ピンポンピンポンピンポーン
書いてたら次の日になっていたので初投稿です。
ラストライン、いくつもあるソシャゲのうちの一つだ。
物語は科学がさらに進化した先の未来、地球に大きな異変が起き、太平洋の真ん中に突如として巨大な穴ができる。そこから現れたのは人の形をした謎の生き物、彼らは部外者『アウトサイダー』と呼ばれ、強大な力で各国に侵攻。人類はその圧倒的な力の前になす術なくただ蹂躙され、総人口の半分を失った。そんな中、ある希望が生まれる。アウトサイダーから得た技術により、アウトサイダーと同じような存在を生み出すことに成功した。それらは『インサイダー』と呼ばれ、アウトサイダーの進行に抗う唯一の希望となった。
あなたはそんな彼女たちインサイダーを指揮する指揮官!さぁ、彼女たちとともに明日を掴み取ろう!
(確かこんな感じだったよな?このゲーム。そんでもって今俺はその世界にいて、これからの事と自分の名前を聞いてショックで倒れたと)
男はベットの上で自分の現状を確認し、この世界がどういうものだったか思い出す。
(そもそもなんなんだ?なんでなんだ?いや、一億歩譲ってもうこの世界に来てしまったことはいいとして)
男は色々諦めていた、だがまだ何か考え事があるのか眉間に皺を寄せる。
(なんでこのソシャゲなんだ?俺別にこのゲーム配信初期からやってたけど最上位レベルではなかったし途中で飽きてログボとデイリー任務をこなすログイン勢になってたんだぞ?)
ラストラインは配信前から広告が出ていたため、名前を知っているものは多く、男も事前登録をしていた。だが別にこのゲームの魅力や面白さに命を掛けてやっていた訳でもなく、初めはよくやっていたが段々とやらなくなり、ついには数ヶ月に一回モチベが上がりそれ以外はほぼログイン勢と化してしまっていた。
(いや、こういうのってアレじゃないの?なんかトッププレイヤーが転移してさ、ほら、なんか無双かなんかしてさ、キャーッとかワーッっておにゃのこ達にちーやほやされて、うはー!小生勝ち組wwwみたいな感じじゃないの?)
男はよくあるラノベの展開を思い出すとあることを思い付く。
(えっ、これもしかして、もしかしなくても俺その主人公みたいなムーブかませるんじゃぁないか!?)
男はこれ以上ないくらいに目を開くと、ニヤニヤと顔を緩ませる。
(いや〜ついにきたか俺の時代!やったぜ!やったぜ!やったぜぇ!(ダンディボイス)うはー!ヤベェ緊張してきた、どうしようかなー!なんか告ったらうまいこと行かんかな?)
男は気持ち悪い妄想をしながらベットの中で身じろぎをする。
(よーしこうしちゃいられない!早速この医務室?から出てこの世界を満喫しようじゃぁねぇか!)
白を基調とした清潔感あふれる部屋をウッキウキの気分で男は出る。
(もうしゃーない、なったもんはなったもん。仕方ないから今できることしちゃうわよ!)
そう言いながら外に出たその時。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
どこからともなく警報音が聞こえ始める。
「なっ、なんだ!?地震か?どうしたんだ!?」
男は慌ててあたりを見回す。
すると通路から多くのインサイダーと呼ばれる女性たちが慌ただしく走り去っていく。
「えっ、あっ、ちょっと!」
男は彼女たちに声をかけようとするもなんで言ったらいいかわからず、そのまま彼女たちは走り去って行ってしまった。
「えぇぇ・・・、何があったんですか・・・」
走り去って行ってしまった彼女たちに男の声は誰にも聞こえていなかった。
(どうしよう、なんも聞けなかった)
男はただ呆然としていた。
すると奥からガラガラとキャスターの音がする。
「緊急です!緊急です!退いてください!」
二人の看護師のような服を着た女性がストレッチャーで、誰かを運んでいた。
「おっと」
男は急いで通路の端に寄る。
「・・・・・・!」
男はそのストレッチャーで運ばれている人を見て呆然とする。
そこには苦痛に顔を歪ませ、体全身ひどい怪我を負った女性がいた。片腕がなく全身の包帯から血が滲む様は男にとってあまりにショッキングな光景だった。
「だ、だいじょうぶですか!」
辛うじて出た情けない声は震えていた。
それを聞き始めて男の存在を認識したストレッチャーを運ぶ女性は、男に走り寄る。
「指揮官!ここにいたのですね!ちょうどよかったです。回復魔術とナノマシンの使用許可をお願いします!」
「えっ?えっ?」
男はいきなりのことで自分に話しかけられてるのだと気づくのが遅れた。
「あ、い、いいですよ。どうぞ」
とりあえず許可と言っていたのでなんとか肯定の言葉を出す。
するとすぐに彼女たちはすぐに行動しだし、慌ただしく通路の奥に消えて行った。
「は、はぁぁぁ・・・」
男は緊張から解放され、額のかいてない汗を拭う。
今にもへたり込みそうになるのをなんとか我慢し、壁にもたれ掛かる。
「ふぅ、本当にここがあのゲームの中の世界なのかよ、こんなことあるのか?」
「指揮官様起きましたか」
通路の奥から最近聞いたことある声が近づいてくる。
「あ、ミリアスさん?」
緊張が解けてきて少し余裕が出来た男は強ばった表情を解くがまだ顔色は悪かった。
ミリアスは男のそんな顔を見て心配そうな顔をする。
「やはりまだ休んでいたほうが良かったのでは?」
「ああ、いえ、大丈夫です、はい。所であの・・・すいません何があったんですか?」
話題を変えようとし、先程起こった事を話し始める。
「敵襲ですね。演習中に敵部隊と接敵したそうです。まだ新人ばかりだったので彼女が最後まで残り足止めしていたと聞いています」
「そうだったんですね。あ、そういえば大丈夫なんですか?あの子とその敵部隊は」
敵襲という言葉を聞き、再び慌てそうになるのを堪えながら心配をする。その声はやはり震えていた。
「今は第四部隊が出撃しています。敵も小規模だったらしいので大丈夫でしょう。あの子も回復魔術とナノマシンの使用をしたのなら死ぬことはありません。明日には元気になっている事でしょう」
「あ、そうですか。よかったです」
男は何が何だかよく分かってはいなかったが取り敢えず大丈夫と言われて安堵する。
ミリアスはそう言う男の顔をマジマジと見つめる。
「あの、どうかされましたか?」
顔を見つめられ男は一歩下がる。
「いえ、いつもの指揮官様と随分と違う様子でしたので。指揮官様、本当にどうしたのですか?突然訳のわからない事を聞き始めたり、いつものことに動揺したりと、朝から随分と様子が変ですよ?」
男は息を呑むと深呼吸をし、やがて何かを決心したような顔をする。
「あのすいません、これからそこで少し話せませんか?」
男はさっきまで自分がいた医務室のドアを指す。
ミリアスはキョトンとしながらも、すぐに何か重要な事なのかと思い真剣な顔つきに戻る。
医務室の中には誰もおらずに2人だけが椅子に座りながら向かい合っていた。先程の慌ただしさはなく、お互いの息遣いが聞こえるほど静かになっていた。
「それでなんですが実は・・・」
意を決し男は自分のこと、この世界のこと、今までのことを話し始めた。
最近エクバ2 やってるんですけどあのカメムシどうにかなりませんかね。