「プロ」ローグ
変態とは何だろう(哲学的思想)
ただし生物学的に肉体構造変化を伴わないものとする。
「ヒャッハー、稼ぎ時じゃボケェ!」
「…………」
目を$に変え剣を振り回す変態、取った狸の皮算用で頭がいっぱいらしい。
コイツはスライムを金のなる木としか考えていない……スライムが哀れだ。
と言うか、加工するのは僕なんだけどなあ……まあ、得意先との交渉でホカホカ
してたし…金の亡者ここに極まれり……だな。
「フムフム、この弾力……スライムも奥が深い」
「…………」
酸性のスライムをつつく変態、もはや手が溶けようとも気にしてしない。
ゲル状のスライムに弾力だの何だのと一体全体スライムに何を求めているのかは
知らないが……いや、絶対に知りたくもない。
と言うか、痛覚あるのかよ……やはり ドM変態紳士…か。
「かわゆいな〜、でも殺す」
「…………」
スライムをほんわかと見つめながら躊躇無く鈍器を叩き付ける変態、人間性が
喪失してるね……うん、本当に。
帰ったら約束通りお菓子作ってあげよう、また 家を壊されたらたまらない。
………メンタルケアは怠らないようにしよう……実質親代わりみたいなもんだし。
まあ一番 手がかかるのはこのヤンデレ娘……か。
「レン……今は諦めよう 金もないことだし」
「………ソウダネー」
お前は一応 マトモ枠……でもな。
「もともとの原因は誰かな?」
「……ハハハハハハ」
一見マトモなナリしといて、いつまで 巻き込まれ体質してるの!?
別に責めるつもりはないけど、事件が起こるたびに徹夜しなきゃならんのは
疲れるよ。
結局は巡り巡って人助けしてんのは分かる、凄く分かるけど……事前の相談
ぐらいしてよ………この 変態がぁっ!
「兎にも角にも 今は金策……か」
「そうだねー」
おっ、向こうに[ポーションスライム]がいるな……。
こういう手合は一撃特化で早々に仕留めるに限る。
「【知覚範囲拡大】【知覚度上昇】【筋力上昇】【肉体操作向上】」
-----スキル、それは魂に刻まれた力……だが使っているこれらは凡人のそれ。
-----一ヵ月、二ヶ月と鍛錬すればおおよその武人が得られる能力。
-----だが、この使い手にとってはそれで十分。
「我 求めるは 汝の死 致命に至る 魔の理 穿ち切り裂き 死を与えん」
-----詠唱、それは事象を歪める過程……極めて洗練されたそれ。
-----先とは打って変わって異常な技術、神さえ殺すその御技。
-----それが、制約から解放された真の力。
「付与魔法:致命術式:付与対象 鏃」
-----魔法、物理法則を超越する現象………その一つである付与魔法。
-----その卓越した技術を以ってすれば構築される魔法もまた至高。
-----それ故に、変態。
「技能:ストロング・ショット」
-----技能、人間のみに与えられた技………魔法とは違った現象。
-----弓技系 初歩の初歩たるストロング・ショット。
-----だが、その技巧を以てすれば“神獣狩り”を為し得る一矢となる。
………最も、現在は金策の為 スライム一匹の核を貫く事だけに使われている。
ある意味すごい技術の無駄遣いだと言えるだろう。
「ふぃ〜、疲れた〜」
「今回もロングレンジからの狙撃か」
安全性と確実性を重視したら狩りは自然と弓矢一択になるし。
実の所、獲物は何でもいいんだけど……みんな近接になるからバランスとって
射手やってるだけだし……。
「あっ、徘徊ボス……火力ないわ」
疲れて座ってる所にボス登場、ミノタウルス型の牛さん系か……。
でも、たった今魔力使い切っちゃったしなあ。
どうしましょう、勝てないわけでもないけど……しんどい。
「じゃあ、俺がコイツやっとくわ」
「さんきゅー、そんじゃよろしく〜」
正直なところ助かった。
流石に大型だと決定打に欠けるからなあ。
火力の強化は要改善ってとこか……その点コイツは問題ないな。
「【英雄覇気】【勇者覇気】【剛腕強化】【心身操作向上】【聖剣解放】」
-----発動されるスキルの数々………選ばれた者のみの特権。
-----凡人がどう足掻いても到達できない境地。
-----大いなる運命の流れによる産物。
「華宮流・椿落とし」
-----スキルでも、技能でもない単なる剣の一振り。
-----修練の果てに修める武の型の一つ。
-----一子相伝、縁が紡ぐ力。
そして呆気なくボスの首が落ちる。
それはさながら……椿の花が落ちるが如く。
「お疲れ様」
「やっぱ、ボスは実入りが良いな レベルが5も上がった」
羨ましい。
こちとらこれから金策に加えて家事炊事洗濯掃除etc。
忙しいったらありゃしない……割に合わねー。
「こっちはスライム素材とこの後の労働……実入りは最悪」
それでもやらないといけない。
どんなに待遇が悪かろうと、どんなに利率が悪かろうと家族は家族、
仲間は仲間、みんなで助け合っていかなきゃな。
「それでも頑張ってくれてるんだろ……部長」
「全くもってごもっとも」
分かってるんならよろしい。
「ところでリーダー……その尻尾はいつまで出しっ放しにしてんの」
「は?……はぁっ!?」
はぁ!?念入りにお札貼ったのに!?
……一本 出ちゃってる!?
ここは一本で良かったと考えるべきか、一本も出てしまったと考えるべきか。
うぅ〜……。
「モッフモフの尻尾なことで」
「…………はぅぅ、み…見ないでぇ……」
尻尾を見られるのは何か、恥部を見られるような恥ずかしさある。
僕はこれを“不気味の谷”の亜種みたいなものだと考えている。
……実の所は言い訳に過ぎないんだけど。
「いいじゃねえか、別に減る訳でも無いし」
「……恥ずぃ……メシ抜きにすっぞ」
「へーへー スンマセンでした」
うぅぅ、帰ったらうちの子を目一杯可愛がって疲れを癒そう!
うん、それがいい!
「………しっかし、どうしてこうなった」
この間まで、普通の(とは言いがたかったけど)高校生だったのになあ。
今じゃ異世界で生活中、しかも部員+αのフルメンバーで。
はぁ、この変態達の手綱が益々握れなくなってしまった。
そういやこの部活、いつから人外魔鏡になったのやら。
兎に角、今は生活基盤の安定が優先!
その為にお金を稼がないとなあ。
この変態達の中で中身だけなら良心の塊と言えるこの人物こそ
本作の主人公であり、さる私立高校の演劇部部長 神楽坂 家倉。
彼等の元の世界で数世紀間隔で行われる“勇者召喚”に巻き込まれ、部員全員で
異世界に拉致された後、邪悪な?教皇の企みを召喚早々 打ち破った…現実世界での
数少ないファンタジー枠。
その本質は遍く技術を知り、獲得する力……そう、言うなれば変態。
これから始まるのは、異世界を救う為に勇者とその召喚に巻き込まれた人々の
冒険譚………ではない。
これから始まるのは異世界に行き、リミッターの外れた変態達が形容し難い程に
混沌を生み出す……笑曲。
さて、その組曲を始めから聴いてみることにしよう。
変態共の笑曲を………。
何で書いたんだろう……。
あっ、続き読みたかったら下のアレコレお願いします(卑猥な意味ではない)
一人でも読者がいらっしゃれば、ある程度まで頑張ります!
ただし超不定期( ・∇・)