幕間2
「あら、貴女がここへ来るなんて珍しいこともあるものですわね。お久しぶりです、と言うべきかしら」
「こんにちは、百合花さん。そうだね、一年ぶりくらい?」
「なるほど、そういうことですか。それで、なにかありまして?」
「うん、まあ。ここ最近はずっと任せっぱなしだったから。私がこうして動く必要もなかったんだけど、ひとつのケジメと言いますか」
「ケジメ、と言いいますと?」
「ちょっと任せたい子がいるんだよね。昨日からこっちに来てるんだけど、あの子は少し特殊でさ。連れ帰って貰ってもいいんだけど―――」
「なるほど。その方のお名前は?」
「ミカエルⅩⅢ。って言っても、これは本名じゃないんだけどね。まあ、会って顔を見ればわかると思うよ」
「なるほど。まあ良いでしょう、詮索は致しません。わたくしも貴女には借りがありますし、女の子ひとりくらいならなんとでもなりますわ」
「ありがと、百合花さん。これで当分の間は憂いなくゆっくりできそう」
「貴女も大変ですわね。こうしてお話するのも一年ぶりですし、とても久しぶりに出ていらしたのでは?」
「まあ、うん。私が出ると迷惑が掛かるだろうし、極力引きこもるようにしてるんだ」
「共存は……できませんの?」
「んー、どうだろ。共存していると言えばしているし。ただまあ、あれが自分の罪を認めない限りは無理だろうなあ。私が、と言うべきかもしれないけど」
「そうですか、残念ですわね。ですが、わたくしがこの学院を建てた理由……貴女をここへ呼んだ意味、それだけは理解して欲しいですわ」
「それはもちろん。ほら、実際こうして通ってるんだし、それで納得して欲しいなあ」
「……はあ、まったく。少しは変わったのかと思いましたが、貴女は相変わらずですわね。まあ、またいつでも顔を見せて下さいな。わたくしは、ここでいつまでも貴女を待っていますから」
「うん、そのうちね。それじゃあ、後のことはよろしく―――」