた変わって変に大きくなってしまうか、分かったものではなかった。
「そうですね、正直真実のみが伝わっていればここまでの混乱はなかったでしょう。ここは一度指揮官様自ら説明して事態の収拾を測った方がよろしいかと。説明を求めている者もいますし」
ミリアスがそう提案すると、男は渋い顔をする。
「マジですか?」
「マジです」
「そうですか」
「そうですね」
「何か他に方法は」
「ないですね」
「そうですか・・・」
「そうです」
男は考える。
(ここで一度みんなに真実を公表してなんとか上の者には黙ってもらうようお願いするか、いやーどうやってこのことを説明すりゃいいんだ?ワタシハ、ウチュウジンダ!いや、違うわ)
男は考えようとするがいい案が思い浮かばず。表情を百面相していると、ミリアスから紙を渡される。
「指揮官様の今までの話を少しこちらで纏めててみました、こちらを参考にどうぞ」
「え!あ、すいませんわざわざ私のために。ありがとうございます」
男は渡された紙を見る。達筆な字で書かれた文は上手くまとめられていて、自分が言いたかったことを簡単にわかりやすく書いていた。
「はえ〜すっごい」
男は軽く読むと思わず感嘆の声をあげる。
「参考にします。ありがとうございます」
「いえいえ、お役に立ててうれしいです」
ええ子やーなどと思いながらも男はそこから何を言うか考える。
数時間ほど考え、文を書き終えた男はそこから何回も読み返す。
「よし、これで大丈夫です」
「わかりました、では今基地内にいる者たちを集めます第一演習場に集めるので指揮官様もそちらに来てください」
そういうとミリアスは立ち上がり、部屋をでる。
よしやるしかない。男はそう言うとミリアスの後を追うように外に出る。
集合を促す放送が聞こえる。それを聞きながら男は第一演習場に向かう。
(おへ〜緊張すんなーおい、大丈夫だよな大丈夫だよな?いけるよな行けるよな?これで)
そう思いながら男は大股で通路を歩く。
(大丈夫だ、何聞かれても答えられる。アタイはサイキョーよ)
緊張でおかしくなりそうになりながら男は歩く速度を早める。
(大丈夫大丈夫。・・・そういや第一演習場ってどんなとこなんだろ?知らないんだよな)
そこで男は重要なことに気づく。
(あれ?そういや・・・)
「俺演習場なんて場所知らねー!」
男がやっていたゲームの中ではいくつかの施設があったが、演習場なんて場所はなかった。
男は気づくがもう遅かった。周りに人気はなく、自分がどこにいるのかもわからない。そこから男が演習場に着くまで30分ほどかかった。
ゴールデンよかった、最高に主人公してた。