ハードレイジ・ハートエイク
前に投稿した作品ですが、光の描写を入れて投稿しました。
俺、父親になるんだ
笑いながら言った弟を心から嫌いになった
どうして俺より幸せなんだよ?
好きな仕事をしているわけじゃないのに
人並みにしがらみがあるはずなのに
俺は学びたいことを学んで
やりたい仕事について
いい人に囲まれてるのに
幸せだと感じることが出来なかった
子どもに向けるような声でおめでとうって言うのは造作もないことだけど
気を抜くとこの平和ボケた声に吐きそうで
「これから用事あるから」と言ってさっさと電話を切って
気まぐれで買って消費に4ヵ月かかった最後のモードワンに火をつけた
葉が焼ける匂いと、仄かに甘い香りが俺を宥めるように肺を満たす
俺だってホントは、心から笑って生きたかった
今日も取り返しのつかないようなバカをする
そうしないと心臓が重たくて疲れる
電車で1時間かかるクラブはもう顔パスで入れる
目を痛めつけるのは、ミラーボールだとか原色のライトだとか
いい人なんて評価はいらない
クラブの常連からの「センセーのお出ましだぞー!」って冷やかしなんて知らない
テキーラ掻っ食らってMCをディスって、喚きながらステージから転がり落ちて、
肩がぶつかった女と舌に齧り付くようなキスをして、すぐ飽きてクラブを出る
光のない、星一つない夜空だった
「センセーまたね!」
呪いの言葉には、何も答えなかった
始発で帰ってベッドに溶けるように倒れこめば、罪のない子ども達にぶうたれる
どうして、大人の不機嫌を許してくれないんだろう
お前たちだって年を取ったら今以上のストレスを抱えるんだぞ?
大人は強いとでも思ってるのか?
溜息一つで「せんせいどうしたの?」なんて
俺だって『かっこいいせんせい』でいるのに疲れる時だってあるのに
まぁいいや
この世界に入ったからには抜け出すことも出来ない
空が白くなって、また朝を知らせる光が差してきたら
青いエプロンを着けて、園門の前で子どもとハイタッチでおはようして
俺は、いつもの『せんせい』になるしかないんだから
ありがとうございました!
初めてこれ投稿した時、ある方が思い浮かんでたんです。
わかる方にはわかるイルマティックな声帯のあの男性……(笑)