綺麗なゴブリンお姉さんはお好きですか?
僕の名前は大栗 昌磨。24歳の中肉中背の茶髪の男です。交通事故で異世界転生して魔王のいる世界に・・・自分で言うのもなんだけどベタだなぁ。
まぁ、僕の話なんかどうでも良いです。
とにかく異世界転生した僕は、最初の村の村長に連れられて、戦士達が集まる酒場に。入ると薄暗い店内には屈強なマッチョマン戦士、露出の高い、如何にも"くっころ"されそうな女戦士、まぁ色々と居ますなぁ。
「どうです?強い男にするか、夜の営みの為にエロい女戦士にするか、私なら勿論女戦士ですがね。ぐへへへへへ♪」
ゲスな村長だなぁ、よし、どの女戦士にしようかな♪・・・ん?
カウンターの隅で一人で飲んでる女の人が居る。あれ?
僕の見つけた女の人は肌が緑色だった。
「どうかしましたか?」
「あの、カウンターの隅で飲んでいる人は誰ですか?」
それを聞くと、ニコニコしていた村長の顔が曇った。
「あの女はダメですよ。何せゴブリンですからね。一応腕は立つ戦士だから形だけ今日は酒場に集まって貰いましたが、あの緑色の肌に尖った耳を見ているだけで気分が悪くなります。」
村長は散々な言い方だが、僕は何故だか気になり、とりあえず隣に座ってみた。
彼女の横顔は整っており、鼻筋の通った美人であった。
するとゴブリン美女は僕の方を向いて、明らかに嫌そうな顔をした。
「なんだ勇者様?冷やかしか?」
僕に対して敵意を持っているかの様な鋭い視線。僕はどちらかと言えばMなので興奮してしまう。
「村長この人に決めました!!」
直感的にそう言ってしまった。
こうして二人の旅が始まり、今は林の一本道を二人で歩いてます。
彼女の名前はエメラ・ルド。僕はエメラさんと呼ぶことにした。
「それにしても私を選ぶなんて、物好きにも程があるな。言っておくが、貴様の思い通りになる気は無いからな。」
それきり彼女はそっぽ向いてしまった。それにしてもデカいリュックサック背負ってらっしゃる。一体何が入ってるんだろう?
改めて彼女の見た目を見ると、ビキニ水着みたいな露出の高い格好、スレンダーなスタイルかつ、たわわで大きな胸、バキバキに割れたシックスパックのお腹・・・中々のドストライクだなぁ。
肌が緑で耳が尖っているのも気にならなくなってきたな。しかし、ここで確認したいのは匂いだな。偏見かもしれないけど、ゴブリンとかオークとか臭いイメージがある。面と向かって「匂い嗅いで良いですか?」と言うわけにもいかないので、一計を案じてみた。
「あれっ?エメラさんって耳にピアスしてるんですね。少し見せてください。」
「お、おい!!」
少しエメラさんは嫌がったが、僕は彼女の顔に自分の顔を近づけた。
さて、くんかくんかしてみるか。
むっ!!むむむっ!!これは!!!
薔薇・・・薔薇の良い匂いがする。ふわぁー!!すげぇ!!予想に反して良い匂い!!シャンプーとリンスどこのメーカーだコレ?やばい、くんかくんかが止まらない!!
「ちょ!!いい加減にしろ!!」
"ゴーン!!"
はい、ゲンコツ頂きましたぁ!!ご褒美でぇーす!!
あれから一週間。モンスターとエンカウントした際、初心者マーク勇者の僕は戦力外であり、ほとんどエメラさんの斧が敵を切り裂いていた。エメラさんは魔法が使えないけれど、ゴブリンの俊敏の動きと、鍛え抜かれた肉体のパワーを使った攻撃は凄まじいものがありました。
「お前弱すぎるだろ!!ふざけんな!!」
戦闘で浴びせられる罵声は、僕にとってはご褒美です♪
彼女は野宿の際、一人でテントに入り、「いいか?絶対に中を覗くなよ、覗いたら、お前の体を細切れにして魔物のエサにしてやるからな」と怖い顔で言われたので、夜這いをかけるワケにはいかなかった。
それで今は町に辿り着いて、部屋でゆっくりしてるんだけど、もちろんエメラさんと僕の部屋は別々である。まぁ、でも隣の部屋だからワンチャン壁に耳を付けていれば官能的な声の一つでも聞こえてきそうな気がする。
「きゃあああああああ!!」
えっ?悲鳴?まさか魔王軍の魔の手がここまで迫って来たのか?
僕はエメラさんのことが心配で、隣の部屋に急行した。
「エメラさん大丈夫ですか!!」
バァーン!!と僕が扉を開けて部屋に入ると、エメラさんは部屋の隅で震えていた。
「どうしたんですかエメラさん!!」
僕が尋ねると、脅えた声でエメラさんはこう答えた。
「ゴ、ゴキブリ・・・」
・・・ゴキブリ?まさかエメラさんはゴキブリが苦手なの?
ベタな展開だが、だがそれが良い。ギャップでキュンキュンする。
相手がゴキブリ程度なら僕でも倒せる。ふふっ、今こそ勇者と言われる所以をお見せしよう。そこから15分の死闘の末、ゴキブリの始末に成功した僕。
なんだか誇らしい気分だな。さて精一杯のイケボを聞かせてやる。
「エメラさんゴキブリは僕が始末しましたよ。」
「ほ、本当?・・・ゴキブリもう居ない?」
「えぇっ、丸めた雑誌でボカン!!と叩いて、ティッシュで丸めてゴミ箱にポイッですよ。」
見せたかったなぁ、僕の鮮やかな手際。
「・・・オホン!!よくやった!!まぁ、私一人でも倒せたが、今回はお前に花を持たせてやった。」
取り繕ってスクッと立ち上がったエメラさんだけど、格好と右手に持っている物のせいで、威厳の回復は不可能だった。
「あのエメラさん、その猫ちゃんのプリントされたピンクのネグリジェと右手に持ったクマちゃん何ですか?」
「ハッ!!」
彼女は、あからさまに、しまった!!といった顔をしたけど、こっちはギャップ萌えでお腹いっぱいですよぉ。
「これは・・・その・・・あれだ・・・あぁ、もう・・・他の皆には内緒にして。」
諦めた。最終的には諦めてお願いだ。まぁ、お願いされなくても黙ってますとも、他の人に教えたら勿体無いですもんね♪